電気工事士の計算問題の解き方第二種の問1〜問10に出る分野と公式、許容電流・分岐回路の表
第二種電気工事士の学科試験では、計算問題が一般問題の前半にまとまって出ます。この記事では、電気技術者試験センターが公表している直近5回(令和6年度上期〜令和8年度上期の筆記方式)の問題を見て、どの問題番号にどの計算が出ているかを整理し、問題ごとの公式と解き方を例題でまとめます。許容電流や分岐回路の数値は、経済産業省の電気設備の技術基準の解釈(令和7年11月20日改正)で確かめています。
第二種電気工事士の学科試験と計算問題
第二種電気工事士の学科試験は、50問・120分の四肢択一です。直近5回の問題冊子では、一般問題が30問、配線図が20問で、どちらも1問2点、合格基準点は60点です。計算問題は一般問題のほうに入っています。
- 電卓は使えない:受験案内に、電卓と計算尺は使えず、計算は四則計算の筆算で十分解ける前提の問題だと書かれています。
- √3などの値は問題に書いてある:問題冊子の最初に「√2=1.41、√3=1.73、π=3.14」と示されています。
- 答えは最も近い値を選ぶ:選択肢が数値のときは、最も近い値を選ぶよう書かれています。
- 筆記方式かCBT方式のどちらか:パソコンで答えるCBT方式の問題と解答は公表されていません。この記事の分析は、公表されている筆記方式の問題によるものです。
令和8年度の下期は、CBT方式が9月24日〜11月8日、筆記方式が10月25日、技能試験が12月12日または13日です(試験センターの案内)。
計算問題が出る問題番号(直近5回)
直近5回とも、計算問題は一般問題の問1〜問10にまとまっていました。番号ごとの分野はほぼ毎回同じです。
| 問題番号と分野 | 直近5回の内容 |
|---|---|
| 問1 合成抵抗 | 5回とも計算。スイッチや短絡を含む回路も出る |
| 問2 抵抗と電線 | 直径・長さと抵抗の関係。式を選ぶ問題も |
| 問3 熱量・電力量 | 接触抵抗の発熱、電熱器、水を温める熱量 |
| 問4 交流・力率 | 力率の計算、電圧と電流の波形、力率改善 |
| 問5 三相交流 | Y結線の電流・電圧、断線、力率の式 |
| 問6 電圧降下など | 単相2線式の電圧降下、電線の太さ選び |
| 問7 単相3線式 | 平衡・不平衡の電圧、電力損失 |
| 問8 許容電流 | 許容電流×電流減少係数 |
| 問9 幹線・分岐 | 幹線の太さ、分岐の遮断器の位置 |
| 問10 分岐回路 | 遮断器・電線・コンセントの組合せ |
回によっては、ほかに誘導電動機の回転速度(問14)、コードで使える電熱器の大きさ(問12)、配線用遮断器の動作時間(問15)も出ています。試験センターは受験案内で、過去の良質な問題を「積極的に出題する方針」としています。
出典:令和6年度上期・令和6年度下期・令和7年度上期・令和7年度下期・令和8年度上期 第二種電気工事士試験(学科試験・筆記方式)。この記事の例題の数値は、展開図ラボで作ったもので、過去問の数値ではありません。
電気工事士の計算問題で使う公式と解き方
問1 合成抵抗
直列は足し算、並列は「積÷和」です。導線だけで両端がつながれた(短絡された)抵抗には電流が流れないので、ないものとして計算します。
例題:6Ωと3Ωを並列にし、4Ωを直列につないだときの合成抵抗は。
並列部分は 6×3÷(6+3)=2Ω、全体は 2+4=6Ωです。
問2 抵抗率と電線の抵抗
電線の抵抗は R=ρL÷A(ρは抵抗率、Lは長さ、Aは断面積)です。断面積は直径Dの2乗に比例するので、抵抗は長さに比例し、直径の2乗に反比例します。
例題:直径1.6mm・長さ10mの電線と、同じ材料で直径3.2mm・長さ40mの電線の抵抗の比は。
直径が2倍なので断面積は4倍、長さが4倍なので、抵抗は 4÷4=1倍で同じです。
問3 熱量・電力量
熱量は H=I²Rt(tは秒)で、単位はJ(ジュール)です。1kW・hは3,600kJで、この換算は問題文に書かれないことがあるので覚えておきます。水を温める問題では、水の比熱(4.2kJ/(kg・K))が問題文に書かれた回がありました。
- 例題1:接触抵抗0.3Ωに10Aが1時間流れたときの発熱量は。
