配付垂木の長さの計算方法ピッチ×勾配係数の長さの差と隅木の幅の差し引き、上端の切り墨
配付垂木(はいつけだるき)は、寄棟の隅木に取り付く短い垂木です。1本ごとに長さが違いますが、平面で隅木が45°に走る屋根なら、長さは「垂木のピッチ × 勾配の係数」ずつ一定に短くなります。この記事では、配付垂木の長さの計算式、3寸〜7寸の長さの差の早見表、隅木の幅の分を差し引く計算、上端の切り墨の取り方を、4寸勾配・ピッチ455mmの計算例で説明します。数値はすべて計算で確かめています。
配付垂木の長さは隅木の角からの距離で決まる
寄棟で、建物の角が直角で2つの屋根面が同じ勾配なら、隅木は平面で45°の向きに走ります。桁の角(桁の芯どうしの交点で、隅木の芯が通る点)から垂木の芯までの距離を d とすると、その垂木が桁の芯から隅木の芯に届くまでの水平の長さも d です。
配付垂木の長さ(隅木の芯まで)= d × 勾配の係数
勾配の係数は √(1 +(寸 ÷ 10)²)で、4寸なら1.077です。係数の表と、平の垂木の長さの出し方は垂木の長さの計算方法で説明しています。
長さの差は一定
垂木のピッチを p とすると、となりの配付垂木との長さの差は、どれも p × 勾配の係数 です。1本目の長さが分かれば、あとは同じ差ずつ足していけば全部の長さが出ます。
配付垂木の長さの差の早見表
| 勾配 | 係数 | 差(455) | 差(303) |
|---|---|---|---|
| 3寸 | 1.044 | 475.0 | 316.3 |
| 4寸 | 1.077 | 490.0 | 326.3 |
| 5寸 | 1.118 | 508.7 | 338.8 |
| 6寸 | 1.166 | 530.6 | 353.4 |
| 7寸 | 1.221 | 555.4 | 369.9 |
単位はmmで、屋根の勾配に沿った長さの差です。係数は表示より細かい値(4寸なら1.07703)で計算しています。
計算例:4寸勾配・ピッチ455・軒の出600
隅木の芯までの長さ
| d | d × 1.077 |
|---|---|
| 455 | 490.0 |
| 910 | 980.1 |
| 1,365 | 1,470.1 |
| 1,820 | 1,960.2 |
となりとの差は、どれも490.0mm(455 × 1.07703)です。
隅木の幅の分を引く
配付垂木は隅木の芯ではなく、隅木の側面に当たって止まります。隅木の側面は芯から幅の半分だけ離れていて、平面で45°に交わるので、垂木の向きに測ると 幅 ÷ 2 × √2 だけ手前で止まります。
隅木の幅が105mmなら、水平で 105 ÷ 2 × 1.414 ≒ 74.2mm、勾配に沿って 74.2 × 1.077 ≒ 80.0mm 短くなります。
軒先まで含めた長さ
配付垂木の軒先側は、平の垂木と同じ軒の出です。垂木の芯で測った長さは、次の式になります。
長さ =(軒の出 + d − 隅木の幅 ÷ 2 × √2)× 勾配の係数
| d | 側面まで | 軒の出込み |
|---|---|---|
| 455 | 410.1 | 1,056.3 |
| 910 | 900.1 | 1,546.4 |
| 1,365 | 1,390.2 | 2,036.4 |
| 1,820 | 1,880.2 | 2,526.5 |
棟芯〜桁芯が1,820mmの屋根なら、d=1,820の位置は隅木が棟木に届く点なので、配付垂木は1,365までの3本です。同じ条件の平の垂木(水平1,820+軒の出600)は(600 + 1,820)× 1.07703 ≒ 2,606.4mm です。表の長さは鼻先を垂直に切ったときの長さです。鼻先を直角に切るときの上端の伸びや鳥口の刻みは、平の垂木と同じように墨付けします。垂木の長さと墨付けツールで、平の垂木の寸法と型板を出せます。
上端の切り墨の取り方
配付垂木の先は、隅木の側面に沿うように、上端を斜めに切ります。平面では45°ですが、垂木の上端は勾配で傾いているので、上端に引く線は45°になりません。
上端の切り墨は、垂木の幅方向に「幅」、長さ方向に「幅 × 勾配の係数」をとった2点を結ぶ線です。幅45mmの垂木で4寸勾配なら、長さ方向に 45 × 1.077 ≒ 48.5mm、5寸勾配なら 45 × 1.118 ≒ 50.3mm ずらします。垂木の長さ方向から測った角度は、4寸で約42.9°です。
側面の立水(垂直の線)は、平の垂木と同じ勾配の線です。左右の屋根面の配付垂木は、切り墨の向きが左右反対になります。さしがねでの立水の引き方はさしがねの使い方で説明しています。
配付垂木でよくある間違い
隅木の幅を引き忘れる
隅木の芯までの長さで切ると、隅木の幅の半分 × √2 × 係数(幅105mm・4寸で約80mm)長くなって納まりません。
上端の切り墨を45°で引く
勾配のある垂木の上端で45°に切ると、隅木の側面との間にすき間ができます。幅 × 係数 で長さ方向にずらします。
隅木が45°でない屋根に同じ式を使う
2つの屋根面の勾配が違う寄棟では、隅木は平面で45°になりません。この記事の式は、両方の屋根面が同じ勾配の場合のものです。
配付垂木の計算についてよくある質問
配付垂木の長さの差はいくつですか
ピッチ × 勾配の係数です。ピッチ455mm・4寸勾配なら約490.0mm、5寸なら約508.7mmです。
1本目の配付垂木の長さは
(軒の出 + 桁の角からの距離 − 隅木の幅 ÷ 2 × √2)× 係数 です。4寸・軒の出600・距離455・隅木の幅105なら約1,056.3mmです。
上端の切り墨の角度は
幅方向に幅、長さ方向に 幅 × 係数 をとって結びます。4寸勾配なら、垂木の長さ方向から約42.9°です。
谷木に取り付く垂木も同じ計算ですか
谷木(入隅の材)に取り付く垂木も、谷木が平面で45°なら、長さの差は同じく ピッチ × 係数 です。どこから長さを測るかは、谷木の位置に合わせて考えます。









