配管スリーブのサイズと入れ方管の外径+40mmの決め方、材料の使い分け、紙製スリーブ、梁貫通の決まり
配管スリーブは、コンクリートの壁・床・梁に配管を通すため、打設前に型枠へ入れておく筒です。この記事では、国土交通省の公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編・電気設備工事編・建築工事編)と、梁の貫通孔の数値をまとめた「建築構造設計基準の資料」をもとに、スリーブ径の決め方、材料の使い分け、紙製スリーブの撤去、梁貫通の決まりをまとめます。保温外径からスリーブ径を出す計算表もつけています。
スリーブ径は管の外径+40mm程度
公共建築工事標準仕様書では、スリーブの径を、管の外径(保温する管は保温の厚さを含む)より40mm程度大きなものとしています(機械設備工事編2.2.27、電気設備工事編2.9.1)。スリーブを取り外さない場合は、貫通孔の径はスリーブの内径になります(建築工事編6.8.2、電気設備工事編2.9.1)。
保温する管は「保温外径 = 管の外径 + 保温の厚さ × 2」で、保温を含めた外径に40mm程度を足します。保温の厚さは配管の保温の厚さでまとめています。
計算例:給水・給湯管(SGP、保温あり)
| 呼び径(保温厚) | 保温外径 | +40mm |
|---|---|---|
| 20A(20) | 67.2 | 107.2 |
| 25A(20) | 74.0 | 114.0 |
| 40A(20) | 88.6 | 128.6 |
| 50A(20) | 100.5 | 140.5 |
| 65A(20) | 116.3 | 156.3 |
| 80A(20) | 129.1 | 169.1 |
| 100A(25) | 164.3 | 204.3 |
計算例:冷水・冷温水管(SGP、保温あり)
| 呼び径(保温厚) | 保温外径 | +40mm |
|---|---|---|
| 20A(30) | 87.2 | 127.2 |
| 25A(30) | 94.0 | 134.0 |
| 40A(40) | 128.6 | 168.6 |
| 50A(40) | 140.5 | 180.5 |
| 65A(40) | 156.3 | 196.3 |
| 80A(40) | 169.1 | 209.1 |
単位はmmです。管の外径はJIS G 3452の配管用炭素鋼鋼管(SGP)、保温の厚さは公共建築工事標準仕様書の表2.3.7の値で計算しました(展開図ラボの計算)。同じ50Aでも、保温しなければ100.5mm、給水なら140.5mm、冷温水なら180.5mmで、呼び径だけで決めると冷温水で足りなくなります。仕様書の表現は「40mm程度」なので、実際の径は設計図の特記やスリーブ図に従います。
スリーブの材料の使い分け
機械設備工事編2.2.27では、特記がなければ次のようにしています。
- 地中で水密が要る部分:つば付き鋼管
- 地中で水密が要らない部分:硬質ポリ塩化ビニル管(VU)
- 柱・梁以外で、開口補強が要らず、スリーブ径200mm以下の部分:紙製仮枠でもよい
- それ以外の鋼管製のスリーブ:配管用炭素鋼鋼管(SGP)の白管
つば付き鋼管は、SGPの黒管に、つば幅50mm以上の鋼板を溶接したものです。鋼板の厚さは、機械設備工事編と建築工事編が6mm以上、電気設備工事編が3.2mm以上で、仕様書によって違います。亜鉛鉄板製のスリーブは、径200mm以下で厚さ0.4mm以上、200mmを超えると0.6mm以上です。
上の計算例では、+40mmの目安が200mmを超えるのは、給水・給湯(保温あり)で100A、冷温水で80A、保温なしで150Aからです(展開図ラボの計算)。この太さからは、紙製のスリーブは使えません。
電気設備工事編の決まり
- VUのスリーブは、防火区画と水密が要る部分には使わない
