鉄筋の定着長さと重ね継手長さ40dの意味と標準仕様書の表
鉄筋の定着長さは、鉄筋が抜け出さないようにほかの部材の中へ埋め込む長さ、重ね継手長さは、鉄筋どうしを重ねてつなぐときに重ねる長さです。どちらも「40d」のように鉄筋の径dの何倍かで表します。この記事では、建築基準法施行令第73条の規定と、国土交通省の公共建築工事標準仕様書(令和7年版)の重ね継手長さ・定着長さの表、読み方と計算例をまとめます。実際の長さは、設計図書(特記)や配筋標準図で決められた値に従ってください。
定着長さと重ね継手長さの意味
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 定着長さ | 梁の鉄筋を柱の中に、柱の鉄筋を基礎の中になど、鉄筋をほかの部材へ埋め込む長さ |
| 重ね継手長さ | 鉄筋どうしを重ねてつなぐときに、重ねる部分の長さ |
| d | 鉄筋の径(異形棒鋼では呼び名の数値)。40dはD13なら40 × 13 = 520mm |
| フックあり・なし | 鉄筋の先を折り曲げたフックがあるかどうか。フックがあると必要な長さが短くなる |
建築基準法施行令第73条の規定
- 主筋や耐力壁の鉄筋の重ね長さは、引張力の最も小さい部分に設ける場合は径の25倍以上、それ以外の部分は径の40倍以上(径が違う場合は細い方の径)。
- 柱に取り付ける梁の引張鉄筋の柱への定着長さは、径の40倍以上(柱の主筋に溶接する場合や、構造計算で安全を確かめた場合を除く)。
- 軽量骨材を使うコンクリートでは、25倍は30倍、40倍は50倍になります。
これは法令の最低限の規定です。柱・梁の主筋や耐力壁の鉄筋の重ね継手は、この長さを下回れません。表の値が35dでも、引張力の最も小さい部分以外では40d以上が必要です。標準仕様書でも、これらの重ね継手長さは特記によるとされています。それ以外の鉄筋は、次の標準仕様書の表などで長さを決めます。
重ね継手の長さ(公共建築工事標準仕様書 表5.3.2)
| 鉄筋の種類 | コンクリートの設計基準強度 Fc(N/mm²) | フックなし L1 | フックあり L1h |
|---|---|---|---|
| SD295 | 18 | 45d | 35d |
| 21 | 40d | 30d | |
| 24〜36 | 35d | 25d | |
| SD345 | 18 | 50d | 35d |
| 21 | 45d | 30d | |
| 24、27 | 40d | 30d | |
| 30、33、36 | 35d | 25d | |
| SD390 | 21 | 50d | 35d |
| 24、27 | 45d | 35d | |
| 30、33、36 | 40d | 30d |
- フックありの長さには、フックの部分の長さを含みません。
- 軽量コンクリートの場合は、表の値に5dを足します。
- 径が違う鉄筋を重ねる場合は、細い方の径で長さを決めます。
- 柱・梁の主筋と耐力壁の鉄筋の重ね継手長さは特記によるとされ、特記がなければ、耐力壁の鉄筋は40d(軽量コンクリートは50d)と表の値の大きい方とされています。
- 原則として、D35以上の異形鉄筋には重ね継手を使いません(ガス圧接などを使います)。
定着の長さ(公共建築工事標準仕様書 表5.3.4)
| 鉄筋の種類 | Fc(N/mm²) | L1 | L2 | L1h | L2h |
|---|---|---|---|---|---|
| SD295 | 18 | 45d | 40d | 35d | 30d |
| 21 | 40d | 35d | 30d | 25d | |
| 24〜36 | 35d | 30d | 25d | 20d | |
| SD345 | 18 | 50d | 40d | 35d | 30d |
| 21 | 45d | 35d | 30d | 25d | |
| 24、27 | 40d | 35d | 30d | 25d | |
| 30、33、36 | 35d | 30d | 25d | 20d | |
| SD390 | 21 | 50d | 40d | 35d | 30d |
| 24、27 | 45d | 40d | 35d | 30d | |
| 30、33、36 | 40d | 35d | 30d | 25d |
| 記号 | 使う場所 |
|---|---|
| L1・L1h | L2・L3以外の直線定着・フックあり定着 |
| L2・L2h | 割裂破壊のおそれのない箇所への直線定着・フックあり定着 |
| L3 | 小梁・スラブの下端筋の直線定着(基礎の耐圧スラブと、それを受ける小梁は除く)。小梁は20d(片持ち小梁は25d)、スラブは10dかつ150mm以上(片持ちスラブは25d) |
| L3h | 小梁の下端筋のフックあり定着。10d |
フックありの長さにはフックの部分を含みません。軽量コンクリートの場合は、表の値に5dを足します。
フックの余長と折曲げの内法直径(標準仕様書 表5.3.1)
| 折曲げ角度 | 余長 |
|---|---|
| 180° | 4d以上 |
| 135° | 6d以上 |
| 90° | 8d以上 |
折曲げの内法直径は、SD295・SD345のD16以下で3d以上、D19〜D38で4d以上、SD390のD19〜D38で5d以上です。片持ちスラブの先端や壁筋の自由端で90°・135°フックを使う場合は、余長4d以上です。
定着長さ・重ね継手長さの計算例
例1:SD345、Fc24、D13の重ね継手(フックなし)
表5.3.2より40d。40 × 13 = 520mmです。
例2:SD345、Fc21、D16の定着(L2、フックなし)
表5.3.4より35d。35 × 16 = 560mmです。
例3:SD295、Fc21、D10のスラブ下端筋の定着(L3)
10dかつ150mm以上。10 × 10 = 100mmですが、150mm以上が必要なので150mmです。
dには呼び名の数値(D13なら13)を使って計算するのが一般的です。端数の丸め方や、配筋標準図での長さの決め方は、図面の指示に従います。
定着長さと重ね継手長さについてよくある質問
40dとは何ですか
鉄筋の径の40倍の長さです。D10なら400mm、D13なら520mm、D16なら640mmです。
フックがあると長さが短くなるのはなぜですか
フックがコンクリートに引っかかって抜け出しに抵抗するので、まっすぐな部分の長さが短くても同じように定着できるためです。
重ね継手はどこに設けてもいいですか
引張力の小さい所に設けるのが原則で、同じ位置に継手を集中させない(ずらして設ける)ことも求められます。継手の位置は設計図書や配筋標準図で確かめます。
法令の40dと標準仕様書の値はどちらを使いますか
法令の値は最低限の規定です。工事では、設計図書で指定された値(公共工事なら標準仕様書の表など)を使います。どちらの場合も、法令の値を下回ることはできません。









