エルボの展開図の書き方90度を何ピースで割るかと切断角の計算
現場でエルボを作るとき、何ピースで割るか、1か所を何度で切るかで迷うことがあります。この記事では、90度エルボを例に、ピース数の決め方と切断角の計算、展開図の書き方をまとめます。
規格のエルボと、現場で作るエルボ
配管のエルボには、鋳造や鍛造で作られた規格品と、直管を斜めに切ってつなぐ現場製作のものがあります。後者がエビ管で、大口径や特殊な角度、板金のダクトでよく使われます。この記事で扱うのは後者です。
規格品を使う場合でも、保温の外装(ラッキング)は現場で巻くので、同じ展開の考え方が必要になります。
ピース数の決め方
ピースを増やすほど、曲がりの内側と外側の段差が小さくなり、流れがなめらかになります。そのぶん継ぎ目の溶接が増えます。
| ピース数 | 90度エルボの切断角 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 2ピース | 45° | 仮設や排気など、流れをあまり気にしない配管 |
| 3ピース | 22.5° | よく使われる。手間と仕上がりのつり合いが良い |
| 4ピース | 15° | 大口径や、なめらかさを求める配管 |
| 5ピース | 11.25° | さらに口径が大きい場合 |
切断角は 曲げ角度 ÷(2 ×(ピース数 − 1))で決まります。45度エルボを3ピースで作るなら11.25°、60度を3ピースなら15°です。
| 曲げ角度 | 2ピース | 3ピース | 4ピース | 5ピース |
|---|---|---|---|---|
| 30° | 15° | 7.5° | 5° | 3.75° |
| 45° | 22.5° | 11.25° | 7.5° | 5.625° |
| 60° | 30° | 15° | 10° | 7.5° |
| 90° | 45° | 22.5° | 15° | 11.25° |
表の値は1か所の切断角です。継ぎ目1か所で曲がる角度は、この2倍になります。
曲げ半径をいくつにするか
現場で作るエルボの曲げ半径に決まりはありません。規格の溶接エルボ(JIS B 2311・2312)は、ロングが呼び径(インチ)の1.5倍、ショートが1.0倍です。100Aならロングが152.4mm、ショートが101.6mmです。この2つを目安にすると、納まりを合わせやすくなります。20A以下のロングは38.1mmで、1.5倍になりません。
規格の溶接エルボの寸法(中心から端面まで)
| 呼び径 | 外径 | 90°ロング | 90°ショート | 45°ロング |
|---|---|---|---|---|
| 25A | 34.0 | 38.1 | 25.4 | 15.8 |
| 32A | 42.7 | 47.6 | 31.8 | 19.7 |
| 40A | 48.6 | 57.2 | 38.1 | 23.7 |
| 50A | 60.5 | 76.2 | 50.8 | 31.6 |
| 65A | 76.3 | 95.3 | 63.5 | 39.5 |
| 80A | 89.1 | 114.3 | 76.2 | 47.3 |
| 100A | 114.3 | 152.4 | 101.6 | 63.1 |
| 125A | 139.8 | 190.5 | 127.0 | 78.9 |
| 150A | 165.2 | 228.6 | 152.4 | 94.7 |
| 200A | 216.3 | 304.8 | 203.2 | 126.3 |
単位はmmで、JIS B 2311(一般配管用鋼製突合せ溶接式管継手)の表の値です。15A・20Aには90°ショートの規定がありません。45°エルボの値は、90°の値 × tan22.5°と一致します。つまり45°エルボも、同じ曲げ半径の円弧を45°分だけ切り取った形です。
曲げ半径Rが決まれば、中間ピースの長さが出ます。100A(外径114.3mm)、90度3ピース、ロングエルボと同じR = 152.4mmなら次のとおりです。
| 位置 | 計算式 | 値 |
|---|---|---|
| 中心線 | 2 × R × tanθ | 126.3 mm |
| 背(外側) | 2 ×(R + D ÷ 2)× tanθ | 173.6 mm |
| 腹(内側) | 2 ×(R − D ÷ 2)× tanθ | 78.9 mm |
