ラッキングの施工方法保温の外装板金の板厚・継目・シールの決まりと切り幅の計算
ラッキングは、配管やダクトの保温材の上に金属板を巻いて仕上げる外装の工事です。この記事では、国土交通省の公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)令和7年版と、JIS A 9501(保温保冷工事施工標準)、外装材メーカーのカタログをもとに、外装に使う金属板の種類と板厚、継目の納め方、シールの決まり、施工の順番、雨水が入りやすい場所をまとめます。配管のサイズと保温厚から、板厚と切り幅を出す計算例もつけています。
外装に使う金属板と板厚
公共建築工事標準仕様書では、外装に使う金属板を次の3種類とし、板厚を決めています(表2.3.1)。
| 材料 | 管・弁等 | その他 |
|---|---|---|
| カラー鉄板 | 0.27mm | 0.35mm |
| ガルバ | 0.27mm | 0.35mm |
| ステンレス | 0.2mm以上 | 0.3mm以上 |
カラー鉄板は塗装亜鉛系めっき鋼板、ガルバは溶融アルミニウム-亜鉛鉄板です。カラー鉄板とガルバの「管・弁等」は、保温の外径が250mm以下のものです。ダクトや機器、保温外径が250mmを超える管などは「その他」の板厚になります。アルミの平板は、この表には入っていません。
同じ仕様書の標準の施工種別では、屋外に露出する管やダクト、多湿の場所はステンレス仕上げになっていますが、カラー鉄板やガルバの種別もあり、どれを使うかは特記で決まります。呼び径65以上の弁のカバーは、屋外ならステンレスかガルバとしています。
なお、JIS A 9501には板厚の数値はありません。メーカー品の例では、後神製作所のカタログで、ステンレス・ガルバが0.25〜0.35mm、カラーが0.27〜0.35mm、アルミが0.4mmの製品が載っています。
配管のサイズから板厚と切り幅を出す
板厚が「管・弁等」になるかどうかは、管の外径ではなく、保温を巻いたあとの外径で決まります。保温外径は「管の外径+保温厚×2」、外装の板の周長は「π×保温外径」です。
| 管と保温厚 | 保温外径 | 周長 | カラーの板厚 |
|---|---|---|---|
| 50A・25mm | 110.5 | 347.1 | 0.27mm |
| 100A・40mm | 194.3 | 610.4 | 0.27mm |
| 150A・50mm | 265.2 | 833.2 | 0.35mm |
単位はmmで、管の外径(50Aは60.5、100Aは114.3、150Aは165.2)と保温厚は計算のための例です。展開図ラボで計算しました。150Aに保温50mmを巻くと保温外径が250mmを超えるので、カラー鉄板やガルバは0.35mmになります。
実際に切る板の幅は、この周長に、はぜや重ねの代を足した寸法です。はぜや重ねの代は、使うはぜの形や現場の仕様で変わります。保温外径からエルボやT管の外装の展開図を出すには、保温板金(ラッキング)の展開図ツールが使えます。展開図の書き方は保温板金の展開図の書き方で説明しています。
継目の納め方
公共建築工事標準仕様書(第2編第3章)では、外装の継目を次のように決めています。
- 管:はぜ掛けか、ボタンパンチはぜ
- 曲がり部:えび状か、整形カバー
- 長方形ダクト・角形タンク:はぜ掛けで、継目は差込みはぜ
- 丸形タンク:差込みはぜで、鏡の部分は放射線形
立て管は重ねを下向きにする
JIS A 9501では、立て管の外装は、円周方向の重ね部をすべて下向きにし、通常25〜50mm重ねてひも出し加工をし、つり子で引っ掛けるのがよいとしています。上の板が下の板の外側にかぶさる向きにして、雨水が重ねの中に入らないようにするためです。円形ダクトの縦方向の継目も、25〜50mmの重ねとしています。
シールが必要な場所
公共建築工事標準仕様書では、屋外と屋内の多湿箇所の外装の継目はシールするとしています。シーリング材はシリコン系の1成分形で、耐熱120℃のものです。施工の前に油分・ほこり・さびを取り、天候が悪いときは作業を中止します。
保冷の外装は防湿層を傷つけない
JIS A 9501では、保冷の外装は、下の防湿層を切ったり、リベットで傷つけたりしないよう注意するとしています。屋外の保冷機器の外装は、はぜ掛けか、50mm以上の重ねとしています。
施工の順番
公共建築工事標準仕様書(表2.3.3)の、屋外・多湿の場所の管の例です。
- 保温筒を取り付ける。
- 鉄線で保温筒を締める。保温筒1本につき2か所以上、2巻き締めとする(帯状の材は50mmピッチ以下のらせん巻き)。
- ポリエチレンフィルムを巻く。
- 金属板(外装)を巻き、継目をはぜや重ねで納める。
- 屋外・多湿の場所は、継目をシールする。
同じ仕様書では、絶縁継手や絶縁フランジのまわりには、金属のラッキングをしてはならないとしています。
雨水が入りやすい場所
JIS A 9501(附属書G)では、外装から雨水が入る原因として、はぜ掛けのゆるみ、重ね合わせ部の外れ、バンドのはずれ、マスチックの劣化を挙げています。また、水がたまりやすい場所として、立て管の保温の末端、立ち上がりのエルボ、長い横引き管の下部を挙げています。施工のときは、これらの場所の重ねの向きとシールを特に確かめます。
よくある失敗
立て管の重ねを上向きにする
上向きの重ねは、雨水を受けて中に入れてしまいます。JIS A 9501のとおり、重ねはすべて下向きにします。
屋外の継目をシールしない
公共建築工事標準仕様書では、屋外と屋内の多湿箇所の継目はシールするとしています。
保温外径で板厚を判断しない
管が細くても、保温が厚いと保温外径が250mmを超え、カラー鉄板やガルバは0.35mmが必要になります。
保冷の防湿層をリベットで破る
防湿層が切れると結露の原因になります。外装の留め方を、防湿層を傷つけない方法にします。
ラッキングの施工方法についてよくある質問
ラッキングの板厚は何mmですか
公共建築工事標準仕様書では、カラー鉄板とガルバは保温外径250mm以下の管・弁等で0.27mm、それ以外で0.35mm、ステンレスは管・弁等で0.2mm以上、それ以外で0.3mm以上です。
屋外のラッキングはステンレスでないといけませんか
標準の施工種別では、屋外の管やダクトはステンレス仕上げですが、カラー鉄板やガルバの種別もあり、特記で決まります。
重ね代は何mmですか
JIS A 9501では、立て管の円周方向の重ねを通常25〜50mm、屋外の保冷機器は50mm以上としています。ビスやリベットの間隔、横引き管の重ね代の数値は、仕様書には書かれていないので、現場の仕様で決めます。
シールは何を使いますか
公共建築工事標準仕様書では、シリコン系の1成分形で耐熱120℃のシーリング材としています。









