大きい円の書き方コンパスが届かない円を床や板に描く3つの方法と座標の早見表
コンパスで届かない大きい円は、「中心から回して描く」「基準線から座標を測って点を打つ」「円周を等分して点を打つ」のどれかで描きます。床の墨出し、丸いカウンターや見切り、板金の大きな丸板など、現場で半径1m以上の円を描くときの手順と、そのまま使える座標の早見表、中心が使えないときの描き方、描いた円の確かめ方をまとめます。数値はすべて計算で確かめています。
大きい円の3つの描き方
- 中心から回す(メジャー・棒・糸):中心のまわりを一周できるとき。回す道具が伸びたりたるんだりしないようにする
- 基準線から座標を測る:中心のまわりを回れないとき、精度がほしいとき。直角を正確に出す
- 円周を等分して点を打つ:円周上に穴やアンカーの位置も出したいとき。点と点の間はなめらかにつなぐ
方法1:中心から回して描く
手順
- 中心に印を付け、動かないように釘やビスを打つ(床なら中心にテープを貼って保護する)
- 中心から半径の位置に印を付けた道具(メジャー、穴をあけた木の棒、ワイヤーなど)を引っかける
- 道具を張ったまま、半径の位置で鉛筆やチョーク、墨さしを当てて回す
- 一周したら、何か所かで中心から半径を測り直して確かめる
伸びない道具を使う
糸やひもは引っ張ると伸び、ゆるめるとたるむので、半径が変わります。半径1,200mmで0.5%伸びると6mmずれる計算です。細長い木の棒に、中心の釘と鉛筆の穴を半径の間隔であけた「棒コンパス」にすると、半径が変わりません。メジャーを使うときは、ツメを中心の釘に掛けて、同じ力で張ったまま回します。
方法2:基準線から座標を測って点を打つ
中心を通る基準線を引き、中心から x の位置で基準線に直角に y を測ると、円の上の点になります。
y = √(R² − x²)
点を十分に細かく打ってから、点をなめらかにつなぎます。直角は、3:4:5の三角形や対角線で出します。直角の出し方は大矩(おおがね)の作り方と直角の出し方で説明しています。
早見表:半径1,200mm
| x | y | x | y |
|---|---|---|---|
| 0 | 1,200.0 | 700 | 974.7 |
| 100 | 1,195.8 | 800 | 894.4 |
| 200 | 1,183.2 | 900 | 793.7 |
| 300 | 1,161.9 | 1,000 | 663.3 |
| 400 | 1,131.4 | 1,100 | 479.6 |
| 500 | 1,090.9 | 1,150 | 342.8 |
| 600 | 1,039.2 | 1,200 | 0 |
早見表:半径1,500mm
| x | y | x | y |
|---|---|---|---|
| 0 | 1,500.0 | 900 | 1,200.0 |
| 150 | 1,492.5 | 1,050 | 1,071.2 |
| 300 | 1,469.7 | 1,200 | 900.0 |
| 450 | 1,430.9 | 1,350 | 653.8 |
| 600 | 1,374.8 | 1,500 | 0 |
| 750 | 1,299.0 |
単位はmmです。円の端(x が R に近いところ)は y が急に変わるので、点の間隔を細かくします。半径1,200mmなら、1,100から1,200の間に1,150の点を足すと線がつなぎやすくなります。基準線の反対側にも同じ y を測れば、円の残り半分が出ます。
方法3:円周を等分して点を打つ
円周を n 等分したときの、となりの点どうしの直線の長さ(弦の長さ)は次の式です。
弦の長さ = 2 × R × sin(180° ÷ n)
| 分割数 | R1,200 | R1,500 |
|---|---|---|
| 8等分 | 918.4 | 1,148.1 |
| 12等分 | 621.2 | 776.5 |
| 16等分 | 468.2 | 585.3 |
| 24等分 | 313.3 | 391.6 |
| 36等分 | 209.2 | 261.5 |
円の上に1点を決めたら、そこから弦の長さで次の点を、さらに次の点を、と順に打っていきます。誤差がたまるので、半周(反対側の点)で、中心を通る直線上に乗っているかを確かめます。円周上にアンカーや穴を等間隔で配置するときにも、この弦の長さが使えます。分割数と精度の関係は展開図は何分割がいい?も参考にしてください。
中心が使えないときは弦と矢高で描く
中心が壁の向こうになる、円の一部(円弧)だけ描きたい、というときは、弦(円弧の両端を結ぶ直線)を基準線にして、弦からの高さを測ります。中心から弦までの距離は R − 矢高 なので、弦の中心から x の位置の高さは次の式です。
高さ = √(R² − x²)−(R − 矢高)
半径2,000mm・弦2,400mmなら、矢高は400mmで、弦の中心から200mmごとの高さは 400.0、390.0、359.6、307.9、233.0、132.1、0 です(x=0〜1,200mm)。弦と矢高から半径を出す計算はアーチ開口の作り方でも紹介しています。円弧の型板ツールを使えば、高さの表と原寸の型紙をすぐに出せます。ツールの表は弦の端からの距離で並びます。
描いた円の確かめ方
- 中心から何か所かで半径を測る。すべて同じなら円になっている
- 直径を、向きを変えて2〜3か所で測る(中心を通る直線の長さ)
- 円周の長さを測るなら、直径 × π と比べる(直径2,400mmで約7,539.8mm、直径3,000mmで約9,424.8mm)
楕円になっているときは、直径が向きによって違います。原因は、回す道具の伸び、中心の釘の動き、座標の直角のずれのどれかです。
大きい円を描くときによくある失敗
中心の釘がゆるんで動く
何周も回すうちに中心が動くと、円がずれます。中心は深く打ち、途中で位置を確かめます。
鉛筆の角度で半径が変わる
鉛筆を寝かせたり立てたりすると、線の位置が数mm変わります。同じ角度で当てて回します。
座標の y を斜めに測る
基準線に直角でない向きに y を測ると、点がずれます。ずれは x と y が同じくらいのところ(中心から斜め45°のあたり)でいちばん大きく、半径1,200mmで1°傾くと約10mm外にずれます。
大きい円の書き方についてよくある質問
コンパスがないとき、大きい円はどう描きますか
木の棒に中心の釘と鉛筆の穴を半径の間隔であけた棒コンパスが手軽です。メジャーのツメを中心の釘に掛けて回す方法もあります。
半径1,200mmの円の座標は
中心から x の位置で y = √(1,440,000 − x²)です。x=600なら1,039.2、x=900なら793.7mmです(上の早見表)。
円周を12等分する長さは
半径1,200mmなら、となりの点どうしの直線距離は621.2mmです(2 × 1,200 × sin15°)。
円の一部だけ描きたいときは
弦と矢高から半径を出し、弦からの高さを測って点を打ちます。円弧の型板ツールで、表と原寸の型紙が出せます。









