角ダクトのオフセット(振り)の展開図振りの長さと切り位置の計算
角ダクトのオフセット(振り)は、ダクトの芯を平行にずらしてつなぐ継手です。梁や配管をよけるときによく使います。この記事では、振り量と角度から振り部分の長さを出す式、切り線(折り線)の位置のずれ b の計算、早見表、W400・振り量300・30°の計算例、R付きのエルボ2つで振るときの振り量の式、よくある失敗をまとめます。
角ダクトのオフセット(振り)の形
オフセットには、まっすぐな斜めの部分を角で折ってつなぐ直線の振りと、R付きのエルボを2つ向かい合わせにつなぐR付きの振りがあります。どちらも、振る方向のダクトの幅を W、芯どうしのずれを振り量 E、斜めに走る角度を θ として計算します。
三菱電機のグラスウールダクトの加工資料では、直管ダクトを2本の切り線で3つに切り、まん中のピースを反転して貼り合わせる方法でオフセットを作り、振り部分の長さと切り位置のずれを式と寸法表で示しています。鋼板のダクトで板を取るときも、寸法の考え方は同じです。
直線の振りの計算式
| 求めるもの | 計算式 |
|---|---|
| 振り部分の長さ ℓ(斜めの部分の長さ) | E ÷ sin θ |
| 振り部分がダクトの向きに進む長さ | E ÷ tan θ |
| 切り線の両端のずれ b | W × tan(θ ÷ 2) |
| 振り量と進む長さから角度を出す | θ = tan⁻¹(E ÷ 進む長さ) |
折れる所の切り線(板金では折り線)は、ダクトに直角な線から θ ÷ 2 だけ傾きます。そのため、振る方向の両側の面で、折る位置が b だけずれます。曲がりの内側になる面は芯より b ÷ 2 手前で、外側になる面は b ÷ 2 先で折れます。2つ目の折れでは内と外が入れ替わるので、両側の面の斜めの部分の長さは、どちらも ℓ で同じです。
早見表
切り線のずれ b(mm)
| 幅 W | 15° | 30° | 45° |
|---|---|---|---|
| 300 | 39.5 | 80.4 | 124.3 |
| 400 | 52.7 | 107.2 | 165.7 |
| 500 | 65.8 | 134.0 | 207.1 |
| 600 | 79.0 | 160.8 | 248.5 |
振り部分の長さ ℓ と進む長さ(mm)
| 振り量 E | 15° | 30° | 45° |
|---|---|---|---|
| 100 | 386.4(373.2) | 200.0(173.2) | 141.4(100.0) |
| 200 | 772.7(746.4) | 400.0(346.4) | 282.8(200.0) |
| 300 | 1,159.1(1,119.6) | 600.0(519.6) | 424.3(300.0) |
| 500 | 1,931.9(1,866.0) | 1,000.0(866.0) | 707.1(500.0) |
かっこ内が、振り部分がダクトの向きに進む長さです。展開図ラボで式から計算した値で、上の資料の寸法表(1mm単位)とも合っています。角度が小さいほど、同じ振り量でも振り部分が長くなります。
計算例:W400・振り量300・30°
- 振り部分の長さ ℓ = 300 ÷ sin 30° = 600.0mm
- 進む長さ = 300 ÷ tan 30° ≒ 519.6mm
- 切り線のずれ b = 400 × tan 15° ≒ 107.2mm(芯から片側 53.6mm)
振り始めの位置を芯で決めたら、1つ目の折れで内側になる面はそこから53.6mm手前、外側になる面は53.6mm先で折ります。そこから両側とも600.0mm進んだ所が2つ目の折れです。
計算例2:振り量と取れる長さが決まっているとき
梁をよけるため、振り量250mmを、ダクトの向きに600mmの間で振る場合です。
- 角度 θ = tan⁻¹(250 ÷ 600)≒ 22.6°
- 振り部分の長さ ℓ = √(250² + 600²)= 650.0mm
- W400 なら、切り線のずれ b = 400 × tan 11.3° ≒ 80.0mm
鋼板で作るときの板の取り方
鋼板の角ダクトでは、エルボと同じように、振る面に平行な2枚と、それをつなぐ2枚に分けて考えると寸法が出しやすくなります。
振る面に平行な2枚(Z形の板)
幅 W の帯を、直線・斜め・直線のZ形にした形です。芯の線(直線・角度 θ の斜め・直線)を描き、両側に W ÷ 2 ずつ平行線を引いて、平行線どうしが交わった点を折れ点にします。
折る2枚(幅はダクトの高さ)
長方形を2か所で θ だけ折る板です。長さは「直線部 + ℓ + 直線部」で、折る位置は2枚で b ずれます。
2枚の折る板は、全体の長さが同じで、1枚目は手前の直線部が b だけ短く、もう1枚は b だけ長くなります(後ろの直線部はその逆)。はぜ・フランジ・のりしろの代は、この寸法に工場の決まりどおり足します。継目やはぜの種類は、角ダクトの工法の仕様に合わせます。
R付きのエルボ2つで振るとき
R付きの振りは、同じ角度 θ のエルボを、向きを逆にして2つつないだ形です。内側の曲げ半径を Ri とすると、芯の半径は Rc = Ri + W ÷ 2 です。エルボの間に直線部 S を入れると、振り量と進む長さは次のようになります。
| 求めるもの | 計算式 |
|---|---|
| 振り量 E | 2 × Rc ×(1 − cos θ)+ S × sin θ |
| 進む長さ | 2 × Rc × sin θ + S × cos θ |
| 振り量 E を出すのに要る直線部 S | (E − 2 × Rc ×(1 − cos θ))÷ sin θ |
例:W400・内R200(芯R400)の30°エルボを2つ、直線部なしでつなぐと、振り量は 2 × 400 ×(1 − cos 30°)≒ 107.2mm、進む長さは 2 × 400 × sin 30° = 400.0mm です。振り量を300mmにしたいときは、直線部 S =(300 − 107.2)÷ sin 30° ≒ 385.6mm を間に入れ、進む長さは約734.0mmになります。
1つずつのエルボの側板・腹板・背板は、角ダクトのエルボの展開図のツールに角度30°を入れれば出せます。2つ目も同じ寸法で作り、向きを逆にしてつなぎます。内側の半径の決まりは角ダクトの曲がりの内側半径とガイドベーンにまとめています。
角ダクトのオフセットでよくある失敗
振り部分の長さを振り量と取り違える
振り量 E は芯どうしのずれで、斜めの部分の長さではありません。30°なら斜めの部分は振り量の2倍になります。
切り線をダクトに直角に引く
切り線(折り線)は直角から θ ÷ 2 傾けます。直角に切ると、貼り合わせたときに角がすき間になったり、重なったりします。
両側の面を同じ位置で折る
振る方向の両側の面では、折る位置が b ずれます。同じ位置で折ると、芯の位置がずれ、振り量が合わなくなります。
R付きの振り量を角度だけで決める
R付きの振りは、芯の半径と直線部でも振り量が変わります。図面の振り量に合うかを、上の式で確かめてから板を取ります。
角ダクトのオフセットについてよくある質問
オフセットの斜めの長さはどう出しますか
振り量 ÷ sin(振りの角度)です。振り量300mm・30°なら600mmです。
切り線の位置はどう決めますか
ダクトに直角な線から θ ÷ 2 傾けて引きます。振る方向の幅 W の両端で、W × tan(θ ÷ 2)だけずれます。
R付きでも振れますか
同じ角度のエルボを向きを逆にして2つつなぎます。振り量は 2 × 芯の半径 ×(1 − cos θ)に、間の直線部の分を足した値です。









