角ダクトの曲がり(エルボ)の内側半径とガイドベーン仕様書の決まりと抵抗の違い、板の寸法の計算
角ダクトの曲がり(エルボ)は、内側の半径を小さくすると場所を取らない代わりに、風の抵抗が大きくなります。この記事では、国土交通省の公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)令和7年版、ダクト部材メーカーのカタログ、空調メーカーの技術資料をもとに、内側半径の決まり、ガイドベーン(案内羽根)を入れる条件と部材、曲がりの形による抵抗の違いをまとめます。内側半径を決めたあとの側板・腹板・背板の寸法の出し方と計算例もつけています。
内側半径の決まり
公共建築工事標準仕様書(第3編 1.14.1)では、長方形ダクトの湾曲部の内側半径を、次のように決めています。
- 長方形ダクトの内側半径は、半径方向の幅の1/2以上とする
- 1/2以上とれないときは、必要に応じて、ダクトの内部に案内羽根を設ける
- スパイラルダクトの内側半径は、その半径以上とする
基準は「曲がる方向の幅」
1/2の基準は、ダクトの長辺ではなく、半径方向の幅(曲がる向きの寸法)です。同じ400×300のダクトでも、曲げる向きで必要な内側半径が変わります。
| 曲がる方向の幅 | 内側半径 |
|---|---|
| 300 | 150以上 |
| 400 | 200以上 |
単位はmmで、展開図ラボで計算した値です。同じ仕様書では、曲がり部だけの板厚や補強の決まりはなく、板厚は直管と同じく長辺の寸法で決まります。
曲がりの形と風の抵抗
三菱電機の技術資料(空気調和衛生工学便覧 第12版の値)では、90°の角ダクトの曲がりの損失係数ζを、形ごとに示しています。展開図ラボで、内側半径と幅の関係に読み替えると次のとおりです。
| 曲がりの形 | ζの目安 |
|---|---|
| 内R=幅 | 0.17〜0.20 |
| 内R=幅の1/2 | 0.21〜0.25 |
| 内R=幅の1/4 | 0.44〜0.52 |
| 内側が角 | 1.2〜1.3 |
| 内外とも角 | 1.1〜1.3 |
| 内外とも角+羽根2枚 | 0.44 |
ζの幅は、ダクトの縦横の比で変わる分です。「内外とも角」は、内側も外側も角にした直角の曲がり(資料では「折りつなぎ」)です。圧力損失は、0.6 × ζ × 風速² (Pa)で計算できます(同じ資料)。
計算例:400×400の90°エルボ、風速8m/s
- 内R200(幅の1/2):0.6 × 0.21 × 8² ≒ 8.1Pa
- 内R0(内側が角):0.6 × 1.2 × 8² ≒ 46.1Pa
同じ90°の曲がりでも、内側を角にすると抵抗はおよそ5〜6倍になります。仕様書の1/2以上という決まりは、この差を避けるためのものと読めます(展開図ラボの考え)。
ガイドベーン(案内羽根)
ガイドベーンは、曲がりの内部に入れて風を曲がりに沿って流す板です。公共建築工事標準仕様書と標準図には、羽根の形や枚数の決まりは載っていません。
羽根1枚の入れ方の目安
特許庁の標準技術集(建築設備技術者協会の施工標準からの引用)では、曲がりの内側半径がダクトの幅より小さいときに案内羽根を設けるとし、羽根が1枚のときは、次のようにするとしています。
- 羽根とダクトの内側との間隔は、ダクト幅の1/3
- 羽根の先端は、気流の出口側へダクト幅の1/3だけ延ばす
幅400なら、内側の板から133mmほどの位置に羽根を置き、出口側へ133mmほど延ばします(展開図ラボの計算)。この資料は、仕様書の「幅の1/2」とは基準が違うので、現場の仕様書や設計図の指示を優先します。
直角エルボの羽根
同じ資料では、直角エルボ(内側も外側も角)を使う場合は、数枚の案内羽根を設けるとしています。市販品では、フカガワの総合カタログに、円弧形の「ガイドベーン」(S:t0.5×1,829mm、L:t0.5×2,000mm)と、羽根を差し込んで並べる「ガイド枠」(S:t0.6×1,829mm、L:t0.8×1,829mm)が載っています。直角エルボの上下の面にガイド枠を付け、羽根を斜めの線に沿って並べる使い方です。同じカタログでは、ガイドベーンとガイド枠の長さや幅はメーカーによって違うとしています。
曲がりの板の寸法の出し方
角ダクトのエルボは、扇形の側板2枚と、内側の腹板・外側の背板でできています。曲がる方向の幅をW、内側半径を内Rとすると、次の式で寸法が出ます。
- 外R = 内R + W
- 腹板の曲がりの長さ = 内R × 角度(ラジアン)
- 背板の曲がりの長さ = 外R × 角度(ラジアン)
- 腹板・背板の幅 = ダクトの奥行(高さ)
計算例
| 条件 | 腹板 | 背板 |
|---|---|---|
| 内R100・90° | 157.1 | 785.4 |
| 内R0・90° | 0 | 628.3 |
| 内R100・45° | 78.5 | 392.7 |
400×300のダクトを400の面で曲げる場合の、曲がりの部分だけの長さ(mm)です。直線部を両端に50mmずつ付けるなら、それぞれに100mmを足します。内R100は、仕様書の幅の1/2(200)より小さいので、必要に応じて羽根を入れる寸法です。
内側半径・角度・直線部を入れると、側板の型紙と腹板・背板の長さを出せる角ダクトのエルボの展開図ツールもあります。ツールは外側を円弧にした形だけで、外側も角にした直角エルボと、羽根の作図には対応していません。側板の描き方は角ダクトのエルボの展開図の書き方で説明しています。
よくある失敗
長辺の1/2で内側半径を決める
仕様書の基準は「半径方向の幅」です。短い辺の面で曲げるなら、短い辺の1/2で足ります。逆に、長い辺の面で曲げるのに短い辺で決めると、半径が足りなくなります。
場所がないからと内側を角にする
内側を角にすると、抵抗はR付きの5〜6倍になります。どうしても内側半径がとれないときは、羽根を入れる納め方を設計者と相談します。
羽根の位置を内側に寄せすぎる
羽根1枚の目安は、内側から幅の1/3です。位置や延ばす長さが足りないと、羽根の効果が小さくなります。
角ダクトの曲がりについてよくある質問
角ダクトのエルボの内側半径はいくつですか
公共建築工事標準仕様書では、半径方向の幅の1/2以上です。幅400の面で曲げるなら200mm以上です。
ガイドベーンはいつ必要ですか
同じ仕様書では、内側半径が幅の1/2以上とれないときに、必要に応じて設けるとしています。
ガイドベーンの枚数の決まりはありますか
国土交通省の仕様書と標準図には、枚数の決まりはありません。羽根1枚の入れ方の目安は、施工標準を引用した特許庁の資料にあります。
スパイラルダクトの曲がりは
同じ仕様書では、スパイラルダクトの湾曲部の内側半径は、そのダクトの半径以上としています。









