下げ振りの使い方柱の建て入れの確認と上の階へ墨を移す方法
下げ振り(さげふり)は、糸の先におもりを吊るして、鉛直(真下の方向)を出す道具です。柱や型枠が垂直に立っているかを確かめる「建て入れ」の確認や、上の階へ墨の位置を移すときなどに使います。電気がいらず、どこでも同じように使えるので、レーザー墨出し器が広まったいまでも、現場で使われ続けています。この記事では、下げ振りの各部の名前、建て入れの確かめ方、上の階へ墨を移す方法、揺れを止めるコツと注意点をまとめます。
下げ振りとは
重力で鉛直を出す道具
糸で吊るしたおもりは、止まると必ず真下を向きます。この性質を使って、糸に沿った鉛直の線を出すのが下げ振りです。おもりの先は円すい形にとがっていて、真下の一点を正確に示せるようになっています。
各部の名前
| 部分 | 役割 |
|---|---|
| おもり(錘) | 先がとがった重り。先端が真下の点を示す |
| 糸 | おもりを吊るす糸。細いほど位置を正確に読める |
| 糸巻き・ホルダー | 糸の長さを調整する部分。柱や型枠に引っかけて使うものもある |
おもりの重さは製品によってさまざまです。重いほど風で揺れにくく、軽いほど持ち運びや扱いが楽になります。高い所から長く吊るすときは、重めのものが使いやすくなります。
下げ振りで建て入れ(垂直)を確かめる
手順
- 柱の上の方に、柱の面から一定の距離だけ離した位置で糸を吊るします。当て木や専用のホルダーを使うと、離す距離を決めやすくなります。
- おもりの揺れが止まるのを待ちます。
- 柱の上の方(A)と下の方(B)で、柱の面から糸までの距離を測ります。
- AとBが同じなら、その面は垂直です。違うときは、差の分だけ柱が傾いています。
- 柱の直角に交わる2つの面で同じように確かめます。1つの面だけでは、もう一方の向きの傾きが分かりません。
下げ振りの保持器には、取り付けた面から糸までの距離を決められる製品があります。たとえばタジマのQキャッチ450は、面一・50mm・60mmの3段階に切り替えられ、100〜1000gの下げ振りを吊るせます。下では、面から糸までが同じ距離かをスケールで測ります。
傾きの量の考え方
上で測ったAが下で測ったBより大きいときは、柱の上の方が糸から離れる向き、つまり糸と反対の側に傾いています。差が5mmなら、測った2点の間で5mm傾いていることになります。どこまでのずれを許すかは、工事の種類や設計図書、会社の基準で決まります。
下げ振りで上の階へ墨を移す
上の階の基準の墨は、下の階の基準の墨から写して出します。床にあけた小さな穴(墨出し穴)から下げ振りを吊るし、おもりの先を下の階の墨に合わせて、上の階の糸の位置に印を付けます。
- 上の階から、墨出し穴を通して下げ振りを下ろします。
- 下の階で、おもりの先が基準の墨(交点など)の真上に来るように、上で糸の位置を少しずつ動かします。
- 揺れが止まり、おもりの先が墨に合ったら、上の階の床に糸の位置の印を付けます。
- 同じようにして2点以上を移し、それを結んで上の階の基準の墨にします。
上下の階で声を掛け合う2人作業になることが多い作業です。鉛直の点を出せるレーザー墨出し器を使えば、1人でも作業できます。
揺れを止めるコツ
- 風が当たる場所では、糸とおもりのまわりを板などでかこって風をよけます。
- おもりを水を入れたバケツの中に吊るすと、水の抵抗で揺れが早く止まります。おもりがバケツの底や側面に触れないようにします。
- 糸をつまんで揺れを手で止めず、自然に止まるのを待ちます。手で止めると、糸が曲がったり位置がずれたりします。
- 揺れが小さく残るときは、左右に揺れる幅の真ん中を読みます。
下げ振りを使うときの注意点
- 糸にねじれや折れ目があると、おもりが回ったり糸が曲がったりします。糸は傷んだら取り替えます。
- おもりの先が曲がっていると、真下の点がずれます。落としたおもりは、先の曲がりを確かめます。
- 高い所から吊るすときは、おもりの落下に気を付け、下に人がいないことを確かめます。
- 糸が型枠や鉄筋などに触れていないかを、上から下まで確かめます。触れていると、鉛直になりません。
下げ振りとレーザー墨出し器の使い分け
| 道具 | 長所 | 注意点 |
|---|---|---|
| 下げ振り | 電源がいらない、安い、狂いが出にくい | 風で揺れる、上の階へ移すときは2人作業が多い |
| レーザー墨出し器 | 鉛直の点や線をすぐに出せる、1人でも使える | 精度の点検が必要、明るい場所では見えにくい |
レーザー墨出し器の縦ラインは、下げ振りの糸に合わせて確かめられます。マキタの説明書では、約3mの高さから下げ振りを吊るし、3〜5m離して据えた墨出し器の縦ラインが糸と合っていれば正常としています。
下げ振りについてよくある質問
下げ振りの読み方は
「さげふり」と読みます。「下振り(さげふり)」と書くこともあります。
下げ振りの重さはどれくらいがいいですか
吊るす長さや風の強さで選びます。長く吊るす所や風がある所では重めのもの、短い距離の確認なら軽めのものが扱いやすくなります。
柱の建て入れはどれくらいずれてもいいですか
許されるずれの大きさは、構造の種類や工事の仕様、設計図書で決まります。現場の基準を確かめてください。
水平器と下げ振りはどう使い分けますか
水平器は、当てた所の水平・垂直を気泡ですぐに確かめる道具で、短い範囲の確認に向いています。下げ振りは、柱の全長など長い距離の鉛直を確かめるのに向いています。









