親墨・子墨・地墨の違いと墨出しの順番陸墨・逃げ墨・立ち墨までまとめて解説
墨出しで打つ墨には、親墨・子墨・地墨・陸墨・逃げ墨・立ち墨など、役割ごとに名前があります。どの墨が基準で、どの墨がそこから出したものかを分けておくと、間違いを見つけやすく、直すときも迷いません。この記事では、墨の種類ごとの意味の違いと、墨出しを進める順番、上の階への墨の上げ方、よくある質問までまとめます。
墨の種類と意味の違い
| 墨 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 親墨(おやずみ) | ほかの墨を出すときの基準になる墨 | 通り芯、通り芯の逃げ墨 |
| 子墨(こずみ) | 親墨から測って出す墨 | 壁の位置、開口、設備の位置 |
| 地墨(じずみ) | 床やスラブの上に打つ、平面の位置を示す墨 | 壁の下の墨、柱の位置 |
| 陸墨(ろくずみ) | 壁や柱に打つ、高さの基準の水平な墨 | FL+1000 |
| 立ち墨(たちずみ) | 壁や柱に打つ垂直な墨 | 柱の芯、開口の縦の位置 |
| 逃げ墨(返り墨) | 本来の位置から決まった距離だけ離して打つ墨 | X1 返り1000 |
親墨と子墨は「基準かどうか」、地墨・陸墨・立ち墨は「どこに打つか」で分けた呼び方です。たとえば床に打った通り芯の逃げ墨は、地墨であり、親墨でもあります。
親墨(基準墨)
親墨は、その階のすべての墨の出発点になる墨です。通り芯や、通り芯の逃げ墨が親墨になります。基準墨と呼ぶ現場もあります。親墨が間違っていると、そこから出した墨がすべてずれるので、出したら必ず直角と距離を確かめます。
子墨
子墨は、親墨から測って出す墨です。壁の芯や仕上がり面、開口、設備の位置など、実際に工事で使う墨の多くが子墨です。
地墨・陸墨・立ち墨
床に打つのが地墨、壁や柱に水平に打つのが陸墨、垂直に打つのが立ち墨です。平面の位置は地墨、高さは陸墨、壁の上での縦の位置は立ち墨で表します。
子墨を必ず親墨から測る理由
子墨から次の子墨を測ると、少しずつの誤差が積み重なって、部屋の端で大きなずれになります。たとえば1本ごとに1mmずつずれると、10本先では最大で10mmのずれになります。親墨をまとめて先に出し、子墨はすべて親墨から測る、という順番を守ると、どこかで間違えても、その1本だけを直せば済みます。
墨出しの順番
ここでは一般的な流れの一例を示します。構造や工程によって順番は変わるので、現場の段取りに合わせます。
1. 基準を確認する
測量の杭やベンチマーク、前の工程で出した基準の位置と高さを確かめます。ここを間違えると建物全体がずれるので、2か所以上から確認します。
2. 親墨を出す
通り芯と、その逃げ墨を出します。交わる親墨どうしが直角になっているかを、3:4:5の三角形や対角線の長さで確認します。
3. 子墨を出す
親墨から測って、壁・柱・開口・設備の位置の地墨を出します。壁は芯の墨と仕上がり面の墨のどちらを出すかを、現場で決めておきます。
4. 陸墨を出す
壁や柱にFL+1000などの高さの基準を打ちます。
5. 立ち墨と高さの墨を出す
陸墨と地墨から、開口の縦の位置や、天井・設備の高さを出します。
6. 確認して書き込む
図面と寸法を照らし合わせ、墨に名前・寸法・記号を書き込みます。ほかの職種が使う墨は、どの墨が何を表すのかが分かるようにしておきます。
上の階へ墨を上げる方法
上の階の親墨は、下の階の親墨から写して出します。床のコンクリートに小さな穴(墨出し穴)をあけておき、下げ振りや鉛直を出せるレーザーで、下の階の親墨の位置を上の階に移します。縦横の親墨の交点を、建物の四隅など複数か所で上の階に移し、移した点どうしの距離と対角線を確かめてから結んで上の階の親墨にし、あとは下の階と同じ順番で子墨を出していきます。
間違えた墨の扱い
間違えた墨は、消し忘れると次の工程の人が使ってしまいます。間違えた墨には×を連ねて書くなど、現場で決まった印で消したことが分かるようにし、正しい墨をはっきり打ち直します。
墨の種類についてよくある質問
親墨と基準墨は違うものですか
ほぼ同じ意味で使われています。どちらも、ほかの墨を出すときの基準になる墨のことです。
地墨と陸墨はどう違いますか
地墨は床に打つ平面の位置の墨、陸墨は壁や柱に打つ高さの基準の墨です。地墨で「どこに」、陸墨で「どの高さに」を決めます。
子墨は誰が出しますか
現場によって、墨出しの専門業者がまとめて出す場合と、それぞれの職種が親墨から自分で出す場合があります。どちらの場合も、子墨は親墨から測るのが基本です。









