スクリュー羽根の展開の計算内径・外径と切り欠き角度の式
スクリューコンベアの羽根(スクリュー羽根)は、1ピッチ分を平らな板に開くと、ドーナツ(リング)の一部を扇形に切り欠いた形になります。この記事では、羽根の外径・軸の外径・ピッチから、切り板の内径・外径と切り欠きの角度を出す計算式を、外径200・軸76.3・ピッチ140と外径300・軸114.3・ピッチ300の計算例、早見表、円錐台のツールで型紙を原寸で印刷する方法、重さ、計算どおりにならないときの合わせ方をまとめます。
羽根の展開は切り欠いたドーナツ
スクリュー羽根の1ピッチ分(軸のまわりを1周する分)は、外側の縁も内側の縁も、らせんになっています。らせんの長さは外側と内側で違い、羽根の幅(外径と軸の外径の差の半分)は一定です。そこで、平らな板の上では「内側の弧の長さ=内周のらせんの長さ」「外側の弧の長さ=外周のらせんの長さ」「幅=羽根の幅」となる扇形の環(ドーナツの一部)を切り出し、これをねじってピッチに合わせます。
スクリューを作っている梶山製作所の製作工程の紹介でも、内径・外径・ピッチから切る大きさを計算し、ドーナツ状に母材から切り出して、プレスで指定のピッチに曲げ、軸に溶接すると説明しています。
スクリュー羽根の展開の計算式
使う寸法は、羽根の外径D、軸の外径d、ピッチPの3つです(単位はmm)。
- 外周のらせんの長さ Lo=√((π×D)²+P²)
- 内周のらせんの長さ Li=√((π×d)²+P²)
- 羽根の幅 b=(D−d)÷2
- 展開の内側の半径 r=b×Li÷(Lo−Li)、外側の半径 R=r+b
- 展開角 θ=(Lo−Li)÷b(ラジアン)。度にするには×180÷π。切り欠きの角度=360°−θ
1〜2は、らせんを開くと直角三角形になることから出ます。底辺が円周(π×径)、高さがピッチ、斜辺がらせんの長さです。螺旋階段の手摺の長さの計算と同じ考え方です。
4〜5は、内側の弧の長さ r×θ=Li、外側の弧の長さ R×θ=Lo、R−r=b の3つの式を解いたものです。展開の内径・外径は、この r と R を2倍した値です。
計算例1:外径200の羽根
NCネットワークのQ&A(森の過去ログ)で質問されていた、外径76.3のパイプに外径200・ピッチ140の羽根を付ける例です(板厚は2mm)。
- 外周のらせん Lo=√(628.32²+140²)=643.7
- 内周のらせん Li=√(239.70²+140²)=277.6
- 羽根の幅 b=(200−76.3)÷2=61.85
- r=61.85×277.6÷(643.7−277.6)=46.9(展開の内径93.8)
- R=46.9+61.85=108.7(展開の外径217.5)
- 展開角=366.1÷61.85=5.92ラジアン=339.2°、切り欠き=20.8°
同じQ&Aの回答では、自動計算のサイトに板厚2mmも入れて外径219・内径95・338°、別の式で外径約217・内径約93という値が出ていました。この記事の式の217.5・93.8・339.2°は、その間に入ります(展開図ラボの計算)。
計算例2:外径300の羽根
軸に100A(外径114.3)のパイプを使い、ピッチを300にした例です。
- Lo=√(942.48²+300²)=989.1、Li=√(359.08²+300²)=467.9
- b=(300−114.3)÷2=92.85
- r=92.85×467.9÷521.2=83.4(展開の内径166.7)、R=176.2(展開の外径352.4)
- 展開角=521.2÷92.85=5.61ラジアン=321.6°、切り欠き=38.4°
ピッチが大きいほど、切り欠きの角度は大きくなります。
早見表:羽根の展開寸法
| 外径×軸 | 展開の内径 | 展開の外径 | 切り欠き |
|---|---|---|---|
| 150×48.6 | 77.4 | 178.8 | 43.0° |
| 200×76.3 | 111.2 | 234.9 | 38.4° |
| 250×89.1 | 134.5 | 295.4 | 40.3° |
| 300×114.3 | 166.7 | 352.4 | 38.4° |
| 400×165.2 | 231.9 | 466.7 | 36.2° |
