ブレーカー容量の決め方電流の計算と電線の太さ・コンセントの組み合わせ(電技解釈148条・149条)
ブレーカー(配線用遮断器)の容量は、つなぐ機器の電流だけでなく、守る電線の太さで決まります。大きいブレーカーにすれば落ちにくくなりますが、電線が守れなくなります。この記事では、経済産業省の「電気設備の技術基準の解釈」第148条(低圧幹線)と第149条(分岐回路)をもとに、電流の計算のしかた、分岐回路のブレーカーと電線の太さ・コンセントの組み合わせ、電動機がある幹線のブレーカーの決め方、計算例とよくある間違いをまとめます。
ブレーカーは電線を守るためにある
配線用遮断器は、電線に許容電流を超える電流が流れ続けたり、短絡したりしたときに回路を切って、電線の過熱や火災を防ぐ器具です。容量(定格電流)を決めるときは、次の2つを両方満たすようにします。
- つなぐ機器を使ったときに流れる電流で、落ちないこと
- その回路の電線の許容電流や、電技解釈で決まっている太さに見合っていること
機器の電流だけを見てブレーカーを大きくすると、電線の許容電流を超えても切れない回路になってしまいます。電線の許容電流は電線の許容電流で説明しています。
まず電流を計算する
単相(100V・200V)
電流(A)= 消費電力(W)÷ 電圧(V)です。力率を1とした目安で、モーターのある機器は銘板の定格電流を使います。
| 消費電力 | 100Vのとき | 200Vのとき |
|---|---|---|
| 1,000W | 10A | 5A |
| 1,500W | 15A | 7.5A |
| 2,000W | 20A | 10A |
| 3,000W | 30A | 15A |
| 4,000W | 40A | 20A |
| 6,000W | 60A | 30A |
三相200V
三相の電流は、電力 ÷(√3 × 電圧 × 力率)で出します。力率が分からないときは計算せず、電動機や機器の銘板にある定格電流を使います。
同時に使うものを足す
1つの回路で同時に使う機器の電流を足したものが、その回路の電流です。100Vの回路で、電子レンジ(1,300W=13A)と電気ケトル(1,200W=12A)を同時に使うと25Aになり、20Aを超えるので、使い続けるとブレーカーが落ちます。
分岐回路のブレーカーと電線の太さ(電技解釈第149条)
電技解釈第149条では、分岐回路を守る過電流遮断器の定格電流ごとに、電線(軟銅線)の太さと、つなげるコンセントの定格電流が決まっています(定格電流50A以下の分岐回路)。配線用遮断器の場合は次のとおりです。
| ブレーカー | 電線の太さ | コンセント |
|---|---|---|
| 15A以下 | 1.6mm以上 | 15A以下 |
| 20A以下 | 1.6mm以上 | 20A以下 |
| 30A以下 | 2.6mm以上 | 20〜30A |
| 40A以下 | 8mm²以上 | 30〜40A |
| 50A以下 | 14mm²以上 | 40〜50A |
15A超20A以下で、配線用遮断器ではない過電流遮断器(ヒューズなど)を使う場合は、電線は直径2.0mm以上です。表の太さは最小の太さです。電技解釈の解説では、この表は短絡などの事故の電流から電線を守るための組み合わせで、電線管に入れるときの電流減少係数は掛けなくてよいとしています。実際に流す電流が電線の許容電流を超えないかは、管に入れる本数や周りの温度も含めて別に確かめます。
専用回路の考え方
エアコンやIHなど電流の大きい機器は、1台に1つの分岐回路(専用回路)にするのが一般的です。エアコンの据付工事説明書では、パナソニック・三菱電機とも「必ず専用回路を使用する」としています。機器の電圧・定格電流やコンセントの形を説明書で確かめ、上の表と照らし合わせます。
幹線のブレーカーの決め方(電技解釈第148条)
原則は「幹線の許容電流以下」
幹線(分電盤までの太い電線)を守る過電流遮断器の定格電流は、原則として幹線の許容電流以下にします。
電動機がある幹線
電動機は、始動のときや、過負荷・電圧が下がったときに定格より大きな電流が流れるので、第148条では、電動機などがつながる幹線について、次の計算が決められています。IM は電動機などの定格電流の合計、IH はそれ以外の機器の定格電流の合計、Iw は幹線の許容電流です。
- 幹線の許容電流 Iw:IM が IH 以下なら IM + IH 以上。IM が IH より大きいときは、IM が50A以下なら 1.25 × IM + IH 以上、50Aを超えるなら 1.1 × IM + IH 以上
- ブレーカーの定格電流:3 × IM + IH 以下にできる。ただし、その値が 2.5 × Iw を超えるときは 2.5 × Iw 以下。この2.5倍に使う Iw は、電線管に入れていても電流減少係数を掛けない値です(電技解釈の解説)
計算例:電動機30A・その他20Aの幹線
- IM(30A)が IH(20A)より大きく、IM が50A以下なので、幹線の許容電流は 1.25 × 30 + 20 = 57.5A 以上必要
- IV線14mm²を電線管に3本以下で入れると、周囲温度30℃以下なら許容電流は 88 × 0.70 ≒ 61A(電技解釈146条の値と電流減少係数)なので足りる
- ブレーカーの上限:3 × 30 + 20 = 110A。2.5倍の上限は減少係数を掛けない 88A で計算して 2.5 × 88 = 220A。110A のほうが小さいので、110A以下から選ぶ
実際に選ぶ定格は、製品の定格の並びと、電動機の始動で落ちないかを確かめて決めます。幹線の太さは電圧降下も確かめます。
ブレーカーの容量でよくある間違い
落ちるから大きいブレーカーに替える
20Aのブレーカーが落ちるからと30Aに替えると、1.6mmの電線のままでは第149条の太さに足りません。同時に使う機器の電流の合計が定格を超えていないかを確かめ、回路を分けるか、使い方を見直します。分電盤のブレーカーの交換や配線の変更は、電気工事士が行う工事です。
コンセントの定格と回路を合わせない
30Aの回路に15Aのコンセントはつなげません(20A以上30A以下)。逆に、20Aの回路に30Aのコンセントもつなげません。
漏電遮断器と取り違える
漏電遮断器は、漏電を検出して切る器具です。過電流で切れる機能を持つものもありますが、落ちた原因が漏電か過電流かで対処が違います。製品の表示で、どの機能で切れたかを確かめます。
電線の太さを「mm」と「mm²」で取り違える
1.6mm・2.0mm・2.6mmは単線の直径、8mm²・14mm²はより線の断面積です。2.6mmの断面積は約5.3mm²です。
ブレーカーの容量についてよくある質問
20Aのブレーカーに使う電線の太さは
配線用遮断器なら直径1.6mm以上です(電技解釈149条)。つなげるコンセントは20A以下です。
30Aのブレーカーなら電線は
直径2.6mm以上で、つなげるコンセントは20A以上30A以下です。
ブレーカーの容量の計算方法は
同時に使う機器の電流(W ÷ V)を足し、それで落ちない定格で、かつ電線の太さに見合った定格を選びます。電動機のある幹線は、第148条の「3 × IM + IH 以下(2.5 × Iw まで。Iw は電流減少係数を掛けない値)」で上限を確かめます。
主幹ブレーカーの容量はどう決めますか
建物全体で同時に使う電流と、幹線の許容電流から決めます。電力会社との契約の大きさとの関係は、電力会社や電気工事店に確認してください。









