偏心ホッパー(四角)の展開図の書き方片寄せ・角寄せの計算
上の四角と下の四角の中心がずれた偏心ホッパー(四角いホッパー)は、4枚の面の形がそれぞれ違います。片側の面を垂直にした片寄せや、2面を垂直にした角寄せもこの仲間です。この記事では、面ごとの傾きの出し方、面の高さ・稜線の長さ・曲げ角度の式、800×600から300×200・高さ400の片寄せと角寄せの計算例、台形を1枚ずつ描く手順と板厚の補正、よくある失敗をまとめます。
偏心ホッパーとは
中心のそろったホッパーは、向かい合う面が同じ形になります。排出口を壁際や下の機械の口の位置に合わせたいときは、上下の四角の中心をずらします。これが偏心ホッパーです。ずらし方には、次のような呼び方があります。
- 偏心:左右・前後に好きな量だけずらす。4枚とも違う台形になる
- 片寄せ:1つの面が垂直になるまでずらす。垂直な面の両隣は、片側の辺が直角の台形になる
- 角寄せ:隣り合う2つの面が垂直になるまでずらす。1つの角の稜線が垂直になる
呼び方は会社や現場で違うことがあります。図面では、上下の中心のずれ(偏心量)か、どの面を垂直にするかで指示されます。
面ごとの傾きを出す
大きい方の四角を幅 W・奥行 L、小さい方を幅 w・奥行 l、高さを H、小さい方の中心のずれを右へ ex、奥へ ey とします。平面で見て、それぞれの面が大きい方の辺から水平にどれだけ入り込むか(入り込み d)を、面ごとに出します。
| 面 | 入り込み d |
|---|---|
| 右の面 | (W − w)÷ 2 − ex |
| 左の面 | (W − w)÷ 2 + ex |
| 奥の面 | (L − l)÷ 2 − ey |
| 手前の面 | (L − l)÷ 2 + ey |
d が0の面は垂直です。d がマイナスになるのは、小さい方の四角が大きい方からはみ出す形で、その面は外側へ倒れます。
面の高さ・稜線の長さ・曲げ角度の式
| 求めるもの | 計算式 |
|---|---|
| 面の高さ(台形の高さ) | √(H² + d²) |
| 上の辺の横へのずれ | 左右の面は ey、奥・手前の面は ex |
| 稜線(角の線)の長さ | √(H² + 左右の面の d² + 奥・手前の面の d²) |
| 稜線の曲げ角度 | cos(曲げ角度)=(2つの面の d の積)÷(2つの面の高さの積) |
どの面も、上の辺と下の辺は平行なので、台形です。中心のそろったホッパーとの違いは、面ごとに d が変わることと、上の辺が台形の真ん中からずれることです。稜線と曲げ角度は、その角で隣り合う2つの面の d を使います。曲げ角度は平らな板から何度折り曲げるかで、垂直な面が隣にある角は90°になります。
これらの値は角錐台ホッパーの展開図のツールに偏心量を入れると、面ごとの表と原寸の型紙で出せます。ツールの偏心量は、下の欄の四角の中心から見た上の欄の四角の中心のずれで、右と奥がプラスです。
計算例1:片寄せ(右の面を垂直に)
大きい方800×600、小さい方300×200、高さ400で、小さい方を右へ250ずらします。右の面の d は(800 − 300)÷ 2 − 250 = 0 なので垂直、左の面は 250 + 250 = 500 入り込みます。奥と手前の面は(600 − 200)÷ 2 = 200 です。
| 面 | d | 面の高さ | 上の辺のずれ |
|---|---|---|---|
| 右 | 0 | 400.0 | 0 |
| 左 | 500 | 640.3 | 0 |
| 奥 | 200 | 447.2 | 右へ250 |
| 手前 | 200 | 447.2 | 右へ250 |
| 角 | 稜線の長さ | 曲げ角度 |
|---|---|---|
| 右の2角 | 447.2 | 90.0° |
| 左の2角 | 670.8 | 69.6° |
単位はmmです。奥・手前の面は下の辺800・上の辺300、左右の面は下の辺600・上の辺200です。稜線は、右の角が √(400² + 0² + 200²)、左の角が √(400² + 500² + 200²)です。左の角の曲げ角度は、cos = 500 × 200 ÷(640.3 × 447.2)= 0.349 から69.6°です。奥と手前の面は、上の辺300を右へ250ずらすと右端が下の辺の右端と縦にそろい、片側の辺が直角の台形になります。
計算例2:角寄せ(右と奥の面を垂直に)
同じ寸法で、右へ250、奥へ200ずらします。右と奥の面の d が0になり、右奥の角の稜線は垂直で、長さは高さと同じ400です。
| 面 | d | 面の高さ | 上の辺のずれ |
