保温筒のエルボの切り方5片・7片の背と腹の長さとけがき方
保温筒でエルボを覆うときは、まっすぐな保温筒をえび状に切ってつなぎます。何片で切るか、切断角はいくつか、背と腹を何mmにするかが分かれば、1本の保温筒からむだなく切り出せます。この記事では、保温外径と曲げ半径から背と腹の長さを出す計算と、呼び径・保温の厚さごとの寸法表、続けて切るときのけがき方、45°のひじ継ぎの寸法もまとめます。
保温筒のエルボの納め方は3つ
JIS A 9501(保温保冷工事施工標準)では、エルボ部の保温材の取付けを、次の3つのどれかにするとしています。ロックウールやグラスウールの保温材は、すき間なく密着させて、緊縛材で締め付けます。
| 納め方 | 内容 |
|---|---|
| ひじ継ぎ | 小口径の曲がりで、保温材と外装材を直角に突き合わせる |
| えび状に切る | 保温筒や保温板を何片かに切り、えびのようにつなぐ |
| 成形品 | エルボの形にあらかじめ加工した成形エルボを取り付ける |
外装の金属板も、公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)で、管の曲がり部は「えび状又は整形カバー」とされています。この記事では、保温筒をえび状に切る方法の寸法の出し方を説明します。
保温筒のエルボの切り方の考え方
保温筒のエルボは、エビ管と同じ考え方で切ります。使う寸法は次の3つです。
| 寸法 | 出し方 |
|---|---|
| 保温外径 D | 管の外径 + 保温の厚さ × 2(実物の保温筒を測った値が確実) |
| 曲げ半径 R | 中の配管エルボの曲げ半径と同じ(保温は管と同じ芯で巻くため) |
| 片の数 n | 両端の半分のピースも1片と数える。継ぎ目は n − 1 か所 |
90°のエルボを n 片で覆うとき、切断角は θ = 90 ÷(2 ×(n − 1))です。2片(ひじ継ぎ)は45°、3片は22.5°、5片は11.25°、7片は7.5°になります。曲げ半径は、ロングエルボなら100Aで152.4mm、150Aで228.6mmです(溶接エルボの寸法表)。
保温筒のエルボの背と腹の長さの計算式
| ピース | 背(外側) | 腹(内側) |
|---|---|---|
| 中間ピース | 2 ×(R + D ÷ 2)× tan θ | 2 ×(R − D ÷ 2)× tan θ |
| 端ピース | 中間ピースの半分 | 中間ピースの半分 |
背と腹の真ん中(側面)の長さは 2 × R × tan θ で、これが中心線の長さです。保温外径の半分が曲げ半径に近いほど腹が短くなり、D ÷ 2 が R 以上になると腹の長さが0以下になって、えび状には切れません。このときは、ひじ継ぎか成形エルボで納めます。
計算例:100A・保温40mm・7片
100A(外径114.3mm)に厚さ40mmの保温筒を巻くと、保温外径は 114.3 + 40 × 2 = 194.3mm です。ロングエルボの曲げ半径152.4mmで、7片(切断角7.5°)に切ります。
| ピース | 枚数 | 背 | 側面(中心) | 腹 |
|---|---|---|---|---|
| 中間ピース | 5 | 65.7 | 40.1 | 14.5 |
| 端ピース | 2 | 32.9 | 20.1 | 7.3 |
単位はmmです。7片分の長さは、中心で 40.1 × 6 = 約240.8mm です。切りしろを足して、250mmほどの保温筒から切り出せます。同じ100A・保温40mmを5片(切断角11.25°)にすると、中間ピースは背99.3mm・腹22.0mm、端ピースは背49.6mm・腹11.0mmです。
早見表:保温筒のエルボの背と腹(ロングエルボ・90°)
表の値は、中間ピースの「背 / 腹」です。端ピースはその半分です。保温の厚さは、公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編 令和7年版)表2.3.7の、ロックウール・グラスウールの例で計算しています。
冷水管・冷温水管の厚さの例
| 管(外径) | 保温 | 保温外径 | R | 5片 | 7片 |
|---|---|---|---|---|---|
