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谷木の長さと谷勾配の計算方法隅木との違い、係数の早見表と配付垂木の長さの差

谷木(たにぎ)は、L字形などの屋根で、2つの屋根面がへこんで交わる入隅(谷)に入る斜めの部材です。出隅に入る隅木と同じく平面で45°の方向に走るので、両側の屋根が同じ勾配なら、谷勾配も長さの係数も隅木と同じ式で出せます。この記事では、谷木と隅木の違い、谷勾配と長さの係数の早見表、4寸勾配の計算例、谷木に取り付く配付垂木の長さの差、上端の納まりとよくある間違いをまとめます。

谷木と隅木の違い

L字形の屋根の平面図。出隅に隅木、入隅に谷木が平面で45°に入り、谷木の水平の長さはL×1.414
谷木は入隅から、出っ張った方の屋根の棟が母屋の屋根に当たる点まで入ります。
  • 入る場所:隅木は出隅(屋根面が山に折れる所)、谷木は入隅(屋根面が谷に折れる所)
  • 平面の向き:どちらも桁に対して45°(両側の屋根の勾配が同じとき)
  • 勾配・長さの係数:どちらも同じ式(隅勾配 = 屋根の勾配 ÷ 1.414)
  • 上端:隅木は両側の屋根面に合わせて中央が高い山形、谷木は中央が低い溝形(やげん溝)
  • 取り付く配付垂木:隅木は桁から隅木へ上がり、谷木は谷木から棟へ上がる

建築用語の辞典では、谷木は入隅に掛ける隅木で谷を支える役割があり、上端に屋根勾配に合わせて溝(やげん溝)を切る、と説明されています。谷は両側の屋根の雨水が集まる所なので、屋根材の下に谷板金(谷樋)を入れて雨仕舞をします。左右の屋根の勾配が違うと、谷は平面で45°にならないので、この記事の式は使えません。

なお、谷木は必ず入れる部材ではありません。両側の垂木を突き付けるだけで野地板を支えられるので、谷木を省くことも多い、と説明している用語集もあります。入れるかどうかは設計図・プレカット図で確かめます。

谷勾配と谷木の長さの係数

同じ勾配の2つの屋根面が交わる線は、平面で45°の方向に走ります。垂木が水平に L 進む間に、谷木は平面で L × √2(約1.414倍)進み、上がる高さは同じです。そのため、谷勾配(谷木の勾配)は隅勾配と同じく「屋根の勾配 ÷ 1.414」になります。

谷木の長さ = L × √(2 +(k ÷ 10)²) (L:垂木の方向に測った水平距離、k:屋根の勾配(寸))

屋根の勾配谷勾配(10に対して)長さの係数谷木の角度
3寸2.121.44612.0°
4寸2.831.47015.8°
5寸3.541.50019.5°
6寸4.241.53623.0°

表の値は隅木の長さと隅勾配の計算方法と同じです。ほかの勾配の係数もそちらの表を使えます。

計算例

例1:4寸勾配・張り出した屋根の桁芯から棟芯まで1,365mm

張り出した部分(下屋や、L字の短い方の屋根)の幅が2,730mmで、棟が真ん中にある切妻なら、垂木の方向の水平距離は L = 1,365mm です。

  • 谷勾配 = 4 ÷ 1.414 ≒ 2.83(10に対して)
  • 入隅の桁芯から棟の交点までの谷木の長さ = 1,365 × √(2 + 0.4²)≒ 2,006.1mm
  • 軒の出600mmを含めた鼻先までの長さ =(1,365 + 600)× √(2.16)≒ 2,887.9mm

係数を1.470に丸めて掛けると2,006.6mmで、0.5mmほど長めに出ます。

例2:5寸勾配・L = 1,820mm

  • 5寸勾配の係数は √(2 + 0.25)= 1.5 ちょうど
  • 谷木の長さ = 1,820 × 1.5 = 2,730mm、軒の出455mmを含めると(1,820 + 455)× 1.5 = 3,412.5mm

長さと立水・鼻先の墨は隅木の長さと墨付けのツールでも出せます。谷木も、勾配と水平距離を入れれば長さは同じです。ただし、ツールの上端の削りや型板は隅木(山形)の納まりなので、谷木の上端は溝形に読み替えます。

谷木に取り付く配付垂木

谷木から棟へ上がる配付垂木。ピッチごとに長さがピッチ×勾配の伸び率ずつ変わる
谷木側の配付垂木は、入隅に近いほど長く、棟に近いほど短くなります。

谷木に取り付く垂木は、谷木から棟へ上がり、1本ごとに長さが変わります。谷木は平面で45°に走るので、垂木のピッチ(間隔)を p とすると、隣の垂木との水平の長さの差は p です。斜めの長さの差は、これに勾配の伸び率を掛けたものです。

長さの差 = p × √(1 +(k ÷ 10)²)

屋根の勾配伸び率ピッチ303mmピッチ455mm
3寸1.044316.3475.0
4寸1.077326.3490.0
5寸1.118338.8508.7
6寸1.166353.4530.6

単位はmmで、垂木の芯で測った長さの差です。垂木は谷木の芯ではなく側面に当たって止まります。側面は芯から幅の半分離れていて、平面で45°に交わるので、垂木の向きの水平で「谷木の幅 ÷ 2 × √2」、勾配に沿ってはそれに伸び率を掛けた長さを、芯で計算した長さから差し引きます。谷木の幅105mm・4寸勾配なら、105 ÷ 2 × 1.414 ≒ 74.2mm、× 1.077 ≒ 80.0mm です。隅木側の配付垂木の計算と上端の切り墨は配付垂木の長さの計算方法、垂木の長さの係数は垂木の長さの計算方法にまとめています。

谷木の計算でよくある間違い

垂木の長さの係数を使う

谷木は平面で1.414倍の距離を進むので、垂木の係数(4寸で1.077)ではなく、谷木の係数(4寸で1.470)を使います。

L を谷木の平面の長さで入れる

式の L は、垂木の方向に測った水平距離(桁芯から棟芯まで)です。平面図で谷木そのものの長さを測った値(L × 1.414)を入れると、さらに1.414倍されて長くなりすぎます。

左右の勾配が違うのに45°で計算する

左右の勾配が違う谷は、平面の角度も長さも変わります。両側の屋根の勾配が同じか、図面で確かめます。

上端を隅木と同じ山形に削る

谷木の上端は、両側の屋根面に合わせて中央が低い溝形にします。山形にすると野地板が両側で浮きます。

谷木についてよくある質問

谷木と隅木の違いは

隅木は出隅、谷木は入隅に入る部材です。両側の屋根の勾配が同じなら、平面で45°に入り、勾配も長さの係数も同じです。上端の形は、隅木が山形、谷木が溝形です。

4寸勾配の谷木の長さの係数は

√(2 + 0.4²)≒ 1.470 です。桁芯から棟芯までの水平距離1,000mmなら、谷木は約1,469.7mmです。

谷勾配はどう出しますか

屋根の勾配 ÷ 1.414 です。4寸勾配なら、10に対して約2.83の勾配です。

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