スプール図をエクセルで書く方法切断長の式と、エクセルでできないこと
スプール図はエクセルでも書けます。経路は線や図形で描き、芯々寸法と切断長はセルで計算すれば、手計算の間違いも減らせます。ただし、エクセルはDXFで保存できないので、CADの図面やレーザー加工のデータが必要なときは別の方法が要ります。この記事では、エクセルでスプール図を書く手順、切断長を出す式と計算例、部品表・切断表の作り方、エクセルでできないことと、そのときの選び方をまとめます。
エクセルでスプール図を書く手順
- 用紙をA3横などに設定し、図を描く場所と表を置く場所を分ける
- 経路を線(図形)で描く。上下左右の向きと、エルボ・フランジの位置が分かれば十分
- 各区間に芯々寸法を書き込む
- 別のセルに切断表を作り、芯々寸法から切断長を計算する
- 部品表(管・エルボ・フランジの規格・材質・数量)と、溶接の箇所の一覧を作る
- 表題欄(工事名・図番・ライン番号・作成日)を入れ、PDFで保存して配る
図の線は尺度どおりでなくてかまいません。製作に使う寸法は、図の長さではなく、書き込んだ芯々寸法と計算した切断長です。経路を立体で描くときの向きの決め方は配管アイソメ図の書き方を参照してください。
切断長を計算する式
突合せ溶接のロングエルボとフランジでつなぐ配管では、1本の管の切断長は次の式で出せます。
- 切断長=芯々寸法−(エルボの中心から端面まで+溶接のすき間)×エルボ側の端の数−フランジ面から管端までの寸法×フランジ側の端の数
エルボの中心から端面までの寸法は、JIS B 2311の90°ロングエルボで次のとおりです(呼び径のインチ×1.5×25.4)。
| 呼び径 | 管の外径 | 中心から端面 |
|---|---|---|
| 50A | 60.5 | 76.2 |
| 65A | 76.3 | 95.3 |
| 80A | 89.1 | 114.3 |
| 100A | 114.3 | 152.4 |
単位はmmです。ほかの呼び径やショートエルボ・45°エルボは溶接エルボの寸法表にまとめています。溶接のすき間とフランジ面から管端までの寸法は、会社の溶接の仕様に合わせます。
エクセルの式の例
B列に芯々寸法、C列にエルボ側の端の数、D列にフランジ側の端の数を入れ、80Aで溶接のすき間2mm、フランジ側6mmとすると、E列の切断長は次の式になります。
=ROUND(B2-C2*(114.3+2)-D2*6,0)
ROUNDで小数を四捨五入しています。呼び径を変えるときは114.3を上の表の値に、すき間とフランジ側の寸法を会社の値に置き換えます。
計算例:80Aの4区間の配管
フランジから右へ900、上へ600、右へ800、下へ400でフランジ、という80Aの配管です(作図代行の見本の図面と同じ寸法)。
| 管 | 芯々 | エルボ側 | フランジ側 | 切断長 |
|---|---|---|---|---|
| ① | 900 | 1 | 1 | 778 |
| ② | 600 | 2 | 0 | 367 |
| ③ | 800 | 2 | 0 | 567 |
| ④ | 400 | 1 | 1 | 278 |
| 合計 | - | - | - | 1,990 |
単位はmmです。①は900−116.3−6=777.7で778、②は600−116.3×2=367.4で367になります(展開図ラボの計算)。エルボは3個、フランジは2枚、溶接の箇所はフランジのすみ肉2か所と突合せ6か所の計8か所です。

部品表・切断表をエクセルで作るときの列
| 表 | 入れる列 |
|---|---|
| 部品表 | 品名・規格・材質・数量 |
| 切断表 | 管番号・向き・芯々・切断長 |
| 溶接表 | 番号・継手・記号・脚長 |
切断表の合計は、材料の手配(定尺の本数)にも使えます。部品表に何を書くかはスプール図の部品表・切断表・溶接表でくわしく説明しています。
エクセルでできないこと
DXFで保存できない
Microsoftの「Excelでサポートしているファイル形式」の一覧には、PDFやXPS、CSVなどはありますが、DXFやDWGはありません。取引先からCADの図面(DXF)で求められたときや、切断機・レーザー加工のデータに使いたいときは、CADで描き直すか、CADで描ける人に頼むことになります。DXFで受け取るときの確認は配管図面をDXFで受け取るときにまとめています。
図の長さで寸法は確かめられない
エクセルの線は尺度どおりではないことが多く、図を測っても寸法の確認にはなりません。寸法は表の値で確かめます。
立体の配管は描きにくい
上下左右だけの配管なら描けますが、奥行き方向や斜めに振る配管が入ると、向きを取り違えやすくなります。アイソメ図の書き方はアイソメ図の45度の書き方も参考になります。
エクセルのほかの選び方
- 切断長だけ知りたい:配管アイソメの簡易作図ツールのように、芯々を入れると切断長が出るツールやアプリを使う
- CADの図面が要るが社内で描けない:作図代行に頼む
- 枚数が多く、立体の配管も多い:配管用の3D CADやスプール図のソフトを入れる(スプール図の自動作成)
展開図ラボの作図代行は、50〜100A・JIS 10K SOHのフランジ・90°ロングエルボ・同じ平面で2〜6区間の配管を、手描きの寸法メモからPDF・DXF・部品表CSVにします。1枚8,800円(税込)、お試し期間中は1枚4,400円(税込)で、検図は含みません。奥行き方向や斜めの経路、チーズ・レジューサー・バルブを含む図面は受けていません。
スプール図とエクセルについてよくある質問
スプール図はエクセルで書いても大丈夫ですか
経路と寸法、部品表が正しく伝われば、エクセルでも製作に使えます。DXFが必要なときや立体の配管が多いときは、CADのほうが向いています。
エクセルからDXFにできますか
Excelの保存形式にDXFはありません。PDFで渡すか、CADで描き直します。
切断長の式は
芯々寸法から、エルボ側の端ごとに(エルボの中心から端面+溶接のすき間)を、フランジ側の端ごとにフランジ面から管端までの寸法を引きます。80Aのロングエルボなら中心から端面は114.3mmです。









