配管の寸法の取り方(芯引き)芯-芯寸法から切断長さを出す計算と継手の芯引き表
配管の寸法取り(芯引き)は、図面や現場で測った「芯から芯まで」の寸法から、継手の分を差し引いて、管を切る長さを出す作業です。この記事では、JIS B 2301(ねじ込み式可鍛鋳鉄製管継手)、JIS K 6743(硬質ポリ塩化ビニル管継手)、JIS B 2311(突合せ溶接式管継手)と、継手メーカーの資料をもとに、芯引きの考え方、ねじ込み・塩ビ・溶接それぞれの芯引きの値と計算例をまとめます。
芯引きの考え方
配管の図面や現場の寸法は、ふつう管の中心線どうしの距離(芯-芯寸法)で表します。管を切る長さは、この芯-芯寸法から、両端の継手が受け持つ長さを引いて出します。
切断長さ = 芯-芯寸法 −(片側の芯引きの値)−(もう片側の芯引きの値)
芯引きの値は、継手の中心から、管の端が止まる位置までの長さです。ねじ込みなら「継手の中心から端面まで」から「ねじが入る長さ」を引いた値、塩ビの差込みなら「中心から受口の端まで」から「差込み深さ」を引いた値になります。JIS B 2301では、この値を「寸法取り長さ(Z寸法)」として、配管工事の補助と指針のための参考の表に載せています。
ねじ込み継手(JIS B 2301)の芯引き
| 呼び | 中心〜端面 | ねじ込み | 芯引き |
|---|---|---|---|
| 15A | 27 | 11 | 16 |
| 20A | 32 | 12 | 20 |
| 25A | 38 | 14 | 24 |
| 32A | 46 | 16 | 30 |
| 40A | 48 | 16 | 32 |
| 50A | 57 | 21 | 36 |
単位はmmで、90°エルボとチーズの値です。「中心〜端面」はJIS B 2301の表A.2・A.4、「ねじ込み」はねじのはめ合い長さの平均(表B.1)、「芯引き」は寸法取り長さ(表B.2・B.4)です。中心〜端面からねじ込みを引くと、どのサイズも芯引きの値と一致します。
45°エルボの芯引きは、15Aが10、20Aが13、25Aが15、32Aが18、40Aが21、50Aが21です(同じ表)。
ねじ込みの計算例
- 20Aのエルボからエルボまで、芯-芯1,000mm:1,000 − 20 − 20 = 960mm
- 25Aのエルボからチーズまで、芯-芯800mm:800 − 24 − 24 = 752mm
JIS B 2301では、継手の中心から端面までの寸法に、30mm以下で±1.5mm、30〜50mmで±2mm、50〜75mmで±2.5mmの許容差を認めています。ねじの締め込みの量も、ねじの規格(JIS B 0203)の範囲で少しずつ変わります。表の値は平均の目安なので、長い配管や納まりの厳しいところは、現物の継手で確かめます。管用ねじの種類は管用ねじの種類で説明しています。
塩ビのTS継手(JIS K 6743)の芯引き
| 呼び | 中心〜受口端 | 受口長さ | 芯引き |
|---|---|---|---|
| 13 | 36 | 26 | 10 |
| 16 | 43 | 30 | 13 |
| 20 | 50 | 35 | 15 |
| 25 | 58 | 40 | 18 |
| 30 | 65 | 44 | 21 |
| 40 | 82 | 55 | 27 |
単位はmmで、A形の90°エルボと同径チーズの値です。「中心〜受口端」と「受口長さ」はJIS K 6743の表11・13と表6の値で、芯引きは「中心〜受口端 − 受口長さ」を展開図ラボで計算した値です。管を受口の奥まで差し込む前提です。
クボタケミックスの資料では、管に付ける差込みの標線の長さを、φ40以下は受口長さ、φ50以上は「ゼロポイント+受口長さの3分の1」としています(ゼロポイントは、接着剤を付けずに管を差して止まる位置)。呼び50以上は差込みの深さが受口長さと違うので、上の表の計算はそのまま使えません。同じ資料では、無理に奥まで押し込むと破損の原因になるとしています。
塩ビの計算例
- 呼び20のエルボからエルボまで、芯-芯1,000mm:1,000 − 15 − 15 = 970mm
TS継手の種類や接着のしかたは塩ビ管の継手の種類で説明しています。
溶接継手(JIS B 2311)の芯引き
突合せ溶接式のエルボは、管の端と継手の端を突き合わせて溶接するので、差込みやねじ込みの分はありません。芯引きの値は、JIS B 2311の「中心から端面まで」の寸法(ロングエルボ・ショートエルボで違う)そのものです。
ただし、溶接では管と継手の間にすき間(ルート間隔)をあけるので、そのぶん管を短く切ります。
- 50Aのロングエルボ(中心〜端面76.2mm)からロングエルボまで、芯-芯1,000mm:1,000 − 76.2 − 76.2 − 2g = 847.6 − 2g(mm)
gはルート間隔で、たとえばg=2mmなら843.6mmです。ルート間隔の値は、溶接の施工要領や仕様で決めます。エルボの寸法の表はエルボの展開図の書き方、ルート間隔の考え方は溶接の開先角度とルート間隔で説明しています。
寸法取りの手順
- 図面や現場で、継手どうしの芯-芯寸法を測る。立体的な配管は、アイソメ図に寸法を書き込んでおく。
- 両端の継手の種類(エルボ・チーズ・45°エルボなど)と接合方法(ねじ込み・差込み・溶接)を確かめる。
- 継手ごとの芯引きの値を表やカタログで調べ、芯-芯寸法から引く。溶接はルート間隔も引く。
- 切る前に、実際の継手を管に当てて、寸法を確かめる。
立体の配管の芯-芯寸法を整理するには、配管アイソメの作図ツールが使えます。アイソメ図の書き方は配管アイソメ図の書き方で説明しています。
よくある失敗
両端のうち片側しか引かない
芯引きは、管の両端にある継手のそれぞれについて引きます。片側だけ引くと、芯引きの値の分だけ長く切ってしまいます。
45°エルボを90°の値で引く
45°エルボは中心〜端面の寸法が短く、芯引きの値も小さくなります(20Aなら90°が20、45°が13)。
呼び50以上の塩ビを受口長さで計算する
φ50以上は差込みの標線が「ゼロポイント+受口長さの3分の1」なので、受口長さで計算すると合いません。メーカーの資料で差込み深さを確かめます。
溶接のすき間を忘れる
ルート間隔の分を引かないと、管が長くなって芯-芯寸法が合わなくなります。
配管の寸法の取り方についてよくある質問
20Aのエルボの芯引きはいくつですか
ねじ込み式(JIS B 2301)の90°エルボで20mmです。中心〜端面32mmから、ねじのはめ合い長さの平均12mmを引いた値です。
芯引きの値はどこに載っていますか
ねじ込み式可鍛鋳鉄製管継手は、JIS B 2301の附属書に「寸法取り長さ(Z寸法)」の表があります。ほかの継手は、JISの寸法表やメーカーのカタログの値から計算します。
塩ビ管の差込み深さはどれくらいですか
TS継手の受口長さは、呼び20で35mm、呼び25で40mmなどです(JIS K 6743)。クボタケミックスの資料では、φ40以下は受口長さ、φ50以上はゼロポイント+受口長さの3分の1を標線としています。
溶接の配管はどう引きますか
エルボの中心〜端面の寸法と、ルート間隔(すき間)の分を引きます。









