エビ管の展開図の書き方切断角の計算とピースの長さ
エビ管(エビ継手)は、パイプを斜めに切ったピースをつないで曲がりを作る方法です。この記事では、ピース数と曲げ角度から切断角を出す計算と、中間ピースの長さ、型紙の書き方をまとめます。
エビ管の各部の名前
エビ管は、両端の「端ピース」と、その間の「中間ピース」でできています。ピースどうしの境目が継ぎ目で、曲がりの外側を背、内側を腹と呼びます。
切断角の計算式
曲げ角度をA、ピース数をnとすると、1か所の切断角θは次の式で出ます。
| 求めるもの | 計算式 |
|---|---|
| 継ぎ目の数 | n − 1 |
| 継ぎ目1か所で曲がる角度 | A ÷(n − 1) |
| 切断角θ | θ = A ÷(2 ×(n − 1)) |
継ぎ目1か所の曲がりを、両側のピースで半分ずつ受け持つので、2で割ります。よく使う組み合わせは次のとおりです。
| 曲げ角度 | ピース数 | 切断角θ |
|---|---|---|
| 90° | 2ピース | 45° |
| 90° | 3ピース | 22.5° |
| 90° | 4ピース | 15° |
| 90° | 5ピース | 11.25° |
| 60° | 3ピース | 15° |
| 45° | 3ピース | 11.25° |
中間ピースの長さ
曲がりの半径(管の中心線の半径)をRとすると、中間ピースの長さは次のとおりです。
| 位置 | 計算式 |
|---|---|
| 中心線の長さ | 2 × R × tanθ |
| 背(外側)の長さ | 2 ×(R + D ÷ 2)× tanθ |
| 腹(内側)の長さ | 2 ×(R − D ÷ 2)× tanθ |
端ピースは、継ぎ目から中心線でR × tanθの位置が曲がりの始まりになります。そこから先の直管部分は、必要な長さを足してください。
ピース数は、両端の端ピースを含めて数えます。端ピースは片側だけを切る「片切り」、中間ピースは両側を切る「両切り」です。3ピースなら両切り1枚・片切り2枚になります。数え方は職場によって違うことがあるので、継ぎ目の数で確かめると確実です。
計算例:100A(外径114.3mm)90度3ピース
外径D = 114.3mm、曲げ半径R = 1.5D = 171.45mmで計算します。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 切断角θ | 90 ÷(2 × 2)= 22.5° |
| 中間ピース 中心線 | 142.0 mm |
| 中間ピース 背 | 189.4 mm |
| 中間ピース 腹 | 94.7 mm |
| 端ピース(継ぎ目から曲がり始めまで) | 中心線 71.0 mm / 背 94.7 mm / 腹 47.3 mm |
| 1か所の最大切込み | D × tanθ = 47.3 mm |
1本の管から続けて切り出すと、切断線1本で隣のピースの切り口も同時にできます。切ったピースを180度回してつなげば、曲がりになります。この場合、必要な管の長さは中心線の長さの合計(71.0 + 142.0 + 71.0 = 284.0mm)に、両端の直管部分と切りしろを足した長さです。
計算例:150A(外径165.2mm)90度4ピース
大口径では、ピースを増やして1か所の切断角を浅くすることがよくあります。外径D = 165.2mm、曲げ半径R = 228.6mm(150Aのロングエルボの中心から端面までと同じ)、4ピースで計算します。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 切断角θ | 90 ÷(2 × 3)= 15° |
| 中間ピース(2枚)中心線 | 122.5 mm |
| 中間ピース 背 | 166.8 mm |
| 中間ピース 腹 | 78.2 mm |
| 端ピース(継ぎ目から曲がり始めまで) | 中心線 61.3 mm / 背 83.4 mm / 腹 39.1 mm |
| 1か所の最大切込み | D × tanθ = 44.3 mm |
| 型紙の横幅(円周) | π × D = 519.0 mm |
曲がり部分の中心線の長さの合計は 61.3 × 2 + 122.5 × 2 = 367.5mm です。3ピースで作るより継ぎ目は1か所増えますが、1か所の切込みが浅くなるので、けがきと切断のずれが小さくなります。
