保温材のチーズの切り方保温筒のえぐりの深さと型紙、主管側の穴
チーズ(T字の分岐)を保温筒で覆うときは、主管側の保温筒に枝管が通る穴をあけ、枝管側の保温筒の端を主管の保温の丸みに合わせてえぐります。えぐりの深さと型紙は、保温外径が分かれば計算で出せます。この記事では、保温外径の出し方、えぐりの深さの計算式と早見表、型紙の作り方、刃の向き、主管側の穴の大きさ、取り付けと緊縛の決まりまでをまとめます。
保温材のチーズの納め方
チーズの保温は、次の2つの部品に分けて考えます。
- 主管側の保温筒:枝管が通る穴をあける(枝管の管の外径と、主管の保温外径を使う)
- 枝管側の保温筒:端を主管の保温の外面に合わせてえぐる(主管と枝管の保温外径を使う)
枝管側のえぐりは、管どうしのT管(えぐり)と同じ形です。違うのは、管の外径ではなく保温の外径で計算するところです。
保温外径の出し方
保温筒の内径は管の外径に合わせて作られているので、保温外径は次の式で出します。
保温外径 = 管の外径 + 保温の厚さ × 2
グラスウール保温筒のカタログ(マグ・イゾベール)でも、100A用の内径は114mmで、厚さ40mmなら外径194mmです。100A(外径114.3)なら 114.3 + 40 × 2 = 194.3mm、50A(外径60.5)なら 60.5 + 40 × 2 = 140.5mm です。実物の保温筒の外径を巻き尺で測り、円周 ÷ π で出すと確実です。保温の厚さの決まりは配管の保温の厚さを見てください。
枝管側のえぐりの深さの計算式
主管の保温外径の半分を R、枝管の保温外径の半分を r とします。枝管の保温筒を円周の方向に N 等分し、主管の軸の方向から測った角度を φ とすると、各点の切り込みの深さは次の式です。
| 寸法 | 式 |
|---|---|
| 各点の深さ h | R − √(R² − r² × sin²φ) |
| いちばん深いところ | R − √(R² − r²) |
| 型紙の横の長さ | π × 枝管の保温外径 |
主管の軸の方向(φ=0°・180°)が深さ0で、そこから90°回った位置(主管の横腹の側)がいちばん深くなります。同じ外径の同径チーズでは r = R なので、いちばん深いところは R(保温外径の半分)になり、枝管の保温筒の端が主管の保温の真横まで回り込みます。
保温材のチーズの寸法早見表
| 主管×枝管(厚さ) | 保温外径 | 深さ | 円周 |
|---|---|---|---|
| 50A×25A(20) | 100.5・74.0 | 16.2 | 232.5 |
| 50A×50A(20) | 100.5・100.5 | 50.2 | 315.7 |
| 80A×50A(20) | 129.1・100.5 | 24.0 | 315.7 |
| 100A×50A(25) | 164.3・110.5 | 21.4 | 347.1 |
| 100A×100A(25) | 164.3・164.3 | 82.2 | 516.2 |
| 100A×50A(40) | 194.3・140.5 | 30.0 | 441.4 |
| 100A×100A(40) | 194.3・194.3 | 97.2 | 610.4 |
| 150A×100A(25) | 215.2・164.3 | 38.1 | 516.2 |
| 150A×80A(40) | 245.2・169.1 | 33.8 | 531.2 |
単位はmmで、管の外径はSGP(50A=60.5、100A=114.3など)で計算しています。かっこ内は保温の厚さ、「保温外径」は主管・枝管の順、「深さ」はえぐりのいちばん深いところ、「円周」は枝管の保温外径の円周(型紙の横の長さ)です。
型紙の作り方(100A×50A・保温40mmの例)
型紙の横の長さは 140.5 × π = 441.4mm です。12等分すると1目盛りは36.8mmで、各点の深さは次のとおりです。
| 点 | 基準線からの距離 | 深さ |
|---|---|---|
| 0 | 0 | 0 |
| 1 | 36.8 | 6.6 |
| 2 | 73.6 | 21.4 |
| 3 | 110.3 | 30.0 |
| 4 | 147.1 | 21.4 |
| 5 | 183.9 | 6.6 |
| 6 | 220.7 | 0 |
点7から点12は、点5から点0と同じ深さをくり返します。
- 紙に横441.4mmの線(基準線)を引き、12等分して縦線を立てる