- 紙チューブは外径200mm以下のものとし、柱・梁には使わない
- 建物の外壁の貫通部など水密が要る所には、つば付鋼管か防水鋳鉄管を使う
入れ方と紙製スリーブの撤去
- 型枠に堅固に取り付ける:配管・ボックスなどは、構造耐力上・耐久性上支障のない位置に置き、コンクリートの打込みで動かないよう所定の位置に堅固に取り付ける(建築工事編6.8.3)。紙製仮枠は変形を防ぐ措置をする(機械設備工事編2.2.27)。
- 鉄筋のかぶりを確かめる:貫通孔に接する鉄筋のかぶり厚さは、最小かぶり厚さ以上とする(建築工事編5.3.5)。かぶり厚さは鉄筋のかぶり厚さの基準で説明しています。
- 紙製スリーブを取り除く:機械設備工事編では配管の前に必ず取り除き、建築工事編・電気設備工事編では型枠を外したあとに取り除く。
- 配管して隙間を埋める:紙製の仮枠を使った部分は、配管後にモルタル・ロックウールなどで充塡し、ロックウールは脱落防止をする(機械設備工事編2.4.1)。
外壁を貫通する配管とスリーブの隙間は、バックアップ材などを充塡してシーリングし、水密にします。地中で水密が要る部分はつば付き鋼管とし、配管はスリーブに触れないように施工します(機械設備工事編2.8.1)。防火区画を貫通する場合は、隙間をモルタルなどの不燃材料で埋める決まりがあります。詳しくは防火区画の貫通処理で説明しています。
梁を貫通するときの決まり
公共建築工事標準仕様書の建築工事編には、梁の貫通孔の大きさや間隔の数値はありません。国土交通省の「建築構造設計基準の資料」(官庁施設の構造設計の基準の解説)に、次の数値があります。
| 構造 | 孔径 | 中心間隔 |
|---|---|---|
| RC梁 | 梁せいの1/3以下 | 平均の3倍以上 |
| S梁 | 梁せいの1/2以下 | 平均の2倍以上 |
中心間隔は、となり合う2つの孔の径の平均に対する倍数です。SRC梁は、孔径が梁せいの1/3以下かつ鉄骨せいの1/2以下、中心間隔は平均の3倍以上です。
- RC梁は、原則として柱面から梁せいの1.5倍の範囲に設けない(短くする場合も1.0倍以上)。梁中央部の下端から梁せいの1/3の範囲にも設けない。上下の位置は梁せいの中央付近が望ましい
- RC梁で、孔径があばら筋のピッチより大きいときは、原則として孔の上下に縦筋を入れる
- 鉄骨梁は、継手の位置より柱側(仕口側)に設けない
- 補強に既製品を使う場合は、第三者機関の評定などを取ったものを使い、その内容による
既製の補強材は、製品ごとに使える範囲が決まっていて、上の数値と違うことがあります。梁の孔の位置と補強は構造設計者が決めるものなので、現場で孔を増やしたり位置を変えたりするときは、スリーブ図で承認を取ります。
よくある間違い
呼び径だけでスリーブ径を決める
保温する管は、保温を含めた外径に40mm程度を足します。冷温水のように保温が厚い管は、同じ呼び径でも大きなスリーブが要ります。
紙製スリーブを梁に使う
紙は、柱・梁以外で開口補強が要らず、径200mm以下の部分だけです。
紙製スリーブを残したまま配管する
紙製のスリーブは必ず取り除いてから、配管して隙間を埋めます。
防火区画にVUのスリーブを使う
電気設備工事編では、VUのスリーブは防火区画と水密が要る部分には使わないとしています。
配管スリーブについてよくある質問
スリーブの径はどう決めますか
管の外径(保温する管は保温を含む)より40mm程度大きくします(公共建築工事標準仕様書)。
紙製スリーブはどこに使えますか
柱・梁以外で、開口補強が要らず、径200mm以下の部分です。
梁貫通の孔径の上限は
国土交通省の資料では、RC梁は梁せいの1/3以下、鉄骨梁は1/2以下です。
地中の外壁を貫通するスリーブは
水密が要る部分は、つば付き鋼管を使います。