電力は 10²×0.3=30W、熱量は 30×3,600秒=108,000J=108kJ です。 - 例題2:1kWの電熱器を30分使ったときの熱量は。
0.5kW・h×3,600=1,800kJ です。 - 例題3:20kgの水を30K上げる熱量を電力量にすると(熱効率100%、比熱4.2kJ/(kg・K))。
4.2×20×30=2,520kJ、2,520÷3,600=0.7kW・h です。
問4 交流と力率
抵抗Rとリアクタンス(コイルやコンデンサの交流に対する抵抗)Xが直列のとき、インピーダンスは Z=√(R²+X²)、力率は cosθ=R÷Z(抵抗にかかる電圧÷電源電圧でも同じ)です。消費電力は抵抗だけで生じ、P=I²R です。電圧と電流の波形の問題では、コイルだけの回路は電流が90°遅れ、コンデンサだけの回路は90°進みます。
例題:R=8Ω、X=6Ωの直列回路に100Vをかけたときの電流・力率・消費電力は。
Z=√(64+36)=10Ω、電流は 100÷10=10A、力率は 8÷10=0.8(80%)、消費電力は 10²×8=800W です。
問5 三相交流(Y結線)
Y結線(スター結線)では、1相の電圧=線間電圧÷√3、線電流=相電流です。Δ結線では、1相の電圧=線間電圧です。三相の電力は P=√3×線間電圧×線電流×力率 です。
例題:線間電圧200Vの三相3線式に、1相20Ωの抵抗をY結線でつないだときの線電流は。
1相の電圧は 200÷1.73≒115.6V、線電流は 115.6÷20≒5.8A です。全体の電力は 3×5.8²×20 で約2kWです。
問6 電圧降下(単相2線式)
単相2線式は電線が行きと帰りの2本なので、電圧降下は 2×I×r(rは電線1本の抵抗)です。電線1本の抵抗は「1,000m当たり○Ω」のように与えられることがあるので、こう長(片道の長さ)に合わせて計算します。
例題:こう長20m、電線1本の抵抗が1,000m当たり5Ω、負荷電流15Aのときの電圧降下は。
r=5×20÷1,000=0.1Ω、電圧降下は 2×15×0.1=3V です。
問7 単相3線式
単相3線式は、2本の電圧線と1本の中性線で、電圧線と中性線の間が100V、電圧線どうしが200Vです。上下の負荷の電流が同じ(平衡)なら中性線には電流が流れず、違う(不平衡)なら差の電流が流れます。
- 例題1(平衡):電源の電圧線と中性線の間が105V、電線1本の抵抗0.1Ω、上下とも10Aのとき、負荷の電圧は。
中性線は0Aなので、105-10×0.1=104V です。電線全体の電力損失は 2×10²×0.1=20W です。 - 例題2(不平衡):同じ条件で上20A・下10Aのとき、上の負荷の電圧は。
中性線には10Aが流れるので、105-20×0.1-10×0.1=102V です。
問8 許容電流と電流減少係数
絶縁電線を電線管などに入れるときは、許容電流に電流減少係数をかけます(電技解釈第146条)。直近5回では、許容電流の表は問題に付いていませんでした。電流減少係数は書かれる回が多かったものの、書かれていない回(令和7年度下期)もありました。
| 電線の太さ | 許容電流 |
|---|---|
| 直径1.6mm | 27A |
| 直径2.0mm | 35A |
| 直径2.6mm | 48A |
| 断面積3.5mm² | 37A |
| 断面積5.5mm² | 49A |
| 断面積8mm² | 61A |
| 断面積14mm² | 88A |
| 同じ管に入れる電線の数 | 電流減少係数 |
|---|---|
| 3本以下 | 0.70 |
| 4本 | 0.63 |
| 5本・6本 | 0.56 |
| 7本以上15本以下 | 0.49 |
許容電流は600Vビニル絶縁電線(IVなど)の値で、周囲温度30℃以下のときの値です。VVFケーブルの値ではありません。
例題:直径2.0mmの600Vビニル絶縁電線3本を合成樹脂管に入れたときの、電線1本の許容電流は。
35×0.70=24.5A です。選択肢から最も近い値を選びます。電線の許容電流は電線の許容電流でも説明しています。
問9 幹線の太さと分岐の過電流遮断器の位置
分岐回路の過電流遮断器(配線用遮断器など)は、幹線との分岐点から3m以下に付けるのが原則です(電技解釈第149条)。分岐点から遮断器までの電線の許容電流が十分大きければ、もっと離せます。