- 各縦線に表の深さを取り、点を滑らかな曲線で結ぶ
- 型紙を枝管の保温筒の端に巻き、基準線を保温筒の端から一定の距離にそろえる
- 点0と点6を、取り付けたときに主管の軸の方向になる位置に合わせて、曲線をけがく
下のツールに管の外径と保温の厚さを入れ、重ね代を0にすると、この型紙を原寸で印刷できます。
切るときは刃を主管の軸と平行に保つ
保温筒には厚みがあるので、外面の線だけ合わせても、切り口の向きが悪いと内側にすき間が残ります。けがいた線に沿って切るとき、刃をいつも主管の軸と平行に保つと、切り口の面が主管の保温の外面と同じ円筒になります。主管の保温の外面は、主管の軸の方向に動いても高さが変わらないためです。
刃を枝管の中心に向けて切ると、内側ほど深く切れすぎたり浅く残ったりします。仮に当ててみて、すき間が出たところを少しずつ削って合わせます。
主管側の保温筒に穴をあける
主管側の保温筒には、枝管の管が通る穴をあけます。穴の大きさは枝管の管の外径が基準で、外面で測ると次の表の大きさになります。
主管の軸の方向は枝管の外径と同じで、周方向は外面に沿って測った円弧の長さです。
| 主管×枝管(厚さ) | 穴(軸の方向×周方向) |
|---|---|
| 50A×25A(20) | 34.0×34.7 |
| 50A×50A(20) | 60.5×64.9 |
| 80A×50A(20) | 60.5×63.0 |
| 100A×50A(25) | 60.5×62.0 |
| 100A×100A(25) | 114.3×126.4 |
| 100A×50A(40) | 60.5×61.5 |
| 100A×100A(40) | 114.3×122.2 |
| 150A×100A(25) | 114.3×120.5 |
| 150A×80A(40) | 89.1×91.2 |
- 主管に保温筒を当て、枝管の中心の位置に印を付ける
- 主管の軸の方向に枝管の外径、周方向に表の円弧の長さを取って穴の形をけがく
- 刃を枝管の軸と平行に保って切り抜く(穴の内面が枝管の外面に沿う)
- 2つ割の保温筒は、合わせ目が穴にかからない向きにすると納めやすい
取り付けと緊縛の決まり
公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編、令和7年版)の保温の施工(3.1.3)では、次のように決められています。チーズ部だけの決まりはありませんが、同じように施工します。
| 項目 | 決まり |
|---|---|
| すき間と継目 | 保温材相互の間隙はできる限り少なくし、重ね部の継目は同一線上を避ける |
| 鉄線巻き(筒状の保温材) | 1本につき2か所以上、2巻き締め |
| テープの重なり幅 | テープ状のものは15mm以上、その他は30mm以上 |
| テープの巻き方 | 配管の下方から上向きに巻き上げる |
短く切ったえぐりの部品にも鉄線が掛かるように、えぐりの反対側に鉄線を掛ける長さを残して切ります。外装(ラッキング)のチーズの型紙は保温板金(ラッキング)の展開図の書き方で、エルボの保温筒の切り方は保温筒のエルボの切り方で説明しています。
保温材のチーズでよくある失敗
- 管の外径でえぐりを計算して、保温筒が浮く。主管・枝管とも保温外径で計算する
- 型紙の点0と点6を主管の横腹の側に合わせて、えぐりの向きが90°ずれる
- 刃を枝管の中心に向けて切り、内側にすき間が残る
- 主管側の穴を枝管の保温外径で大きくあけすぎる。穴は枝管の管の外径で取る
保温材のチーズの切り方についてよくある質問
保温材のチーズのえぐりの深さはどう出しますか
主管の保温外径の半分を R、枝管の保温外径の半分を r として、R − √(R² − r²)がいちばん深いところです。100A×50A・保温40mmなら30.0mmです。
同径チーズの保温はどう切りますか
同径では、いちばん深いところが保温外径の半分になり、枝管の保温筒の端が主管の保温の真横まで回り込みます。型紙は同じ式で作れます。100A×100A・保温40mmなら、いちばん深いところは97.2mmです。
保温筒の外径はいくつで計算しますか
管の外径 + 保温の厚さ × 2 です。100Aに厚さ40mmなら194.3mmです。製品で少し違うので、実物の円周を測って確かめると確実です。
主管側の穴はどの大きさにしますか
枝管の管の外径が基準です。100A×50A・保温40mmなら、外面で主管の軸の方向60.5mm、周方向61.5mmです。









