大矩(おおがね)の作り方と直角の出し方3:4:5で墨出しする手順と寸法表
大矩(おおがね)は、墨出しで大きな直角を出すための道具、またはその方法です。3:4:5の比の三角形が必ず直角になることを使い、メジャーだけで正確な直角を出せます。この記事では、大矩の意味、直角になる理由、よく使う寸法、メジャーで直角を出す手順、大矩の作り方、長方形の対角線で直角を確かめる方法まで、寸法の例つきで説明します。
大矩(おおがね)とは
読み方と意味
大矩は「おおがね」と読みます。「矩(かね)」は直角のことで、大きな直角を出す道具や方法を大矩と呼びます。板材で3:4:5の三角形の定規を作ったものを指すことも、メジャーで3:4:5の三角形を作って直角を出す方法を指すこともあります。
曲尺(さしがね)との違い
曲尺も直角を出す道具ですが、よく使う曲尺は長い方の辺が50cmほどしかないので、部屋や基礎のような大きな直角を出すと、先に行くほどずれが大きくなります。大矩なら、メジャーの長さの分だけ大きな三角形を作れるので、大きな範囲でも正確な直角が出せます。
3:4:5の三角形が直角になる理由
三平方の定理から、3² + 4² = 9 + 16 = 25 = 5² が成り立つので、3辺の長さが3:4:5の三角形は、3と4の辺のあいだが90度になります。大工の世界では「さしご(三四五)」とも呼ばれ、昔から直角を出す方法として使われています。
大矩でよく使う寸法
| 倍率 | 3の辺 | 4の辺 | 5の辺(斜め) |
|---|---|---|---|
| 300倍 | 900mm | 1,200mm | 1,500mm |
| 500倍 | 1,500mm | 2,000mm | 2,500mm |
| 600倍 | 1,800mm | 2,400mm | 3,000mm |
| 900倍 | 2,700mm | 3,600mm | 4,500mm |
| 1,000倍 | 3,000mm | 4,000mm | 5,000mm |
3:4:5以外の比
三平方の定理が整数で成り立つ組み合わせは、ほかにもあります。5:12:13や8:15:17も直角三角形になります。細長い範囲で直角を出したいときに使えます。
メジャーで直角を出す手順
- 基準の墨(親墨)の上に、直角を出したい点Aを決めます。
- 基準の墨に沿って、Aから4の長さ(例:2,000mm)の点Bに印を付けます。
- Aから3の長さ(例:1,500mm)、Bから5の長さ(例:2,500mm)で、2本のメジャーが交わる点Cを探します。
- AとCを結んだ線が、基準の墨に直角な線です。
- Cから先に延ばすときは、延ばした先でもう一度同じ方法で確かめます。
斜めの5の辺を1mm読み違えると、直角が少し狂います。900・1,200・1,500mmの三角形では、3m先で約4mmずれます。2,700・3,600・4,500mmなら約1.4mmです。大きい三角形ほど、読み違いの影響が小さくなります。
一人で直角を出すとき
メジャーが1本しかないときや一人で作業するときは、Aから3の長さで短い円弧を床に描き、Bから5の長さでも円弧を描いて、2つの円弧の交点をCにします。メジャーの先を釘や重りで押さえておくと、一人でも円弧を描けます。
大矩(道具)の作り方
何度も直角を出す現場では、板材で3:4:5の三角形の定規を作っておくと便利です。
- まっすぐな板を3本用意し、3の辺と4の辺の板をL字に仮に留めます。
- 角の内側から、3の辺と4の辺の上に、それぞれ正確な長さの印を付けます(例:900mmと1,200mm)。
- 2つの印のあいだがちょうど5の長さ(1,500mm)になるように開き、斜めの板で固定します。
- できあがったら、裏返して同じ墨に当て、表と裏で直角がずれないかを確かめます。
表と裏でずれるときは、直角が出ていないということです。ずれが半分になるように調整し、もう一度裏返して確かめます。
長方形の直角は対角線で確かめる
部屋や基礎のように長方形の墨を出したときは、向かい合う辺の長さがそれぞれ同じで、2本の対角線の長さも同じなら、4つの角が直角です。対角線の長さは √(縦² + 横²)で計算できます。
| 長方形の大きさ | 対角線の長さ |
|---|---|
| 1,820 × 1,820mm | 2,573.9mm |
| 3,640 × 2,730mm | 4,550.0mm |
| 5,460 × 3,640mm | 6,562.1mm |
3,640 × 2,730mmは、910mmの4倍と3倍なので、対角線はちょうど5倍の4,550mmになります。2本の対角線に差があるときは、角が直角になっていないので、辺の長さを保ったまま角の位置を少しずつ動かし、2本が同じ長さになるまで測り直します。
大矩についてよくある質問
大矩はどのくらいの大きさで作ればいいですか
大きいほど、先に延ばしたときのずれが小さくなります。現場で持ち運べて、使う範囲に近い大きさにするのが目安です。部屋の墨出しなら、900・1,200・1,500mmや、1,500・2,000・2,500mmの大きさがよく使われます。
レーザー墨出し器があれば大矩はいりませんか
レーザー墨出し器でも直角のラインを出せますが、器械の精度の確認や、電源がない場所での作業には大矩が役立ちます。レーザーで出した直角を、大矩や対角線で確かめるという使い方もできます。
直角を出したあとの墨出し
直角を出した墨は、ほかの墨の基準(親墨)になります。墨の種類と墨出しの順番は親墨・子墨・地墨の違いと墨出しの順番、通り芯から離して打つ墨は逃げ墨(返り墨)とはで説明しています。直角ではない角度で墨を出すときは、勾配の計算方法の換算表や、勾配の換算ツールも使えます。