早見表:90度3ピース・R = 1.5Dの中間ピース
配管用炭素鋼鋼管(SGP)の外径で、曲げ半径を外径の1.5倍にした場合の値です。Rを変えると長さも変わるので、納まりに合わせたRで計算し直してください。
| 呼び径 | 外径 | R | 中心線 | 背 | 腹 | 最大切込み |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 50A | 60.5 | 90.8 | 75.2 | 100.2 | 50.1 | 25.1 |
| 65A | 76.3 | 114.5 | 94.8 | 126.4 | 63.2 | 31.6 |
| 80A | 89.1 | 133.7 | 110.7 | 147.6 | 73.8 | 36.9 |
| 100A | 114.3 | 171.5 | 142.0 | 189.4 | 94.7 | 47.3 |
| 125A | 139.8 | 209.7 | 173.7 | 231.6 | 115.8 | 57.9 |
| 150A | 165.2 | 247.8 | 205.3 | 273.7 | 136.9 | 68.4 |
| 200A | 216.3 | 324.5 | 268.8 | 358.4 | 179.2 | 89.6 |
単位はmmです。外径の値は配管の呼び径と外径の早見表にまとめています。
型紙の書き方
- 円周L = π × D = 359.1mmを横にとり、12等分します。
- 各点の切込み高さ h = D ÷ 2 × tanθ ×(1 − cos φ)を計算して、切断線を描きます(書き方はパイプの斜め切りの記事と同じです)。
- 中間ピースは、2本の基準線を腹の長さ94.7mmだけ離して引きます。切込み高さは、それぞれの基準線から外側(ピースの外)に向けてとります。
- 型紙の下の直線を残す側に置き、曲線の山が管端の側を向くように巻きます。点0・12が腹、点6が背になるように向きを合わせて、けがきます。
よくある失敗と注意点
中間ピースの背と腹を取り違える
中間ピースは、背が長く腹が短い台形のような形です。1本の管から続けて切り出す場合は、切ったピースを180度回して、背どうし・腹どうしがそろうようにつなぎます。回さずにつなぐと、曲がらずにまっすぐな管に戻ります。
継ぎ目のすき間の分だけ全体が伸びる
突合せ溶接でルート間隔をあけると、継ぎ目の数だけ全体の寸法が長くなります。3ピースなら2か所、4ピースなら3か所です。寸法の厳しい配管では、すき間の分を端ピースの直管部分で調整します。開先とルート間隔の考え方は溶接の開先角度とルート間隔で説明しています。
ピース数が多いほど、なめらかに曲がる
ピースを増やすと1か所の切断角が浅くなり、流れがなめらかになります。そのぶん継ぎ目の溶接が増えるので、用途に合わせて決めます。
曲げ半径は現場で決める
ここでは外径の1.5倍(1.5D)で計算していますが、エビ管の曲げ半径に決まりはありません。100Aのロングエルボ(JIS)は中心から端面まで152.4mmなので、規格品と納まりをそろえるならR = 152.4mmで計算します。納まりに合わせてRを決めてから、中間ピースの長さを計算してください。
エビ管についてよくある質問
90度のエビ管は何ピースで作ればいいですか
決まりはありませんが、手間と仕上がりのつり合いから3ピース(切断角22.5°)がよく使われます。大口径や流れを重視する配管では4ピース以上にします。
切断角はどうやって出しますか
曲げ角度 ÷(2 ×(ピース数 − 1))です。90度3ピースなら 90 ÷ 4 = 22.5°、45度3ピースなら 45 ÷ 4 = 11.25°になります。
曲げ半径はいくつにすればいいですか
エビ管の曲げ半径に決まりはありません。規格品のロングエルボ(呼び径のインチ × 1.5倍)やショートエルボ(1.0倍)に合わせると、納まりを置き換えやすくなります。ただし、3ピース以上では曲げ半径を外径の半分より小さくできません。
型紙は外径と内径のどちらで作りますか
管の外側に巻いてけがくので、外径で作ります。
関連する形
90度を何ピースに分けるかの決め方はエルボの展開図の書き方で説明しています。保温した配管のエルボを板金で覆う外装の型紙は保温板金の展開図のツールで、エビ管と同じ考え方で出せます。









