フランジの中心振り分けボルト穴の位置とピッチ、けがき方と早見表
配管のフランジのボルト穴は、縦と横の芯(中心線)の上に穴を置かず、芯をはさんで左右に振り分けて配置するのが原則です。この記事では、中心振り分けの意味、振り分けた穴の位置の角度と座標、穴どうしの間隔(ピッチ)の計算式、JIS 10Kフランジの呼び径ごとの早見表、フランジにけがく手順、溶接で取り付けるときの向きの合わせ方までをまとめます。フランジの寸法は、JIS B 2220(鋼製管フランジ)にもとづくバルブメーカーの寸法表の値です。
ボルト穴の中心振り分けとは
中心振り分け(センター振り分け)は、フランジの縦の芯と横の芯の上に穴を置かず、芯の両側に同じ角度だけ離して穴を置く配置です。配管工事を行う川口液化ケミカルの解説でも、ボルト穴は中心振り分けを原則として配置するとしています。
振り分けにすると、縦の芯をはさんだ上の2つの穴が同じ高さに並びます。JIS B 2220の10Kフランジのボルトの本数は、呼び径300Aまでで4本・8本・12本・16本と4の倍数なので、上下・左右のどちらの芯に対しても、穴が対称に並びます。
相手のバルブやポンプのフランジも同じ配置なら、配管側のフランジも振り分けで取り付けないと穴が合いません。8穴のフランジを芯の上に穴が来るように付けてしまうと、相手と22.5°ずれます。
振り分けた穴の位置の計算式
ボルト穴中心円の直径(PCD)をD、ボルトの本数をnとすると、穴どうしの角度は360°÷n、振り分けたいちばん上の穴は、縦の芯から180°÷nの位置にあります。
- 穴の角度:縦の芯から 180°÷n、そこから360°÷nずつ
- 横の位置:x=D÷2×sin(角度)
- 縦の位置:y=D÷2×cos(角度)
- となりの穴との間隔(ピッチ):p=D×sin(180°÷n)
上の2つの穴は、縦の芯から左右にp÷2ずつの位置にあります。ピッチが分かれば、芯からp÷2の所に1つ目の穴の位置を取り、あとはディバイダーをpに開いて円の上を順に送れば、全部の穴の位置が出ます。
計算例:10K 100A(PCD175mm・8穴)
| 求めるもの | 計算(mm) |
|---|---|
| 穴どうしの角度 | 360÷8=45° |
| 上の穴の角度 | 180÷8=22.5° |
| ピッチ | 175×sin22.5°=66.97 |
| 芯からの横の位置 | 87.5×sin22.5°=33.48 |
| 中心からの高さ | 87.5×cos22.5°=80.84 |
8つの穴の座標は、中心を原点、上を+として、(±33.48, ±80.84)と(±80.84, ±33.48)の組み合わせです(展開図ラボの計算)。上下・左右とも芯をはさんで対称になります。
計算例2:10K 200A(12穴)
穴どうしの角度は30°、上の穴は縦の芯から15°です。ピッチは290×sin15°=75.06mm、穴の座標は(±37.53, ±140.06)、(±102.53, ±102.53)、(±140.06, ±37.53)です(展開図ラボの計算)。
早見表:JIS 10Kの穴の振り分け
ボルト穴中心円の径と本数は、昭和バルブ製作所の「JIS 10K並形フランジの基準寸法」(JIS B 2220:2012)の値です。ピッチと芯からの位置は、展開図ラボで計算しました。
| 呼び径 | PCD | 本数 | ピッチ | 芯から |
|---|---|---|---|---|
| 15A | 70 | 4 | 49.50 | 24.75 |
| 20A | 75 | 4 | 53.03 | 26.52 |
| 25A | 90 | 4 | 63.64 | 31.82 |
| 32A | 100 | 4 | 70.71 | 35.36 |
| 40A | 105 | 4 | 74.25 | 37.12 |
| 50A | 120 | 4 | 84.85 | 42.43 |
| 65A | 140 | 4 | 98.99 | 49.50 |
