陸墨(ろくずみ)とはFL+1000の出し方と、陸墨から天井・窓の高さを出す計算
陸墨(ろくずみ)は、壁や柱に打つ水平な墨で、建物の中の高さの基準になります。多くの現場では床の仕上がり面(FL)から1,000mm上に打ち、天井・窓・ドア・カウンター・設備の高さは、この陸墨から測って決めます。この記事では、陸墨の意味、FL・GL・SLとの関係、陸墨から高さを出す計算、道具ごとの出し方、よくある質問までまとめます。
陸墨(ろくずみ)とは
「陸」は水平という意味
建築で「陸(ろく)」は水平という意味で使われます。平らな屋根を陸屋根(ろくやね)と呼ぶのと同じです。陸墨は「水平の墨」「高さの基準の墨」のことで、水墨(みずずみ)と呼ぶ現場もあります。FL+1000の場合はメーター墨と呼ぶこともあります。陸墨から上に出す墨を上がり墨、下に出す墨を下がり墨ともいいます。
陸墨が必要な理由
床はまだ仕上がっていなかったり、場所によって高さがわずかに違ったりするので、床から直接測ると高さがそろいません。そこで、建物の中で同じ高さになる水平の線を壁や柱に打ち、すべての高さをそこから測ります。陸墨があれば、職種が違っても、部屋が違っても、同じ基準で高さを合わせられます。
陸墨の高さはFL+1000が基本
FL+1000にする理由
陸墨は、FL(フロアライン、フロアレベルとも:床の仕上がり面)から1,000mm上に打つことが多く、「FL+1000」「FL+1M」などと書き込みます。1,000mmにしておくと、FLからの高さを出すときに1,000を足し引きするだけで済み、計算の間違いが起きにくくなります。立った人の腰のあたりの高さなので、見やすく、測りやすいという利点もあります。
FL+1000以外の陸墨もある
現場によっては、FL+500や、天井の工事のためにさらに高い位置に陸墨を打つこともあります。外まわりの工事では、地盤面(GL)を基準にした高さの墨を使うこともあります。陸墨を使うときは、書き込みを見て「どの床から何ミリか」を必ず確かめます。
FL・GL・SL・CHと陸墨の関係
| 記号 | 意味 | 陸墨との関係の例 |
|---|---|---|
| GL | グランドライン。建物のまわりの地盤面 | 基礎や外まわりの高さの基準 |
| SL | スラブレベル。床のコンクリートの上端 | 仕上げの厚さが50mmなら、FLはSL+50 |
| FL | フロアレベル。床の仕上がり面 | 陸墨はFL+1000が多い |
| CH | シーリングハイト。FLから天井の仕上がり面までの高さ | CH2,400なら陸墨から1,400上 |
陸墨から高さを出す計算
陸墨がFL+1000のときは、「出したい高さ − 1,000」を計算します。答えがプラスなら陸墨より上、マイナスなら下に測ります。
| 出したい高さ | 計算 | 陸墨からの距離 |
|---|---|---|
| 床の仕上がり面(FL) | 0 − 1,000 | 1,000mm下 |
| 天井(CH2,400) | 2,400 − 1,000 | 1,400mm上 |
| 窓の下端(FL+900) | 900 − 1,000 | 100mm下 |
| 窓の上端(FL+2,000) | 2,000 − 1,000 | 1,000mm上 |
| カウンターの天端(FL+850) | 850 − 1,000 | 150mm下 |
天井の高さを出す
天井の下地を組むときは、壁の陸墨から「CH − 1,000」だけ上に天井の仕上がりの高さを出し、そこから天井の仕上げ材と下地の厚さを差し引いて、下地の高さを決めます。
窓・ドア・設備の高さを出す
窓やドアの高さ、コンセントやスイッチ、給排水の位置は、図面に「FL+〇〇」と書かれていることが多いので、同じように1,000を引いて陸墨からの距離にします。上か下かを取り違えやすいので、測る前に「上なのか下なのか」を声に出して確認すると間違いが減ります。
陸墨の出し方
- 基準となる高さ(ベンチマークや、前の工程で出した基準の高さ)を確認します。
- 道具を据えて、基準の高さに合わせます。
- FL+1000の高さを、部屋の四隅や柱ごとに印していきます。
- 印を結んで水平に墨を打ちます。長い壁は、途中にも印を取ってから打ちます。
- 「FL+1000」と書き込み、別の場所の陸墨と高さがそろっているかを確かめます。
レーザー墨出し器で出す
レーザー墨出し器は、部屋の壁に水平のラインを映せるので、一人でも陸墨を出せます。器械の高さを基準に合わせ、映ったラインの上に印を付けて墨を打ちます。使う前に、器械が水平の精度を保っているかを確かめておきます。
オートレベルで出す
オートレベルとスタッフ(標尺)を使うと、離れた場所どうしでも高さを正確に合わせられます。基準の点でスタッフの目盛りを読み、各所で同じ読みになる高さに印を付けます。二人で作業するのが基本です。
水盛りで出す
水を入れた透明なホースの両端の水面は同じ高さになります。これを使う方法が水盛りです。電気がいらず、壁の裏側など見通せない場所にも高さを移せます。ホースの中に空気の泡が入っていると高さがずれるので、泡を抜いてから使います。
床が仕上がる前に陸墨を打つとき
コンクリートを打った直後など、床の仕上げがまだない段階でも、陸墨は床の仕上がり面(FL)を基準にして打つことが多いです。躯体の段階ではSL+1000のように、床のコンクリートの面を基準に打つ現場もあるので、書き込みを必ず確かめます。コンクリートの上端(SL)と仕上がり面の差は、図面の床の仕上げの厚さから計算します。スラブの上に50mmの仕上げが載るなら、図面のスラブの上端(SL)から1,050mm上が「FL+1000」の陸墨です。実際のスラブの面はでこぼこがあるので、高さはベンチマークから出します。
陸墨を打つときの注意
- 基準にする高さは1つに決め、階ごと・部屋ごとに別の基準を使わないようにします。
- 墨が隠れる前に、壁のボードや型枠の外側など、工事の後半まで残る場所にも写しておきます。
- 仕上がりの高さが部屋ごとに違う場合(段差や土間)は、どの床のFLかを書き込みます。
- 打ったあとは、離れた2か所以上で基準からの高さを測り直して確かめます。
- 上の階の高さは、すぐ下の階の陸墨から順に上げていかず、1階の基準の高さから鋼製巻尺で測り上げるのが一般的です。下の階から順に上げると、誤差が重なるためです。
陸墨についてよくある質問
陸墨と水墨は違うものですか
どちらも水平の高さの基準の墨のことで、ほぼ同じ意味で使われています。現場や地域によって呼び方が違います。
陸墨が部屋ごとにずれていたらどうしますか
どちらかが間違っているので、基準の高さ(ベンチマークなど)に戻って測り直します。ずれた陸墨のまま工事を進めると、天井や建具の高さが部屋ごとに違ってしまいます。間違っていた墨は、使わないことが分かるように消しておきます。
陸墨は誰が打ちますか
現場によって、墨出しの専門業者、大工、現場監督などが打ちます。誰が打った墨でも、使う前に書き込みと高さを確かめる習慣をつけておくと安心です。
陸墨とあわせて知っておきたい墨
陸墨は高さの基準、床に打つ地墨は平面の位置の基準です。通り芯から離して打つ墨は逃げ墨(返り墨)とは、墨に書き込む記号は墨出しの記号の意味で説明しています。天井の下地や壁の割付を決めるときは、壁の割付図や下地のピッチ割付のツールも使えます。