| 50A(60.5) | 40 | 140.5 | 76.2 | 58.3 / 2.4 | 38.6 / 1.6 |
| 65A(76.3) | 40 | 156.3 | 95.3 | 69.0 / 6.8 | 45.7 / 4.5 |
| 80A(89.1) | 40 | 169.1 | 114.3 | 79.1 / 11.8 | 52.4 / 7.8 |
| 100A(114.3) | 40 | 194.3 | 152.4 | 99.3 / 22.0 | 65.7 / 14.5 |
| 125A(139.8) | 40 | 219.8 | 190.5 | 119.5 / 32.1 | 79.1 / 21.2 |
| 150A(165.2) | 40 | 245.2 | 228.6 | 139.7 / 42.2 | 92.5 / 27.9 |
| 200A(216.3) | 40 | 296.3 | 304.8 | 180.2 / 62.3 | 119.3 / 41.2 |
給湯管・温水管の厚さの例
| 管(外径) | 保温 | 保温外径 | R | 5片 | 7片 |
|---|---|---|---|---|---|
| 50A(60.5) | 20 | 100.5 | 76.2 | 50.3 / 10.3 | 33.3 / 6.8 |
| 65A(76.3) | 20 | 116.3 | 95.3 | 61.0 / 14.8 | 40.4 / 9.8 |
| 80A(89.1) | 20 | 129.1 | 114.3 | 71.2 / 19.8 | 47.1 / 13.1 |
| 100A(114.3) | 25 | 164.3 | 152.4 | 93.3 / 27.9 | 61.8 / 18.5 |
| 125A(139.8) | 25 | 189.8 | 190.5 | 113.5 / 38.0 | 75.1 / 25.2 |
| 150A(165.2) | 25 | 215.2 | 228.6 | 133.7 / 48.1 | 88.5 / 31.9 |
| 200A(216.3) | 40 | 296.3 | 304.8 | 180.2 / 62.3 | 119.3 / 41.2 |
単位はmmです。50Aに保温40mmを巻くと、腹は5片で2.4mm、7片で1.6mmしかなく、えび状に切るのはむずかしくなります。小口径で保温が厚いところは、ひじ継ぎか成形エルボを考えます。保温の厚さの決め方は配管の保温の厚さで説明しています。
1本の保温筒から続けて切るけがき方
- 保温筒の外径を、合わせ目を閉じた状態で測ります。計算の保温外径と違うときは、測った値で計算し直します。
- 筒の真反対(180°)の位置に、まっすぐな線Aと線Bを引きます。
- 線Aには「背の半分、腹、背、腹 …、最後に背の半分」、線Bには「腹の半分、背、腹、背 …、最後に腹の半分」の順に長さをとり、端からの位置に印をつけます。100A・保温40mm・5片の値は下の表のとおりです。
- 側面(線Aと線Bのちょうど間)には、中心の長さを足していった位置に印をつけ、3つの印を通る線で切ります。
- 切ったピースを1つおきに180°回して並べると曲がりになります。背の長い側どうしが外側にそろっているか確かめます。
- エルボにかぶせて、継ぎ目にすき間ができないように押さえ、鉄線などの緊縛材で締め付けます。
| 端からの位置 | 1 | 2 | 3 | 4 |
|---|---|---|---|---|
| 線A | 49.6 | 71.6 | 170.9 | 192.9 |
| 側面 | 30.3 | 90.9 | 151.6 | 212.2 |
| 線B | 11.0 | 110.3 | 132.2 | 231.5 |
100A・保温40mm・5片の例で、単位はmmです。端から端までの長さは線Aも線Bも同じ242.5mmになるので、最後のピースまで測ったら、合っているかの確認に使えます。
保温材を45度に切るとき
JIS A 9501では、小口径の曲がりは保温材を直角に突き合わせる「ひじ継ぎ」でもよいとしています。90°の曲がりを2片で納めるので、保温筒の先を45°に切って突き合わせます。
- 45°の切り口は、エルボの中心(2本の管の芯が交わる点)を通す
- 保温筒の長い側(背)の先は、エルボの中心より保温外径の半分だけ先まで出す
