角ダクトの工法アングルフランジ・共板フランジ・スライドオンフランジの違いと使える範囲
角ダクト(長方形ダクト)のつなぎ方には、アングルフランジ工法、共板フランジ工法、スライドオンフランジ工法があります。この記事では、国土交通省の公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)令和7年版と公共建築設備工事標準図、横浜市の施工マニュアル、ダクト部材メーカーのカタログをもとに、3つの工法の違い、使える範囲、フランジの作り方とつなぎ方、フランジや吊りの間隔をまとめます。
3つの工法の関係
公共建築工事標準仕様書(1.14.3)では、長方形ダクトを「アングルフランジ工法ダクト」か「コーナーボルト工法ダクト」とし、どちらを使うかは特記によるとしています。コーナーボルト工法には、共板フランジ工法とスライドオンフランジ工法があります。
- アングルフランジ工法:山形鋼(アングル)でフランジを作り、ボルトで全周を締める
- 共板フランジ工法:ダクト本体の端を折り曲げてフランジにし、4隅のボルトと押さえ金具でつなぐ
- スライドオンフランジ工法:成形したフランジをダクトに差し込んでスポット溶接し、4隅のボルトと押さえ金具でつなぐ
コーナーボルト工法は長辺1,500mm以下
同じ仕様書では、コーナーボルト工法ダクトは長辺1,500mm以下のダクトに使うとしています。共板・スライドオンの接合材料の表は、低圧ダクトの行だけです。横浜市の施工マニュアルでは、コーナーボルト工法を「低圧ダクトで、かつ、長辺1,500mm以下」とし、排煙ダクトと厨房排気ダクトはアングルフランジ工法としています。
工法ごとの比較
使える範囲
| 工法 | 長辺 | 表の圧力 |
|---|---|---|
| アングル | 上限なし | 低圧・高圧 |
| 共板 | 1,500以下 | 低圧 |
| スライドオン | 1,500以下 | 低圧 |
フランジと吊りの間隔
| 工法 | フランジ | 吊り |
|---|---|---|
| アングル | 1,820以下 | 3,640以下 |
| 共板 | 1,750以下 | 2,000以下 |
| スライドオン | 1,840以下 | 3,000以下 |
単位はmmで、公共建築工事標準仕様書の値です。アングルフランジ工法の長辺は、接合材料の表が「2,200を超えるもの」まであり、上限が書かれていないという意味です。機械室内で長辺450mm以下の横走りダクトは、コーナーボルト工法の吊り間隔を2,000mm以下とするただし書きがあります。
アングルフランジ工法
フランジは、山形鋼を溶接加工して接触面を平らに仕上げ、ボルト穴を開けたものとし、ダクトにはリベットかスポット溶接で取り付けます。フランジ部のダクトの端の折り返しは5mm以上です(公共建築工事標準仕様書 1.14.3.6)。
| 長辺 | 山形鋼 |
|---|---|
| 750以下 | 25×25×3 |
| 1,500以下 | 30×30×3 |
| 2,200以下 | 40×40×3 |
| 2,200超 | 40×40×5 |
表3.1.16の山形鋼の最小寸法(mm)です。どの長辺でも、リベットは呼び径4.5以上を65mm以下の間隔、ボルトはM8以上を100mm以下の間隔で、全周を締めます。三喜工業のカタログでは、フランジの内側の寸法を「ダクトサイズ+5mm」、ボルト穴のピッチを100mmとしています。
共板フランジ工法
公共建築設備工事標準図では、共板フランジ工法を、ダクト本体を成形加工してフランジにし、組み立てるときにコーナー金具を付け、4隅のボルト・ナットと専用のフランジ押さえ金具(クリップなど)でつなぐ工法としています。フランジの板厚はダクトの板厚と同じです(仕様書 1.14.3.6)。