|---|---|---|---|
| 右 | 0 | 400.0 | 奥へ200 |
| 左 | 500 | 640.3 | 奥へ200 |
| 奥 | 0 | 400.0 | 右へ250 |
| 手前 | 400 | 565.7 | 右へ250 |
| 角 | 稜線の長さ | 曲げ角度 |
|---|---|---|
| 右奥 | 400.0 | 90.0° |
| 左奥 | 640.3 | 90.0° |
| 右手前 | 565.7 | 90.0° |
| 左手前 | 755.0 | 56.5° |
左手前の稜線は √(400² + 500² + 400²)= 755.0mm です。垂直な面と隣り合う角は、どれも90°です。左手前の角だけが、cos = 500 × 400 ÷(640.3 × 565.7)= 0.552 から56.5°になります。
計算例3:左右・前後に少しずつずらす
同じ寸法で、右へ100、奥へ50ずらすと、4枚の面の d がすべて違います。
| 面 | d | 面の高さ |
|---|---|---|
| 右 | 250 − 100 = 150 | 427.2 |
| 左 | 250 + 100 = 350 | 531.5 |
| 奥 | 200 − 50 = 150 | 427.2 |
| 手前 | 200 + 50 = 250 | 471.7 |
| 角 | 稜線の長さ | 曲げ角度 |
|---|---|---|
| 右奥 | 452.8 | 82.9° |
| 左奥 | 552.3 | 76.6° |
| 左手前 | 587.4 | 69.6° |
| 右手前 | 495.0 | 79.3° |
4つの角の曲げ角度がすべて違うので、ベンダーで曲げるときは角ごとに角度を変えます。
偏心ホッパーの展開図の書き方
- 面ごとに d、面の高さ、上の辺のずれを表にします。
- 1枚目の面の下の辺を引き、そこから面の高さだけ離して平行な線を引きます。
- 下の辺の中心から、ずれの分だけ横へ動かした点を上の辺の中心にして、上の辺を描きます。
- 両端を結んだ斜めの辺(稜線)が、計算した稜線の長さになっているかを確かめます。
- その稜線を共有して隣の面を描き、4枚を順につなぎます。合わせ目は、垂直な稜線や短い稜線にとると溶接や組み立てが楽です。
台形の向きを裏返すと、ずれの向きが逆になります。描いた展開図を組み立てる向きで見て、上の辺がどちらへずれるかを確かめます。
板厚の補正
外寸で作るときは、面ごとの傾きに合わせて板厚の中心の寸法を出します。傾いた面では、板厚の半分が水平には「t ÷ 2 × 面の高さ ÷ H」になります。左右の面の傾きが違う偏心ホッパーでは、幅から引く量を左右で別々に出して足します。
計算例1を板厚3.2の外寸で作るなら、幅から引く量は 1.6 ×(640.3 ÷ 400)+ 1.6 ×(400 ÷ 400)≒ 2.56 + 1.60 = 4.16mm です。奥行は奥・手前とも 1.6 × 447.2 ÷ 400 ≒ 1.79mm で、合わせて3.58mm 引きます。板厚の中心の寸法は、大きい方が795.8×596.4、小さい方が295.8×196.4になり、偏心量250はそのままです。ツールの「寸法の基準」で外寸を選ぶと、この補正をして展開します。
偏心ホッパーでよくある失敗
4枚とも同じ台形で描く
中心がずれると、向かい合う面でも d が違います。面ごとに面の高さを出し直します。
上の辺を真ん中にそろえる
奥・手前の面の上の辺は ex、左右の面の上の辺は ey だけ横にずれます。真ん中にそろえて描くと、稜線の長さが計算と合わなくなります。
曲げ角度をすべて同じにする
偏心ホッパーは角ごとに曲げ角度が違います。中心のそろったホッパーの角度を使い回すと、上の口が四角になりません。
ずれの向きを取り違える
図面の「右へ250」が、上から見た向きか下から見た向きかを確かめます。ツールに入れるときは、右と奥がプラスです。
偏心ホッパーの展開図についてよくある質問
偏心ホッパーの展開図はどう描きますか
面ごとに入り込み d を出し、面の高さ √(H² + d²)と上の辺のずれで台形を1枚ずつ描いて、稜線を共有しながらつなぎます。
片寄せのホッパーの曲げ角度は
垂直な面と隣り合う角は90°です。そのほかの角は、cos(曲げ角度)=(2つの面の d の積)÷(2つの面の高さの積)で出します。
丸い偏心ホッパーは
丸い偏心ホッパーは偏心円錐台なので、三角形展開法で描きます。偏心円錐台の展開図の書き方を見てください。天端そろえ・底そろえの計算は偏心レジューサーの展開図にまとめています。









