板金の展開図の書き方平行線・放射線・三角形の3つの展開法と使い分け
板金の展開図は、形によって描き方が3つに分かれます。筒やエルボは平行線展開法、ホッパーやレジューサーは放射線展開法、偏心や角丸のように頂点が決まらない形は三角形展開法です。この記事では、3つの展開法の使い分けと、描く前に決めておく板厚・合わせ目・分割数、箱曲げの展開長の出し方をまとめます。
形で決まる3つの展開法
展開図を描くときは、立体の表面に引いた線(母線)を、本当の長さのまま平らに並べていきます。母線がどう並ぶかは形で決まっていて、それが3つの展開法の違いです。
| 展開法 | 母線の並び方 | 使う形 |
|---|---|---|
| 平行線展開法 | すべて平行 | 丸ダクト・パイプの斜め切り、エルボ(エビ管)、T管の枝管、角ダクトのエルボの背板・腹板 |
| 放射線展開法 | 1つの頂点に集まる | 円錐・円錐台(ホッパー、同心レジューサー)、角錐 |
| 三角形展開法 | 平行でも1点に集まるわけでもない | 偏心円錐台(偏心レジューサー)、角丸(角から丸)、ねじれた形 |
迷ったら、形を横から見て、表面の線を延ばしてみます。線が平行なら平行線展開法、延ばした線が1点で交わるなら放射線展開法、どちらでもなければ三角形展開法です。
描く前に決める3つのこと
1. 板厚のどこで寸法をとるか
板には厚みがあるので、外側と内側で円周の長さが違います。丸く巻く形(筒・円錐・エルボ)は、板厚の中心の径で展開するのが基本です。筒の場合、外径で寸法が決まっているなら「外径 − 板厚」、内径なら「内径 + 板厚」が板厚中心の径です。円錐のように壁が傾いている形は、水平に測った板厚が厚くなるので「板厚 × 母線 ÷ 高さ」を引き(足し)ます。
角に曲げる形(箱・チャンネル・角ダクト)は、板厚中心ではなく、曲げの伸びを外寸から差し引いて展開長を出します。計算は後の「箱曲げの展開長」で説明します。
2. 合わせ目をどこにとるか
合わせ目(はぎ目)は、展開図の両端になる線です。筒なら1本の母線、エルボならいちばん短い側(腹)か長い側(背)の線を合わせ目にすることが多いですが、現場によって違います。溶接やはぜ組みがしやすい位置、完成品で目立たない位置を選び、型紙の点0をその位置に合わせます。
3. 何分割で描くか
丸い形は、円周を12や24に等分した点ごとに長さを出し、点をなめらかにつないで展開線にします。小さい径なら12分割、径が300mmを超えるような大きいものは24分割以上が目安です。分割数による誤差の比較は展開図は何分割がいい?で説明しています。
平行線展開法の手順
- 正面図に、円周を等分した点から母線を引きます。
- 横に円周の長さ(板厚中心の径 × π)の基準線を引き、同じ数に等分します。
- 正面図の各母線の長さを、基準線の対応する点に立てます。
- 立てた点をなめらかにつなげば、切断線(展開線)になります。
パイプを斜めに切る場合、外径D・切断角θの各点の高さは D ÷ 2 × tanθ ×(1 − cos φ)で計算できます。手順と計算例はパイプの斜め切りの展開図、エルボはエビ管の展開図の書き方、枝管のえぐり(相貫線)はT管(えぐり)の展開図の書き方で説明しています。
放射線展開法の手順
- 正面図で、円錐台の母線を延ばして頂点を求めます。
- 頂点から大径までの長さが外側の半径R、小径までが内側の半径rです。
- 半径Rとrの円弧を描き、外側の弧の長さが大径の円周になる角度(展開角)で区切ります。
計算で出すと、大径D・小径d・高さHの円錐台では、母線の長さ s = √(H² +((D − d)÷ 2)²)、外側の半径 R = s × D ÷(D − d)、展開角 = 180° × D ÷ R です。大径600・小径200・高さ400なら、R = 670.8mm、r = 223.6mm、展開角 = 161.0° になります。くわしくは円錐台の展開図の計算式と書き方、同心レジューサーの例はレジューサーの展開図の書き方を見てください。
