アンカーボルトの種類先付けとあと施工の違い、土台の埋込み長さ
アンカーボルトは、コンクリートに土台や柱脚、機器を固定するためのボルトです。コンクリートを打つ前に埋め込む「先付け(埋込み)アンカー」と、固まったコンクリートに穴をあけて取り付ける「あと施工アンカー」に大きく分かれます。この記事では、JIS B 1178(基礎ボルト)とJIS B 1220(構造用両ねじアンカーボルトセット)、住宅金融支援機構の仕様書、国の告示、日本建設あと施工アンカー協会の資料をもとに、アンカーボルトの種類と使い分け、木造の土台の決まり、あと施工アンカーの施工の要点をまとめます。
アンカーボルトの種類の全体像
| 大きな分け方 | 主な種類 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 先付け(埋込み) | 基礎ボルト(L形・J形・LA形・JA形) | 機械・架台の固定、木造の土台 |
| 先付け(埋込み) | 構造用両ねじアンカーボルトセット(ABR・ABM) | 鉄骨造の柱脚 |
| あと施工 | 金属拡張アンカー(打込み方式・締付け方式) | 設備・機器の固定、吊り |
| あと施工 | 接着系アンカー(カプセル方式・注入方式) | 補強工事、機器の固定 |
基礎ボルト(JIS B 1178)
JIS B 1178(基礎ボルト)には、次の4つの形が決められています。「I形」と呼ばれるまっすぐなボルトは、この規格には入っていません。
| 形 | 呼び径の範囲 |
|---|---|
| L形(先端をL字に曲げたもの) | M10〜M20 |
| J形(先端をJ字に曲げたもの) | M10〜M48 |
| LA形 | M8〜M48 |
| JA形 | M10〜M48 |
M36以下の強度区分は4.6です。曲げた先端がコンクリートに引っかかって、抜けにくくなっています。
構造用両ねじアンカーボルトセット(JIS B 1220)
鉄骨造の柱脚に使うアンカーボルトは、JIS B 1220で決められています。2015年に、転造ねじの規格(旧JIS B 1220)と切削ねじの規格(旧JIS B 1221)が1つにまとめられました。
| 種類 | ねじの作り方 | 呼び径の範囲 |
|---|---|---|
| ABR400・ABR490・ABR520SUS | 転造 | M16〜M48 |
| ABM400・ABM520SUS | 切削 | M24〜M48 |
| ABM490 | 切削 | M24〜M100 |
1セットは、ボルト1本・ナット4個・座金1枚です。柱脚の露出型では、国の告示(平成12年建設省告示第1456号)で、アンカーボルトの定着長さを径の20倍以上とすることなどが決められています。
木造の土台のアンカーボルト
建築基準法施行令第42条では、土台は基礎に緊結することとされています。住宅金融支援機構の木造住宅工事仕様書(平成22年版)では、在来軸組の土台のアンカーボルトについて次のようにしています。
- コンクリートへの埋込み長さは250mm以上とし、ナットの外にねじ山が3山以上出るようにする。
- 間隔は、2階建て以下で2.7m以内、3階建てで2m以内とする。
- 土台の切れ目、継手・仕口の箇所では上木の端部に、耐力壁の部分では両端の柱の近くに設ける。
- 参考図では、アンカーボルトをM12またはM16としている。ホールダウン金物用のアンカーボルトの埋込み長さは360mm以上。
住宅金融支援機構の現行の仕様書(2025年版)は有料のため、この記事では無料で公開されている平成22年版で確かめた内容を載せています。実際の施工は、設計図と最新の仕様書に従ってください。
ツーバイフォー工法の場合
枠組壁工法では、国土交通省告示第1540号で、土台のアンカーボルトを径12mm以上・長さ35cm以上とし、間隔2m以下で、隅角部と土台の継ぎ手の部分に配置することとしています。
あと施工アンカーの種類
日本建設あと施工アンカー協会の分類では、あと施工アンカーは次のように分かれます。
| 分類 | 方式 | 種類 |
|---|---|---|
| 金属拡張アンカー | 打込み方式 | 芯棒打込み式・内部コーン打込み式・本体打込み式・スリーブ打込み式 |
| 締付け方式 | コーンナット式・テーパーボルト式・ウェッジ式・ダブルコーン式 | |
| 接着系アンカー | カプセル方式 | 回転・打撃型、打込み型 |
| 注入方式 | カートリッジ型、現場調合型 |
金属拡張アンカーは、穴の中で部品を広げてコンクリートに押し付けて固定します。接着系アンカーは、穴の中で樹脂などを固めて固定します。サンコーテクノの「オールアンカー」(芯棒打込み式など)や「シーティーアンカー」(内部コーン打込み式)は、設備の架台や配管・ダクト・ケーブルラックの吊りなどに使われています。
あと施工アンカーの施工の要点
- 穴の径と深さは、アンカーの製造者が指定する値にする。
- 穴をあけたら、穴の中の切り粉を取り除く。接着系では、吸い取る→ブラシでこする→もう一度吸い取る、の順に清掃する。
- 製造者の指定どおりに打ち込む、または締め付ける。接着系は、固まるまで動かさない。
日本建設あと施工アンカー協会には、あと施工アンカー技術管理士や施工士(第2種・特2種・第1種)の資格制度があります。有効期限は5年です。構造上大事な部分に使う場合は、設計図と仕様書で指定された製品と施工方法に従います。
よくある失敗
穴の径や深さを目分量で決める
あと施工アンカーの性能は、穴の径と深さで大きく変わります。製造者の指定値を確かめてから穴をあけます。
穴の中の切り粉を残す
切り粉が残ると、金属拡張アンカーは十分に広がらず、接着系は樹脂がコンクリートに付きません。指定の方法で清掃します。
土台のアンカーボルトの位置がずれる
先付けのアンカーボルトは、コンクリートを打つときに動かないように固定しておきます。土台の継手や耐力壁の柱の位置からずれると、決められた位置に効きません。
アンカーボルトの種類についてよくある質問
アンカーボルトにはどんな種類がありますか
コンクリートを打つ前に埋め込む先付けアンカー(基礎ボルト、構造用アンカーボルトセット)と、あとから穴をあけて取り付けるあと施工アンカー(金属拡張アンカー、接着系アンカー)に分かれます。
土台のアンカーボルトの間隔は
住宅金融支援機構の仕様書(平成22年版)では、2階建て以下で2.7m以内、3階建てで2m以内です。ツーバイフォー工法は告示で2m以下です。
アンカーボルトの埋込み長さは
木造の土台用は、同じ仕様書で250mm以上、ホールダウン金物用は360mm以上です。あと施工アンカーは製造者の指定によります。