| 80A | 150 | 8 | 57.40 | 28.70 |
| 100A | 175 | 8 | 66.97 | 33.48 |
| 125A | 210 | 8 | 80.36 | 40.18 |
| 150A | 240 | 8 | 91.84 | 45.92 |
| 200A | 290 | 12 | 75.06 | 37.53 |
| 250A | 355 | 12 | 91.88 | 45.94 |
| 300A | 400 | 16 | 78.04 | 39.02 |
単位はmmです。「芯から」は、上の2つの穴の中心が縦の芯から左右に離れる距離(ピッチの半分)です。4穴のフランジは45°の位置なので、芯からの横と縦の距離が同じになります。5K・20Kなど他の呼び圧力は、ボルト穴中心円の径と本数をその寸法表から取って、同じ式で計算します。フランジの寸法はフランジの規格にまとめています。
フランジにボルト穴をけがく手順
- フランジの面に、中心を通る縦と横の芯を直角に引く。
- コンパスで、ボルト穴中心円(PCD)の円を描く。
- 縦の芯から左右にピッチの半分(100Aなら33.48mm)の位置に、芯と平行な線を引き、円と交わる点を上の2つの穴の中心にする。
- ディバイダーをピッチ(100Aなら66.97mm)に開き、円の上を順に送って残りの穴の中心を打つ。
- 最後の穴から最初の穴までもピッチになっているか確かめ、ずれていればピッチを開き直して打ち直す。
- 穴の中心にポンチを打ち、ボルト穴の径(100Aなら19mm)の円を描いてから穴をあける。
ディバイダーで送ると、1回ごとの小さなずれが重なります。本数が多いときは、芯からの座標で4分の1ずつ位置を出し、その間をディバイダーで分けると、ずれが小さくなります。円の描き方や座標で点を取る方法は大きい円の書き方でも説明しています。
溶接するときの向きの合わせ方
中心振り分けなら、縦の芯をはさんだ上の2つの穴は同じ高さにあります。管を水平に置いたとき、上の2つの穴に水平器を当てて水平なら、穴は縦の芯に対して振り分けになっています。立て管の場合は、管の向き(配管の通りや機器の芯)に合わせて、同じように2つの穴の位置で芯をはさむように合わせます。
- 仮付けの前に、上の2穴の水平と、フランジの面が管に直角かを確かめる
- 相手のフランジ(バルブ・ポンプ・機器)の穴の向きを先に確かめる
- エルボの先に付けるフランジは、エルボの向きを決めてから穴の向きを合わせる
図面で穴の向きが指定されているときは、図面に従います。
振り分けでよくある間違い
芯の上に穴を置いてしまう
穴が芯の上に来る向きで溶接すると、振り分けの相手と穴が合いません。8穴なら22.5°、4穴なら45°ずれます。
ピッチを円周÷本数で出す
円周÷本数は円の弧の長さで、ディバイダーで測る直線の間隔とは違います。100Aなら弧は175×π÷8=68.72mm、直線の間隔は66.97mmです。ディバイダーには直線の間隔(D×sin(180°÷n))を使います。
PCDを外径と取り違える
PCDはボルト穴の中心を通る円の直径です。100Aの10Kならフランジの外径は210mm、PCDは175mmです。
振り分けについてよくある質問
なぜ中心振り分けにするのですか
相手のフランジと穴を合わせるために、配置を同じ原則にそろえています。振り分けにすると、上下・左右の芯に対して穴が対称になり、上の2穴を水平にすれば向きが決まります。強度や設計上の理由は機器や設計によって説明が違うので、ここでは配置の決まりと計算だけを扱います。
10K 100Aのボルト穴の間隔は
PCD175mm・8穴なので、となりの穴の中心どうしの直線の間隔は175×sin22.5°=66.97mmです。上の2穴は、縦の芯から左右に33.48mmずつです。
4穴のフランジの穴の位置は
縦の芯から45°の位置です。中心から縦・横ともPCD÷2×0.7071の所にあり、50AならPCD120mmで42.43mmずつです。