Rを小さくすると腹の長さが短くなり、R = D ÷ 2 より小さいと腹の長さがマイナスになって作れません。3ピース以上で小さく曲げたいときは、この点に注意してください。2ピースには中間ピースがないので、この制限はありません。
端ピースを継ぎ目から中心線でR × tanθの長さにそろえると、90度エルボの中心から端面までの距離がRになります。同じRの規格エルボと寸法を置き換えられます。
計算例:50A 90度4ピース(ロングと同じR)
外径D = 60.5mm、R = 76.2mm(50Aのロングエルボと同じ)、4ピースで計算します。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 切断角θ | 90 ÷(2 × 3)= 15° |
| 中間ピース(2枚) | 中心線 40.8 mm / 背 57.0 mm / 腹 24.6 mm |
| 端ピース(継ぎ目から曲がり始めまで) | 中心線 20.4 mm / 背 28.5 mm / 腹 12.3 mm |
| 1か所の最大切込み | D × tanθ = 16.2 mm |
小口径でRが小さいと、腹の長さがかなり短くなります。腹が短すぎると溶接しにくいので、その場合はピース数を減らすか、Rを大きくします。
計算例:100A 45度3ピース
45度のエルボも同じ式で計算できます。外径114.3mm、R = 152.4mm、3ピースなら、切断角は 45 ÷ 4 = 11.25°です。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 中間ピース | 中心線 60.6 mm / 背 83.4 mm / 腹 37.9 mm |
| 端ピース(継ぎ目から曲がり始めまで) | 中心線 30.3 mm |
| 1か所の最大切込み | 22.7 mm |
| エルボの中心から端面まで | R × tan22.5° = 63.1 mm |
中心から端面までの63.1mmは、100Aの45°ロングエルボの規格寸法と同じです。
展開図(型紙)の書き方
- 円周 L = π × D を横にとり、12〜16等分します。
- 各点の切込み高さ h = D ÷ 2 × tanθ ×(1 − cos φ)を計算します。
- 点をなめらかにつないだ線が切断線です。中間ピースは、腹の長さだけ離して反対向きの線をもう1本描きます。
- 型紙の下の直線を残す側に置き、曲線の山が管端の側を向くように管に巻いてけがき、切断して組み立てます。
切断角と切断線の型紙は、上のツールで出せます。中間ピースの長さは、上の表の式で計算してください。くわしい手順はエビ管の展開図の書き方で説明しています。
よくある失敗
曲げ半径を小さくしすぎる
3ピース以上で、Rを外径の半分より小さくすると、腹の長さがマイナスになって作れません。腹の長さ 2 ×(R − D ÷ 2)× tanθ がプラスになるかを先に確かめます。
中間ピースの2本の切断線を同じ向きに描く
中間ピースの型紙は、腹の長さだけ離した2本の切断線を、互いに反対向きに描きます。同じ向きに描くと両端の切り口が平行になり、そのピースでは向きが変わりません。背の側が長く、腹の側が短くなっているかで確かめます。
規格エルボの寸法とそろえ忘れる
既製のエルボと取り替えられるようにしたいときは、Rをロングかショートの寸法に合わせ、端ピースの中心線の長さを R × tanθ にします。
ダクトのエルボも考え方は同じ
丸ダクトのエルボは、鋼管のエビ管とまったく同じ計算で作れます。角ダクトのエルボは、側板が扇形、腹と背が長方形になるので別の展開になります。角ダクトは角ダクトのエルボのツールで作図できます。
保温した配管のエルボを覆う外装の型紙は、保温板金の展開図のツールで出せます。中の配管エルボの曲げ半径と、保温の厚さを足した外装の径で計算します。
エルボの展開図についてよくある質問
90度エルボの切断角は何度ですか
ピース数で変わります。2ピースなら45°、3ピースなら22.5°、4ピースなら15°です。
ロングエルボとショートエルボの違いは
曲げ半径の違いです。JISの溶接エルボでは、25A以上でロングが呼び径のインチ × 1.5倍、ショートが1.0倍になっています。100Aならロング152.4mm、ショート101.6mmです。
45度エルボの中心から端面の寸法は
同じ曲げ半径の90°エルボの値に tan22.5°(約0.414)を掛けた値です。100Aのロングなら63.1mmです。