- フランジは高さ30mm・幅9.5mm。コーナー金具の板厚は、長辺1,200mm以下で1.2mm以上、1,200mmを超えると1.6mm以上(表3.1.17)
- フランジ押さえ金具は長さ150mm以上で、再使用しない(表3.1.17)
- 押さえ金具は、端から150mm以内、金具どうしの間隔200mm以内で付ける(標準図)
三喜工業のカタログでは、コーナーピースを1.6t、クリップをSC-5(1.0t)・SC-6(1.2t)としています。
スライドオンフランジ工法
標準図では、鋼板を成形加工してフランジを作り、ダクトに差し込んでスポット溶接し、4隅のボルト・ナットと専用のフランジ押さえ金具(ラッツなど)でつなぐ工法としています。
- 長辺450mm以下はフランジの高さ19mm・コーナー金具の板厚2.0mm以上、450mmを超えると高さ20mm・板厚2.3mm以上。コーナー金具のボルトはM8(表3.1.18)
- 押さえ金具は厚さ4.0mm以上で、辺の長さ450mm以下は0個、750mm以下は1個、1,500mm以下は2個(標準図)
ガスケット
公共建築工事標準仕様書では、アングルフランジ工法のガスケットはフランジ幅と同じものとしています。厚さの数値は国の仕様書にはなく、横浜市の施工マニュアルでは、アングルフランジ工法3.0mm以上、コーナーボルト工法5.0mm以上としています。4隅しかボルトのないコーナーボルト工法では、ガスケットと押さえ金具が漏れを止める要になります(展開図ラボの考え)。
かどの継目と補強
- ダクトのかどの継目は、ピッツバーグはぜかボタンパンチスナップはぜ(仕様書 1.14.3.4)。標準図の寸法は、ボタンパンチ12〜15mm、ピッツバーグ10〜15mm
- 長方形ダクトの縦横比は、原則4以下(1.14.3.3)
- 保温しないダクトで幅か高さが450mmを超えるものは、300mm以下の間隔で補強リブを入れる(1.14.3.7)
- 排煙ダクト(亜鉛鉄板製の長方形)は、アングルフランジ工法の高圧ダクトとし、かどの継目はピッツバーグはぜとする(1.14.5)
重さの目安
標準図の振れ止め支持の部材選定用の表では、低圧ダクトで保温なしの1mあたりの質量の目安を、周長2mでアングルフランジ工法20kg、コーナーボルト工法13kgとしています。周長2m以上では、コーナーボルト工法のほうが軽い値です。
ダクトの板厚はダクトの板厚の基準、曲がりの内側半径とガイドベーンは角ダクトの曲がりとガイドベーンで説明しています。エルボの側板・腹板・背板の寸法は角ダクトのエルボの展開図ツールで出せます。
よくある間違い
長辺1,500mmを超えるダクトを共板でつなぐ
コーナーボルト工法は長辺1,500mm以下です。それを超えるダクトは、アングルフランジ工法にします。
共板の押さえ金具を使い回す
共板フランジ工法の押さえ金具は、再使用しないと決められています。
共板の吊り間隔をアングルと同じにする
吊り間隔は、アングル3,640mm以下に対して、共板は2,000mm以下、スライドオンは3,000mm以下です。
角ダクトの工法についてよくある質問
共板フランジとアングルフランジの違いは
アングルフランジは山形鋼のフランジを全周ボルトで締め、共板フランジはダクト本体を折り曲げたフランジを4隅のボルトと押さえ金具でつなぎます。共板は長辺1,500mm以下のダクトに使います。
共板フランジのクリップの間隔は
標準図では、端から150mm以内、金具どうしの間隔200mm以内です。
排煙ダクトは共板でよいですか
公共建築工事標準仕様書では、亜鉛鉄板製の長方形の排煙ダクトはアングルフランジ工法の高圧ダクトとしています。
アングルフランジのボルトの間隔は
M8以上のボルトを100mm以下の間隔で締めます(表3.1.16)。









