隅木の長さと隅勾配の計算方法勾配ごとの係数表と上端の墨の角度
寄棟の隅木は、平面で45度の方向に走るため、垂木とは勾配も長さも変わります。この記事では、隅勾配の出し方、隅木の長さの係数の早見表、上端に引く斜めの墨の角度を、4寸勾配の計算例で説明します。
隅木は平面で1.414倍の距離を進む
寄棟で両側の屋根が同じ勾配なら、軒から棟までの高さは垂木も隅木も同じです。勾配が違う振れ隅では、この記事の式は使えません。しかし隅木は平面で45度の方向に走るので、同じ高さを上がるまでに垂木の√2倍(1.414倍)の水平距離を進みます。そのため、隅木の勾配は垂木より緩くなります。
隅勾配の出し方
| 求めるもの | 計算式 | 4寸勾配の場合 |
|---|---|---|
| 隅勾配(10に対して) | 屋根の勾配 ÷ 1.414 | 2.83 |
| 隅勾配(14.14に対して) | 屋根の勾配そのまま | 4 |
| 隅木の角度 | tan⁻¹(隅勾配 ÷ 10) | 15.8° |
曲尺で立水を引くときは、長手を10、妻手を2.83に合わせます。長手を14.14、妻手を4に合わせても同じ角度になります。
隅木の長さの係数
棟芯から桁芯までの水平距離(垂木の方向で測った距離)をLとすると、隅木の長さは L × √(2 + (k ÷ 10)²)で出ます。kは屋根の勾配(寸)です。
| 屋根の勾配 | 隅勾配(10に対して) | 隅木の長さの係数 | 隅木の角度 |
|---|---|---|---|
| 3寸 | 2.12 | 1.446 | 12.0° |
| 3.5寸 | 2.47 | 1.457 | 13.9° |
| 4寸 | 2.83 | 1.470 | 15.8° |
| 4.5寸 | 3.18 | 1.484 | 17.7° |
| 5寸 | 3.54 | 1.500 | 19.5° |
| 6寸 | 4.24 | 1.536 | 23.0° |
| 7寸 | 4.95 | 1.578 | 26.3° |
| 8寸 | 5.66 | 1.625 | 29.5° |
| 10寸 | 7.07 | 1.732 | 35.3° |
4寸勾配で棟芯から桁芯まで1,820mmなら、隅木の長さは 1,820 × √(2 + 0.4²)= 2,674.8mmです。軒の出が600mmなら、鼻先までの長さは(1,820 + 600)× √(2 + 0.4²)= 3,556.7mmになります。係数を1.470に丸めて掛けると、少し長め(2,675.4mm)に出ます。
計算例2:5寸勾配・棟芯から桁芯まで2,730mm
| 求めるもの | 計算 | 値 |
|---|---|---|
| 隅勾配(10に対して) | 5 ÷ 1.414 | 3.54 |
| 隅木の角度 | tan⁻¹(0.354) | 19.5° |
| 隅木の長さの係数 | √(2 + 0.5²) | 1.5 |
| 棟芯から桁芯までの隅木の長さ | 2,730 × 1.5 | 4,095mm |
| 軒の出600mmを含めた鼻先までの長さ | (2,730 + 600)× 1.5 | 4,995mm |
| 上端の斜めの墨 | tan⁻¹(cos 19.5°) | 43.3° |
5寸勾配は係数がちょうど1.5になるので、暗算でも長さが出せます。
上端の斜めの墨
隅木の棟側の端を、平面で45度の面に当てて納める場合、上端に引く墨は隅木の軸に対して斜めになります。その角度は、隅木の角度をβとすると tan⁻¹(cos β)で出ます。
| 屋根の勾配 | 上端の斜めの墨(軸からの角度) |
|---|---|
| 3寸 | 44.4° |
| 4寸 | 43.9° |
| 5寸 | 43.3° |
| 6寸 | 42.6° |
| 8寸 | 41.0° |
| 10寸 | 39.2° |
勾配が緩いほど45度に近く、急になるほど角度は小さくなります。
上端の山勾配(両側の削り)は、10に対して「屋根の勾配 ÷ 隅木の長さの係数」です。3寸で2.08(11.7°)、4寸で2.72(15.2°)、5寸で3.33(18.4°)、6寸で3.91(21.3°)です。
注意
隅木には、上端の両側を屋根面に合わせて削る山勾配や、配付垂木を受ける位置の墨も必要です。棟木や桁との納まりは建物ごとに違うので、現場の納まりに合わせて調整してください。垂木の長さの出し方は垂木の長さの計算方法で説明しています。
よくある失敗
水平距離を隅木の方向で測る
係数を掛けるLは、垂木の方向(桁と直角の方向)で測った、棟芯から桁芯までの水平距離です。平面で45度の方向に測った長さに係数を掛けると、1.414倍長くなります。
係数を丸めすぎる
係数を小数第2位で丸めて長い材に掛けると、数mmの差が出ます。4寸勾配・1,820mmなら、√(2 + 0.16)で計算すると2,674.8mm、1.47で計算すると2,675.4mmです。刻む前に、元の式で確かめます。
振れ隅に同じ式を使う
両側の屋根の勾配が違う振れ隅では、隅木は平面で45度に走らないので、この記事の係数は使えません。
隅木の計算についてよくある質問
隅勾配はどう出しますか
屋根の勾配を1.414で割ります。4寸勾配なら、10に対して2.83です。曲尺では、長手14.14・妻手4でも同じ角度になります。
隅木の長さの係数は
√(2 +(勾配 ÷ 10)²)です。4寸勾配で1.470、5寸勾配で1.5、6寸勾配で1.536です。
隅木の上端の山勾配は
10に対して「屋根の勾配 ÷ 隅木の長さの係数」です。4寸勾配なら2.72です。