- 短い側(腹)の先は、エルボの中心より保温外径の半分だけ手前
背と腹の差は、軸の方向でちょうど保温外径1つ分になります。20A(外径27.2mm)に厚さ20mmの保温筒なら、保温外径は67.2mm、背はエルボの中心から33.6mm先まで、腹は33.6mm手前までです。ねじ込みの20Aエルボは中心から端面まで32mmなので(配管の芯引き)、エルボの端面から測ると、背は65.6mm先、腹は端面の1.6mm手前になります(展開図ラボの計算)。
まっすぐな保温筒を45°で1回切り、片方を180°回して切り口を合わせると、そのまま90°の曲がりになります。切り口の線は、パイプの斜め切りのツールに保温外径と45°を入れた型紙を巻いて写すと、まっすぐ引けます。45°の曲がり(45°エルボ)を2片で納めるときは22.5°で切り、背と腹の差は保温外径の0.414倍です。
ひじ継ぎは、曲げ半径の大きいロングエルボでは、保温筒の穴と管のずれが大きくなります(次の表の2片の行)。ずれが大きいときは、片の数を増やすか成形エルボを使います。
何片で切るかの決め方
片の数に決まりはありません。保温工事会社の解説には、100Aを7片や5片で作る例があります。片を増やすと曲がりがなめらかになる一方、切る回数が増えて、腹のピースが細くなります。
もう1つの目安が、保温筒の穴とエルボのずれです。えび状のピースの中の穴はまっすぐなので、曲がった配管エルボとは、継ぎ目の位置で最大 R ×(1 ÷ cos θ − 1)だけずれます。100Aのロングエルボ(R=152.4mm)では、次のとおりです。
| 片の数 | 切断角 | 継ぎ目での穴のずれ |
|---|---|---|
| 2片(ひじ継ぎ) | 45° | 63.1mm |
| 3片 | 22.5° | 12.6mm |
| 5片 | 11.25° | 3.0mm |
| 7片 | 7.5° | 1.3mm |
片が少ないと、穴と管のずれが大きくなり、保温材を押しつぶして納めることになります。ずれは曲げ半径に比例するので、同じ片の数なら、曲げ半径の小さい小口径ほど小さくなります。
よくある失敗と注意点
管の外径で計算してしまう
背と腹の長さは、管の外径ではなく保温外径で出します。100A・保温40mm・5片なら、管の外径で計算した背は 2 ×(152.4 + 57.2)× tan 11.25° = 83.4mm ですが、保温外径で計算した正しい背は99.3mmです。
エルボの曲げ半径を確かめない
同じ呼び径でも、ロングエルボとショートエルボでは曲げ半径が違います。中の配管エルボの中心から端面までの寸法を測るか、図面で確かめてから計算してください。
ピースを回し忘れる
1本から続けて切ったピースは、1つおきに180°回さないと曲がりません。回す前に、背の側に印をつけておくと間違えにくくなります。
保温筒のエルボの切り方についてよくある質問
保温筒のエルボは何片で切ればいいですか
決まりはありません。100Aを7片や5片で作る例があります。腹の長さが短くなりすぎない範囲で、継ぎ目のずれが小さくなる片の数を選びます。
切断角はどうやって出しますか
90 ÷(2 ×(片の数 − 1))です。5片なら11.25°、7片なら7.5°です。45°のエルボなら、90の代わりに45で計算します。
保温材を45度に切るにはどうしますか
切り口がエルボの中心を通るようにし、背の先は中心から保温外径の半分だけ先、腹の先は半分だけ手前にします。1本を45°で切って片方を180°回すと、90°の曲がりになります。
曲げ半径は保温の外側で考えますか
いいえ。曲げ半径は中の配管エルボと同じ値を使い、背と腹の計算で保温外径の半分を足し引きします。
外装(ラッキング)の寸法も同じですか
同じ考え方で、外装の径(保温外径)を使って計算します。板の幅や重ね代は保温板金(ラッキング)の展開図の書き方で説明しています。
ツールで計算できますか
できます。保温板金(ラッキング)の展開図ツールで、エルボを選んで重ね代を0にすると、保温外径・切断角・中間ピースの腹と背の長さがそのまま出ます。
関連する形
エビの切断角とピースの長さの考え方はエビ管の展開図の書き方、保温の外装の施工はラッキングの施工方法にまとめています。