例題:定格60Aの過電流遮断器で保護された幹線から分岐し、5mの所に遮断器を付けるとき、その間の電線の許容電流の最小値は。
8m以下なので35%で、60×0.35=21A です。10mの所なら55%で 60×0.55=33A です。
幹線の電線の許容電流は、つながる機器の定格電流の合計以上にします(電技解釈第148条)。電動機などの定格電流の合計が、ほかの機器の合計より大きいときは、電動機などの合計を1.25倍(50Aを超えるときは1.1倍)して、ほかの機器の合計に足します。
例題:電動機の合計30A、電熱器の合計15Aの幹線の許容電流の最小値は。
電動機のほうが大きく、30Aは50A以下なので、30×1.25+15=52.5A です。電動機のほうが小さいときは、単純に合計します。
電動機がある幹線の過電流遮断器の定格は、電動機の合計の3倍にほかの機器の合計を足した値以下にします。その値が幹線の許容電流の2.5倍を超えるときは、2.5倍の値以下にします。上の例なら 3×30+15=105A で、52.5×2.5≒131Aより小さいので、105A以下です。
問10 分岐回路の遮断器・電線・コンセントの組合せ
分岐回路を保護する過電流遮断器の定格で、電線の太さとコンセントの定格が決まります(電技解釈第149条の表)。
| 過電流遮断器 | 電線(軟銅線)の太さ | コンセント |
|---|---|---|
| 15A以下 | 直径1.6mm | 15A以下 |
| 20A以下の配線用遮断器 | 直径1.6mm | 20A以下 |
| 20A以下(配線用遮断器以外) | 直径2.0mm | 20A |
| 30A以下 | 直径2.6mm | 20A以上30A以下 |
| 40A以下 | 8mm² | 30A以上40A以下 |
| 50A以下 | 14mm² | 40A以上50A以下 |
上の表の「以下」は、一つ上の行の値を超えるものです(例:30A以下は20Aを超え30A以下)。20A以下(配線用遮断器以外)の20Aコンセントと、30A以下の20Aコンセントは、20A未満の差込みプラグが差さるものを除きます。この表で電線の太さを決めるときは、電流減少係数はかけません。
30Aの配線用遮断器に15Aのコンセント、20Aの配線用遮断器に30Aのコンセントは、表に合わないので誤りです。分岐回路の考え方はブレーカー容量の決め方でも説明しています。
計算問題を解くコツ
単位をそろえてから計算する
熱量の問題は時間を秒、電力量はkW・hで考えます。W→kW、分→時間の直し忘れに注意します。
問題文の条件を全部拾う
「周囲温度は30℃以下」「電流減少係数は0.63とする」「需要率は100%とする」などの条件は、答えを決める数値です。書かれていない数値(許容電流や1kW・h=3,600kJ)は覚えておくものです。
筆算で近い値を出せば足りる
選択肢は「最も近い値」を選ぶ形です。√3は1.73で計算し、細かい端数まで出すより、選択肢を見分けられる桁まで計算します。
回路は自分で描き直す
合成抵抗や単相3線式は、電流の流れる向きと大きさを図に書き込むと間違いが減ります。
電気工事士の計算問題についてよくある質問
計算問題は何問出ますか
直近5回の筆記方式では、計算や表の当てはめが要る問題は一般問題の問1〜問10が中心で、回によって問12・問14・問15にも出ていました。1問2点です。
電卓は使えますか
使えません。受験案内に、筆算で十分解ける前提の問題だと書かれています。
√3や円周率の値は覚える必要がありますか
問題冊子に「√2=1.41、√3=1.73、π=3.14」と書かれています。
許容電流の表は問題に付いていますか
直近5回では付いていませんでした。1.6mm 27A、2.0mm 35Aなどの値と電流減少係数は覚えておく必要があります。
CBT方式も同じ問題順ですか
CBT方式の問題と解答は公表されていないので、分かりません。この記事の分析は筆記方式の公表問題によるものです。
電気工事士として経験を積んだあとは、工事全体を管理する電気工事施工管理技士を目指す人もいます。受検資格や電気工事士からの進み方は次の記事にまとめています。









