保温板金(ラッキング)の展開図の書き方外装の径とエルボ・チーズの計算
保温板金(ラッキング)は、保温材を巻いた配管の外側を板金で覆う仕事です。展開図は、管の外径ではなく「外装の径」で考えるのがポイントです。この記事では、直管・エルボ・チーズの外装板の寸法の出し方を、100A(外径114.3mm)に保温50mmの例で説明します。
外装の径で展開する
| 求めるもの | 計算式 | 100A・保温50mm |
|---|---|---|
| 外装の径 | 管の外径 + 保温の厚さ × 2 | 214.3mm |
| 外装の円周 | 外装の径 × π | 673.2mm |
| 板の幅(重ね代30mm) | 円周 + 重ね代 | 703.2mm |
直管の外装板は、この幅と必要な長さの長方形です。重ね代の側を外にして、合わせ目が下や雨の当たらない向きになるように巻きます。
早見表:直管の外装の径と板の幅(重ね代30mm)
| 管 | 保温25mm | 保温40mm | 保温50mm |
|---|---|---|---|
| 50A(60.5) | 径110.5 / 幅377.1 | 径140.5 / 幅471.4 | 径160.5 / 幅534.2 |
| 80A(89.1) | 径139.1 / 幅467.0 | 径169.1 / 幅561.2 | 径189.1 / 幅624.1 |
| 100A(114.3) | 径164.3 / 幅546.2 | 径194.3 / 幅640.4 | 径214.3 / 幅703.2 |
| 150A(165.2) | 径215.2 / 幅706.1 | 径245.2 / 幅800.3 | 径265.2 / 幅863.2 |
単位はmmです。幅は 外装の径 × π + 重ね代30mm で、保温材の厚さの実寸がちがうときは計算し直してください。
エルボの外装:エビの形で覆う
エルボの外装は、中の配管エルボの曲げ半径に沿って、エビ管と同じようにピースを並べて覆います。90度を5ピースで覆う場合、1か所の切断角は 90 ÷(2 ×(5 − 1))= 11.25°です。100Aのロングエルボ(曲げ半径152.4mm)を外装の径214.3mmで覆うと、ピースの長さは次のようになります。
| ピース | 枚数 | 腹(内側)の長さ | 背(外側)の長さ |
|---|---|---|---|
| 中間ピース | 3枚 | 18.0mm | 103.3mm |
| 端ピース | 2枚 | 9.0mm | 51.6mm |
腹の長さは 2 × tan 11.25° ×(152.4 − 214.3 ÷ 2)、背の長さは 2 × tan 11.25° ×(152.4 + 214.3 ÷ 2)で出ます。端ピースはその半分です。外装の半径(外装の径の半分)が曲げ半径に近いほど腹が短くなり、ピースが細くなります。
外装の半径が曲げ半径以上になると、腹の長さが0以下になり、エビのピースが作れません。たとえば50Aのロングエルボ(曲げ半径76.2mm)に保温50mmを巻くと、外装の半径は80.3mmで、曲げ半径より大きくなります。このときは整形カバーを使うなど、別の納め方にします。
計算例2:150Aのロングエルボ・保温40mm・5ピース
150A(外径165.2mm)に保温40mmを巻くと、外装の径は245.2mmです。ロングエルボの曲げ半径228.6mmで、5ピース(切断角11.25°)なら、中間ピースは腹42.2mm・背139.7mm、端ピースはその半分です。外装の円周は770.3mmです。
チーズの外装:T管と同じ計算
チーズ(T)の外装は、主管と枝管それぞれの外装の径で、T管のえぐりと同じ計算をします。主管100A・枝管50A(外径60.5mm)に保温50mmなら、枝管の外装の径は160.5mmです。
| 求めるもの | 値 |
|---|---|
| 主管の外装の径 | 214.3mm |
| 枝管の外装の径 | 160.5mm |
| 枝管の外装のえぐりの深さ | 36.1mm |
| 主管の外装にあける穴(軸方向 × 円周方向) | 160.5 × 181.4mm |
えぐりの深さは、主管の外装の半径をR、枝管の外装の半径をrとして R − √(R² − r²)で出ます。えぐりの型紙の書き方はT管(えぐり)の展開図の書き方と同じです。
注意
ここでの計算は、外装板の板厚や、はぜ折り・ビス留めの寸法を含んでいません。保温材の厚さの実寸や、現場の仕様に合わせて調整してください。
保温50mmは計算の例です。公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編 令和7年版)の表2.3.7では、100Aの保温の厚さは、給湯管・温水管で25mm、冷水管・冷温水管と低圧の蒸気管で40mmです。外装板の厚さは、塗装亜鉛系めっき鋼板なら保温外径250mm以下の管で0.27mm、ステンレス鋼板なら管で0.2mm以上です。管の金属板巻きは、はぜ掛けかボタンパンチはぜとし、曲がり部はえび状か整形カバーとします。実際の厚さは設計図と特記仕様書で確かめてください。
よくある失敗
管の外径で展開する
外装板は保温材の外側に巻くので、管の外径ではなく外装の径(管の外径 + 保温の厚さ × 2)で展開します。管の外径で作ると、板が保温材に回りません。
重ね代の向きを考えずに巻く
重ね代の合わせ目が上を向くと、雨水が入りやすくなります。屋外では、合わせ目が下や雨の当たらない向きになるように巻きます。
エルボのピースが作れない組み合わせに気づかない
外装の半径が曲げ半径以上になると、エビのピースの腹の長さが0以下になります。保温が厚く曲げ半径が小さいときは、先に腹の長さを計算して確かめます。
保温板金(ラッキング)についてよくある質問
外装の径はどう出しますか
管の外径 + 保温の厚さ × 2 です。100A(外径114.3mm)に保温50mmなら214.3mmです。
エルボの外装は何ピースにしますか
決まりはなく、仕上がりと手間で決めます。ピースを増やすほど曲がりがなめらかになりますが、1枚ずつが細くなります。
保温の厚さはどう決まりますか
設計図と特記仕様書に従います。公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)では、管の種類と呼び径ごとに保温の厚さが決められています。