| 500×216.3 | 297.4 | 581.1 | 34.9° |
単位はmmです。ピッチは羽根の外径と同じにした例です。軸はSGPの40A〜200Aの外径(配管の呼び径と外径の早見表)です。ピッチが違うときは、上の式で計算し直してください。
円錐台のツールで型紙を印刷
扇形の環は、円錐台の展開図と同じ形です。展開図ラボの円錐台の展開図のツールに、次の値を入れると、羽根1枚の型紙を原寸で印刷できます。入力の基準は「板厚中心」を選びます。
- 大径=外周のらせんの長さ÷π
- 小径=内周のらせんの長さ÷π
- 高さ=√(羽根の幅²−((大径−小径)÷2)²)
計算例1なら、大径643.7÷π=204.9、小径277.6÷π=88.4、高さ=√(61.85²−58.27²)=20.7です。ツールに入れると、外側の半径108.7・内側の半径46.9・展開角339.2°と表示され、上の計算と一致しました。この値を入れたツールを開くと、そのまま原寸印刷やDXFの保存ができます。円錐台の展開図の考え方は円錐台の展開図の書き方にあります。
切り板の取り方と重さ
羽根は1ピッチで1枚なので、ピッチの数だけ切り板が要ります。切り板どうしは、切り欠きの端で突き合わせて溶接し、連続した羽根にします。
- 切り板の面積=展開角(ラジアン)÷2×(R²−r²)
- 重さ=面積×板厚×比重(鋼なら7.85g/cm³)
計算例2を板厚4.5mmの鋼板で作ると、面積は5.61÷2×(176.2²−83.4²)=67,640mm²、重さは1枚2.39kgです(展開図ラボの計算)。京スパの技術情報では、中径Do=(D+d)÷2をもとにした1ピッチ当たりの長さに、板厚と羽根の幅と比重を掛ける式で重さを出しています。この式では2.35kgになり、ほぼ同じです。
板取りでは、切り板の内側の円(計算例2なら直径166.7)が余ります。梶山製作所でも、材料取りがよくなるように並べ方(ネスティング)を計算しています。
計算どおりにならないとき
スクリュー羽根は、紙のように平らな板を曲げるだけでは正確にはできません。同じQ&Aの回答では、内周と外周で羽根の傾きが違うため、内周は伸びて薄くなり、板が塑性変形するほど引っ張らないと実際の羽根の形にならないと説明されています。質問者も、計算した寸法のトタン板を巻き付けたら、ピッチが125mmくらいにしかならなかったと書いています。
- はじめに1〜2枚だけ切って曲げ、ピッチと外径を測ってから残りを切る(同じQ&Aの回答)
- 厚い板では、プレスの型と合わせ用のジグで確かめながら少しずつ曲げる(新開鉄工所)
- 引き伸ばしてピッチを合わせると外径が小さくなるので、外径も測って確かめる
試し曲げの結果で内径を少しずつ変える方法も、回答で紹介されていました。この記事の式は、切り板の大きさの出発点として使ってください。
羽根の展開でよくある失敗
円周だけで弧の長さを取る
弧の長さを π×径 にすると、ピッチの分が入らず、切り欠きの角度が0になってしまいます。弧の長さは、ピッチを含めたらせんの長さで取ります。
軸の呼び径で計算する
軸にパイプを使うときは、呼び径(65Aなど)ではなく外径(76.3など)で計算します。軸に羽根を溶接するので、内側は軸の外径に合わせます。
巻き方向を確かめない
スクリューには右巻と左巻があり、搬送方向と軸の回転方向の組み合わせで決まります(京スパの技術情報)。切り板の形は同じでも、ねじる向きで巻き方向が変わるので、曲げる前に図面を見て確かめます。
羽根の展開についてよくある質問
スクリュー羽根の展開の計算式は
外周 Lo=√((πD)²+P²)、内周 Li=√((πd)²+P²)、幅 b=(D−d)÷2 を出し、展開の内側の半径 r=b×Li÷(Lo−Li)、外側の半径 R=r+b、展開角=(Lo−Li)÷b(ラジアン)です。
外径200・ピッチ140の展開寸法は
軸の外径が76.3なら、展開の内径93.8、外径217.5、展開角339.2°(切り欠き20.8°)です。実際の板は伸びるので、試し曲げで確かめてください。
型紙は作れますか
円錐台のツールに、大径=外周のらせんの長さ÷π、小径=内周のらせんの長さ÷π、高さ=√(幅²−((大径−小径)÷2)²)を入れると、原寸で印刷できます。