三角形展開法の手順
偏心円錐台や角丸は、母線を延ばしても1点で交わりません。そこで表面を細い三角形に分け、1つずつ本当の長さ(実長)を出して、順に並べていきます。
- 上下の形の周りを等分し、対応する点どうしを母線で、1つずれた点どうしを対角線で結びます。
- 各線の実長を、√(平面図での長さ² + 高さ²)で求めて表にします。
- 1本目の母線を引き、その両端から「周りの分割長」と「対角線の実長」をコンパスでとって、次の点を決めます。
- これをくり返して三角形をつなぎ、点をなめらかにつなぎます。
大径600・小径200・高さ400で中心を200ずらした偏心円錐台なら、母線はいちばん短いところで400.0mm、いちばん長いところで565.7mmです。手順の図と実長表は偏心円錐台の展開図の書き方、角ダクトから丸への形は角丸の展開図の書き方で説明しています。
箱曲げ・チャンネルの展開長
角に曲げる板金は、外寸を足しただけでは長くなりすぎます。曲げの角では板が外寸どおりに回らないため、1か所ごとに一定の長さを差し引きます。この差し引く長さを、現場では伸び値や控除量と呼びます。
| 求めるもの | 計算式 |
|---|---|
| 展開長 | 外寸の合計 − 伸び値 × 曲げの数 |
| 曲げ部分の長さ(90°) | π ÷ 2 ×(内側の曲げ半径 + K係数 × 板厚) |
| 伸び値(90°) | 2 ×(内側の曲げ半径 + 板厚)− 曲げ部分の長さ |
板厚1.6mm・内側の曲げ半径1.6mm・K係数0.35で、外寸50・100・50のチャンネルを作る場合、曲げ部分の長さは3.4mm、伸び値は3.0mmです。展開長は 200 − 3.0 × 2 = 194.0mm、曲げ線(曲げ部分の真ん中)は左端から48.5mmと145.5mmの位置になります。
伸び値は材料や板厚、曲げ型のV幅で変わります。たとえばアマダの資料では、SPCC 1.6mmを90°に曲げたときの伸びは、V幅6で2.64mm、V幅10で2.94mmです。計算の値は目安として、大事な部品は同じ材料と型で試し曲げをして、実測の伸び値で計算し直してください。
よくある失敗
形に合わない展開法を使う
中心がそろった円錐台は放射線展開法で扇形に描けますが、偏心した円錐台や角丸は母線の長さが場所ごとに違うので、三角形展開法を使います。扇形で描こうとすると形が合いません。
実長ではなく、図の見かけの長さで描く
正面図や平面図で傾いて見える線は、本当の長さより短く見えます。三角形展開法では、高さを含めた実長を計算してから描きます。
板厚を考えずに外寸で展開する
丸めたり曲げたりする板は、板厚の中心の寸法で展開します。外寸のままだと仕上がりが大きくなります。
展開図を自動で描くツール
展開図ラボでは、ここで説明した計算をそのまま使って展開図を作図し、原寸で印刷できるツールを無料で公開しています。
| 展開法 | ツール |
|---|---|
| 平行線展開法 | パイプの斜め切り、エビ管、T管(えぐり)、角ダクトのエルボ、保温板金 |
| 放射線展開法 | 円錐台、円錐、角錐台ホッパー |
| 三角形展開法 | 偏心円錐台、角丸ダクト・ホッパー |
| 曲げの展開長 | 板金の曲げの展開長 |
印刷した型紙がぴったり原寸になるように、型紙を原寸で印刷するコツも合わせて確認してください。
板金の展開図についてよくある質問
板金の展開図の書き方は何種類ありますか
平行線展開法・放射線展開法・三角形展開法の3つです。筒やエルボは平行線、円錐や円錐台は放射線、偏心した形や角丸は三角形展開法を使います。
どの展開法を使えばいいか迷ったら
母線がすべて平行なら平行線、1点に集まるなら放射線、どちらでもなければ三角形展開法です。三角形展開法はどの形にも使えますが、手間は一番かかります。
曲げる板の長さはどう出しますか
外寸の合計から、曲げ1か所ごとの伸び値を引いて出します。くわしくは板金の展開長の計算方法で説明しています。









