垂木の長さの計算方法勾配(寸)ごとの係数表と鳥口・立水の出し方
垂木の長さは、屋根の勾配と水平の距離から計算できます。この記事では、勾配(寸)ごとの係数の早見表と、4寸勾配の計算例、鳥口の寸法の出し方、曲尺での立水の引き方を説明します。
垂木の長さは「水平距離 × 係数」
勾配がk寸の屋根は、水平に10進むとkだけ上がります。垂木はこの直角三角形の斜めの辺にあたるので、水平距離をLとすると、垂木に沿った長さは次の式で出ます。
| 求めるもの | 計算式 |
|---|---|
| 垂木の長さ | L × √(10² + k²)÷ 10 |
| 勾配の角度 | tan⁻¹(k ÷ 10) |
勾配ごとの係数の早見表
| 勾配 | 係数(√(10² + k²)÷ 10) | 角度 |
|---|---|---|
| 1寸 | 1.005 | 5.7° |
| 2寸 | 1.020 | 11.3° |
| 3寸 | 1.044 | 16.7° |
| 3.5寸 | 1.059 | 19.3° |
| 4寸 | 1.077 | 21.8° |
| 4.5寸 | 1.097 | 24.2° |
| 5寸 | 1.118 | 26.6° |
| 6寸 | 1.166 | 31.0° |
| 7寸 | 1.221 | 35.0° |
| 8寸 | 1.281 | 38.7° |
| 10寸(矩勾配) | 1.414 | 45.0° |
計算例:4寸勾配・棟芯から桁芯まで1820mm・軒の出600mm
4寸勾配の係数は√(10² + 4²)÷ 10 = 1.07703です。棟芯から桁芯までは 1820 × 1.07703 = 1960.2mm、棟芯から鼻先までは水平で1820 + 600 = 2420mmなので、2420 × 1.07703 = 2606.4mmになります。表の1.077のように小数第3位で丸めた係数を長い材に掛けると、0.1mm単位で少しずれるので、刻む寸法は丸めない係数で出します。これは垂木の下端に沿って、棟側の立水から測った長さです。材料は、この長さより少し長く必要です。立水で切ると上端と下端がずれるので、成 × k ÷ 10 だけ足します。成60mmの4寸勾配なら 60 × 0.4 = 24mm で、2606.4 + 24 = 2630.4mm が最低の長さです。
立水(垂直の切り線)どうしは平行なので、2本の立水のあいだの距離は、垂木の上端で測っても下端で測っても同じです。棟側の立水を先に引き、そこから距離を測って桁芯や鼻先の立水を引くと、測り間違いが減ります。
計算例2:5寸勾配・棟芯から桁芯まで2730mm・軒の出600mm
| 求めるもの | 計算 | 値 |
|---|---|---|
| 係数 | √(10² + 5²)÷ 10 | 1.11803 |
| 棟芯から桁芯まで | 2730 × 1.11803 | 3052.2mm |
| 棟芯から鼻先まで | (2730 + 600)× 1.11803 | 3723.1mm |
| 立水で切るための足し(成60mm) | 60 × 0.5 | 30mm |
| 材料の最低の長さ | 3723.1 + 30 | 3753.1mm |
| 鳥口の座(立水20mm) | 20 ÷ 0.5 | 40mm |
勾配が急になるほど、立水で切るための足しが大きくなり、同じ立水の深さでも鳥口の座は短くなります。
鳥口の寸法
鳥口は、垂木を桁に乗せるための切り欠きです。桁の上端に欠きを付けて垂木を乗せるなど、納まりは現場によって違います。桁の外面に当たる垂直の面(立水)と、桁の上に乗る水平の面(座)でできています。立水の長さをhとすると、座の長さは h ÷(k ÷ 10)で出ます。4寸勾配で立水を20mmにすると、座は 20 ÷ 0.4 = 50mmです。
鳥口を深くしすぎると、垂木の残りの成が小さくなって弱くなります。座の長さが桁の幅を超えないことも確かめます。
曲尺で立水を引く
- 曲尺の長手を10、妻手を勾配の寸(4寸勾配なら4)に合わせて、垂木の上端か下端に当てます。
- 妻手に沿って引いた線が立水(垂直の線)、長手に沿って引いた線が水平の線になります。
- 棟側の立水を引いたら、表の距離を測って、鳥口と鼻先の立水を同じように引きます。
同じ垂木を何本も刻むときは、棟側・鳥口・鼻先の形を型板にしておくと、墨付けが早くそろいます。
隅木の場合
寄棟の隅木は平面で45度の方向に走るので、同じ高さを上がるのに垂木の1.414倍の水平距離を進みます。そのため隅木の勾配は、4寸勾配の屋根なら10に対して2.83(14.14に対して4)になります。棟芯から桁芯まで1820mmなら、隅木の長さは 1820 × √(2 + 0.4²)= 2674.8mmです。隅木の計算は隅木の長さと墨付けのツールで出せます。
よくある失敗
水平距離ではなく、垂木の長さに係数を掛ける
係数を掛けるのは、棟芯から桁芯などの水平の距離です。すでに斜めに測った長さに係数を掛けると、長くなりすぎます。
立水で切る分を足し忘れる
垂木の端を立水(垂直)で切ると、上端と下端で長さが違います。材料は、成 × 勾配(寸 ÷ 10)の分を足して用意します。
鳥口を深く切りすぎる
鳥口の立水を深くすると、垂木の残りの成が小さくなって弱くなります。座の長さが桁の幅を超えないことも確かめます。
垂木の長さについてよくある質問
垂木の長さの計算式は
水平距離 × √(10² + 勾配²)÷ 10 です。4寸勾配なら水平距離に約1.077を掛けます。
鳥口の寸法はどう出しますか
立水の長さをhとして、座の長さは h ÷(勾配 ÷ 10)です。4寸勾配で立水20mmなら、座は50mmです。
曲尺で勾配を出すには
長手を10、妻手を勾配の寸に合わせて当てます。妻手に沿って引いた線が立水、長手に沿って引いた線が水平の線です。









