偏心円錐台(偏心レジューサー)の展開図の書き方三角形展開法の手順
大径と小径の中心がずれた円錐台を偏心円錐台と呼び、配管では偏心レジューサーとも呼ばれます。展開図は扇形にならないので、三角形展開法で作図します。この記事では、実長の計算と作図の手順を説明します。
偏心円錐台は扇形にならない
中心がそろった円錐台は、どの母線も同じ長さなので、コンパスで扇形が描けます。偏心円錐台は母線の長さが場所ごとに違うため、母線1本ずつの本当の長さ(実長)を出して、三角形をつなげて展開します。
三角形展開法の考え方
大径と小径の円周を、同じ数に等分します。同じ番号の点どうしを結んだ線が母線、隣の番号と結んだ線が対角線です。側面を細長い三角形に分けて、1枚ずつ平らに並べていくと展開図になります。
実長の計算式
大径の半径をR1、小径の半径をR2、高さをH、偏心量をe、分割数をNとします。i番目の点の角度をφ = 360° × i ÷ N として、次のように計算します。
| 求めるもの | 計算式 |
|---|---|
| 下の点の座標 | (R1 cos φ, R1 sin φ, 0) |
| 上の点の座標 | (e + R2 cos φ, R2 sin φ, H) |
| 母線・対角線の実長 | 2点間の距離 √(Δx² + Δy² + Δz²) |
| 下辺の分割長 | π × 大径 ÷ N(円周をN等分した長さ) |
| 上辺の分割長 | π × 小径 ÷ N |
片寄せにする場合は、偏心量を e =(D − d)÷ 2 にします。
計算例:大径600・小径200・高さ400・片寄せ
偏心量e = 200mm、12分割で計算すると、実長は次のとおりです。点0が垂直の辺で、母線の長さは高さと同じ400mmになります。
| 点 | 母線の実長(mm) | 対角線の実長(mm) |
|---|---|---|
| 0 | 400.0 | 429.1 |
| 1 | 413.2 | 471.9 |
| 2 | 447.2 | 517.7 |
| 3 | 489.9 | 555.0 |
| 4 | 529.2 | 576.2 |
| 5 | 556.1 | 577.4 |
| 6 | 565.7 | 558.5 |
| 7 | 556.1 | 522.9 |
| 8 | 529.2 | 477.5 |
| 9 | 489.9 | 433.6 |
| 10 | 447.2 | 405.1 |
| 11 | 413.2 | 403.3 |
| 12 | 400.0 | ― |
下辺の分割長は157.1mm、上辺の分割長は52.4mmです。分割長は円周をN等分した長さにします。点どうしを結ぶ直線(弦)の長さでとると、1周で円周より短くなり、合わせ目が合わなくなります。対角線は、上のi番の点から下のi+1番の点までの長さです。
計算例2:大径300・小径150・高さ200・偏心40
片寄せでない、途中まで寄せた形の例です。偏心量e = 40mm、12分割で計算します。どの母線も垂直にはならず、点0の母線が最も短く、反対側の点6が最も長くなります。
| 点 | 母線の実長(mm) | 対角線の実長(mm) |
|---|---|---|
| 0 | 203.0 | 214.1 |
| 1 | 205.0 | 222.3 |
| 2 | 210.3 | 230.7 |
| 3 | 217.3 | 237.1 |
| 4 | 224.1 | 240.1 |
| 5 | 229.0 | 238.8 |
| 6 | 230.7 | 233.7 |
| 7 | 229.0 | 225.9 |
| 8 | 224.1 | 217.3 |
| 9 | 217.3 | 210.3 |
| 10 | 210.3 | 207.0 |
| 11 | 205.0 | 208.4 |
| 12 | 203.0 | ― |
下辺の分割長は78.5mm(300 × π ÷ 12)、上辺の分割長は39.3mm(150 × π ÷ 12)です。同心の円錐台(偏心0)なら、母線はすべて同じ長さ(この寸法なら213.6mm)になり、扇形で描けます。偏心量が大きくなるほど、母線の長さの差が大きくなります。
作図の手順
- 0番の母線(400.0mm)を1本引きます。下端が下の点0、上端が上の点0です。
- 上の点0から対角線の実長(429.1mm)、下の点0から下辺の分割長(157.1mm)をとり、交わった所が下の点1です。
- 下の点1から母線の実長(413.2mm)、上の点0から上辺の分割長(52.4mm)をとり、交わった所が上の点1です。
- 同じ手順を12番まで繰り返し、下の点どうし・上の点どうしをなめらかな曲線でつなぎます。
分割を細かくするほど、曲線の精度が上がります。三角形をつなぐたびに誤差が積み重なるので、手で描く場合は最後の点が合わせ目の長さに合うかを確かめてください。12番の母線が400.0mm、下辺の合計が157.1 × 12 = 1,885.0mm(600 × π)になれば合っています。
よくある失敗と注意点
対角線の向きを途中で変えてしまう
対角線は、上のi番の点から下のi+1番の点へ、最初から最後まで同じ向きでとります。途中で逆向き(下のi番から上のi+1番)の長さを使うと、三角形の形が変わって展開図がゆがみます。
誤差が積み重なって合わせ目が合わない
三角形を1枚ずつつなぐので、1か所の小さなずれが最後まで残ります。点をとるたびにコンパスの開きを確かめ、最後に12番の母線の長さと下辺の合計の長さで答え合わせをします。
板厚の補正
板厚がある場合は、円錐台の記事と同じく板厚中心の径で計算します。偏心円錐台は壁の傾きが場所で違うので、ツールでは傾きの平均で補正します。外寸で大径600・小径200・高さ400・偏心200、板厚3.2mmなら3.72mmを引いて、大径596.3・小径196.3で計算します。大きなものは、点0と点6で2枚に割ると板取りがしやすくなります。
偏心円錐台についてよくある質問
偏心円錐台はなぜ扇形で描けないのですか
母線の長さが場所ごとに違うので、1つの中心から同じ半径の円弧で描けないためです。母線と対角線の実長を1本ずつ出して、三角形をつないで描きます。
分割数はいくつにすればいいですか
12分割で形は出ますが、大きなものや偏心量の大きいものは、16分割や24分割にすると曲線がなめらかになります。分割数を増やすほど手間は増えるので、手で描く場合は大きさに合わせて決めます。
偏心レジューサーの展開と同じですか
同じです。配管の偏心レジューサーは、偏心量を(D − d)÷ 2 にした片寄せの偏心円錐台です。天端そろえ・底そろえの考え方は偏心レジューサーの展開図で説明しています。
三角形展開法を使うほかの形
角から丸へ変わる形も、同じ三角形展開法で描けます(角丸の展開図の書き方)。配管の偏心レジューサーの片寄せの計算は偏心レジューサーの展開図で説明しています。









