ブロックの積み方手順と1日の積み高さ、目地・充填・鉄筋の要点
コンクリートブロックの塀は、基礎、ブロック積み、目地、鉄筋、空洞部の充填がそろって、はじめて一体の壁になります。この記事では、国土交通省の公共建築工事標準仕様書(建築工事編 令和7年版)、全国建築コンクリートブロック工業会(JCBA)の資料、建築基準法施行令をもとに、ブロックの積み方の手順と、1日に積める高さ、目地と充填、鉄筋の入れ方、よくある施工不良をまとめます。塀の高さ・厚さ・控壁・基礎の寸法の決まりは、ブロック塀の基準の記事で説明しています。
ブロック塀ができるまでの流れ
JCBAの資料では、ブロック塀の工事を「基礎工事」と「組積工事」に分けて、次の順番で説明しています。
- 塀の位置に合わせて地面を掘り、砂利を敷いて突き固め、表面を平らにする。
- 基礎の鉄筋と型枠を組む。縦筋は塀の高さとほぼ同じ高さまで立てておく。
- 基礎のコンクリートを打ち、養生してから型枠を外し、埋め戻す。
- 1段目のブロックを積む。目地モルタルはブロックの上下面全面と縦目地の部分に塗る。
- 2段積むごとに、鉄筋の入った縦の穴と、ブロックどうしでできる縦の穴にモルタルを詰める。
- 決められた段ごとに横筋用のブロックを積み、横筋を入れて縦筋と鉄線で結ぶ。
- はみ出た目地モルタルを落とし、目地ごてで目地を押さえる。
- 控壁は、塀と一緒に積み上げる。
- いちばん上で縦筋を曲げて横筋にかけ、笠木をモルタルでしっかり付ける。
積む前の準備
- ブロックは種類ごとに分けて、雨を吸わないように保管する。
- 縦遣方は、足場や型枠とつながずに自立させ、動かないようにしっかり立てる(標準仕様書8.2.6)。
- モルタルと接するブロックの面は、水を吸いすぎないように適度に水で湿らせる。
- 気温が5℃以下のときは施工しない(やむを得ない場合は、シート掛けや採暖などで養生する)。
ブロックの積み方
標準仕様書(8.2.7)では、ブロック積みを次のように定めています。
- 凝結し始めたモルタルは使わない。
- 横目地のモルタルはブロックの上端全面に、縦目地のモルタルは接合面に、すき間なく塗る。
- 墨に合わせて、通りよく、目違いなく積む。化粧面の汚れはその都度きれいにする。
- 横筋を入れる段には、横筋用のブロック(基本形横筋ブロック)を使う。
- 1日の積み上げ高さの上限は1.6m程度とする。
建築基準法施行令第62条の6でも、目地の塗り面の全部にモルタルが行きわたるように積むこととされています。目地の仕上げには、硬化する前に目地ごてで押さえる「押し目地」と、目地を掘っておいてあとから仕上げる「化粧目地」があります。
ブロックの大きさと目地
JIS A 5406(建築用コンクリートブロック)の標準的なブロックは、目地幅を10mmとしたときに長さ390mm・高さ190mmです。目地を入れると1個あたり400×200mmになるので、1段は200mm、横は400mmごとに並びます。塀にはブロックの厚さ120mmや150mmのものが使われます。
空洞部の充填
ブロックの空洞部にモルタルやコンクリートを詰めないと、塀が一体にならず、鉄筋もさびやすくなります。施行令第62条の6では、鉄筋を入れた空洞部と、縦目地に接する空洞部をモルタルかコンクリートで埋めることとしています。
- 縦目地の空洞部は、ブロック2段以下ごとに詰める(標準仕様書8.2.8)。JCBAの資料では、1〜3段ごとに、細い丸棒などで突いてすき間なく詰めるとしている。
- 1日の作業の終わりは、充填をブロックの上端から5cm程度下げたところで止める(標準仕様書8.2.8、JCBAの資料)。
- 横筋の入る段の空洞部は、縦の充填が終わったあと、横筋のかぶりに気をつけて詰める。
モルタルの調合
| 用途 | セメント:砂(容積比) |
|---|---|
| 目地用 | 1:2.5 |
| 化粧目地用 | 1:1 |
| 充填用 | 1:2.5 |
標準仕様書の表8.2.1の値です(目地幅10mm程度の場合)。JCBAは、目地モルタル・充填モルタルとも4週圧縮強度18N/mm²以上としています。
鉄筋の入れ方
- 縦筋は、ブロックの空洞部の中心に入れる。基礎から塀のいちばん上まで1本で立ち上げ、途中で継がない(施行令第62条の6第2項でも、塀の縦筋は空洞部の中で継いではならないとされています)。
- 縦筋は基礎に定着させ(JCBAの資料では40d以上)、いちばん上の横筋にかぎ掛けする。
- 横筋は、横筋用のブロックの溝に入れ、端では縦筋にかぎ掛けする。塀のいちばん上には必ず横筋を入れる。
- 縦筋と横筋が交わるところは、鉄線で結ぶ。
- 鉄筋のかぶりは最小20mm(ブロックの外側の殻の厚さは含まない)。
鉄筋の太さと間隔(径9mm以上を縦横80cm以下など)は、建築基準法施行令第62条の8で決められています。鉄筋の定着長さの考え方は鉄筋の定着長さと重ね継手長さでも説明しています。
芋目地と破れ目地
JCBAの資料では、補強ブロックの塀には、縦目地が上下にそろう芋目地が、構造上と積みやすさの理由から一般的に使われるとしています。縦目地を1段ごとにずらす破れ目地は見た目の理由で使われますが、縦筋をブロックの穴にくぐらせて積む必要があり、充填のモルタルが下へ落ちないように下のブロックの穴にふたをする手間もかかります。
なお、施行令第52条の「芋目地ができないように積む」という決まりは、鉄筋を入れない組積造の規定で、補強コンクリートブロック造には当てはまりません。
よくある施工不良
JCBAは、ブロック塀の大きな欠陥として、次のようなものを挙げています。
- 鉄筋コンクリートの基礎がない。
- 縦筋が入っていない、または途中で継いでいる。
- 控壁を、塀を積んだあとから付け足している(後積み)。
- 空洞部の充填が足りない(鉄筋の入らない縦目地の空洞部を詰めていないなど)。
国土交通省の「ブロック塀の点検のチェックポイント」では、中の鉄筋や充填の状態は外から見えないため、専門家に確かめてもらうよう呼びかけています。
ブロック建築技能士
ブロックの工事には、国家検定の「ブロック建築技能士」(職種「ブロック建築」、作業「コンクリートブロック工事作業」)があり、1級〜3級に分かれています。
ブロックの積み方についてよくある質問
ブロックは1日に何段まで積めますか
標準仕様書では、1日の積み上げ高さの上限を1.6m程度としています。1段200mmなので、およそ8段分です。
空洞部には全部モルタルを詰めますか
鉄筋を入れた空洞部と、縦目地に接する空洞部は、モルタルかコンクリートで埋めます。縦目地の空洞部は2段以下ごとに詰めていきます。
目地の幅はどれくらいですか
標準的なブロックは目地幅10mmを前提にした大きさ(390×190mm)で、目地を入れて400×200mmになります。
縦筋は途中で継いでもいいですか
継いではいけません。施行令で、塀の縦筋はブロックの空洞部の中で継いではならないとされています。基礎から上まで1本で立ち上げます。









