鉄筋のかぶり厚さ施行令79条と標準仕様書の最小かぶり厚さ
鉄筋のかぶり厚さは、コンクリートの表面から、いちばん外側にある鉄筋の表面までの厚さです。かぶりが足りないと、鉄筋がさびやすくなったり、火災のときに鉄筋が早く熱くなったりして、建物の耐久性と耐火性が落ちます。この記事では、建築基準法施行令第79条のかぶり厚さ、国土交通省の公共建築工事標準仕様書(令和7年版)の最小かぶり厚さの表、「最小かぶり+10mm」の考え方、測り方と注意点をまとめます。実際の工事では、設計図書(特記)で決められた値に従ってください。
かぶり厚さとは
どこからどこまでを測るか
かぶり厚さは、コンクリートの表面から、いちばん外側の鉄筋の表面までの最短距離です。柱なら帯筋(フープ)、梁ならあばら筋(スターラップ)がいちばん外側になるので、主筋の中心や主筋の表面から測るのではない点に注意します。
かぶり厚さが必要な理由
- コンクリートはアルカリ性で、中の鉄筋をさびから守っています。表面から中性化が進んでも、かぶりが厚ければ鉄筋まで届くのに時間がかかります。
- 火災のとき、かぶりのコンクリートが熱をさえぎり、鉄筋の強度が落ちるのを遅らせます。
- 鉄筋とコンクリートがしっかり付着して、一体で力を伝えるためにも必要です。
建築基準法施行令第79条のかぶり厚さ
| 部位 | かぶり厚さ |
|---|---|
| 耐力壁以外の壁・床 | 2cm以上 |
| 耐力壁・柱・はり | 3cm以上 |
| 直接土に接する壁・柱・床・はり、布基礎の立上り部分 | 4cm以上 |
| 基礎(布基礎の立上り部分を除く) | 6cm以上(捨コンクリートの部分を除く) |
これが法令で決められた最低の値です。国土交通大臣が定めた構造方法を使う部材や、大臣の認定を受けた部材には、この規定は適用されません。
公共建築工事標準仕様書の最小かぶり厚さ
国土交通省の公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版では、特記がないときの最小かぶり厚さを次のように決めています(表5.3.6)。
| 区分 | 構造部分 | 条件 | 最小かぶり厚さ(mm) |
|---|---|---|---|
| 土に接しない部分 | スラブ、耐力壁以外の壁 | 仕上げあり | 20 |
| 仕上げなし | 30 | ||
| 柱、梁、耐力壁 | 屋内・仕上げあり | 30 | |
| 屋内・仕上げなし | 30 | ||
| 屋外・仕上げあり | 30 | ||
| 屋外・仕上げなし | 40 | ||
| 擁壁、耐圧スラブ | ― | 40 | |
| 土に接する部分 | 柱、梁、スラブ、壁 | ― | 40 |
| 基礎、擁壁、耐圧スラブ | ― | 60 | |
| 煙突など高熱を受ける部分 | ― | ― | 60 |
- 普通コンクリートの値で、軽量コンクリートや、塩害を受けるおそれがあるなど耐久性上不利な所には使いません。
- 「仕上げあり」はモルタル塗りなどの仕上げのことで、塗装などの鉄筋の耐久性に有効でない仕上げは含みません。
- 直接土に接する部分のかぶり厚さには、捨コンクリートの厚さを含めません。
- 杭基礎の場合、基礎の下端筋のかぶり厚さは杭の天端から測ります。
- 柱・梁の主筋にD29以上を使う場合は、主筋のかぶり厚さを主筋の径の1.5倍以上確保するように決めます。
- 鉄筋どうしのあきは、粗骨材の最大寸法の1.25倍、25mm、隣り合う鉄筋の径の平均の1.5倍のうち、いちばん大きい値以上とします。
「最小かぶり+10mm」の考え方
鉄筋の加工や組立てには、どうしても数mmの誤差が出ます。そこで、公共建築工事標準仕様書では、柱・梁などの鉄筋の加工に用いるかぶり厚さを「最小かぶり厚さ+10mm」とすることを標準にしています。組み立てたあとのかぶり厚さは、最小かぶり厚さ以上でなければなりません。日本建築学会のJASS 5でも、最小かぶり厚さに施工の誤差を見込んだ「設計かぶり厚さ」を目標にして施工する考え方がとられています。
たとえば、屋外で仕上げなしの柱なら、最小かぶり厚さ40mmに10mmを足した50mmを目標に、鉄筋を加工・配置します。
かぶり厚さを確保するための施工のポイント
- スペーサー(サイコロ・ドーナツなど)を適切な間隔で入れて、鉄筋が型枠に近づかないようにします。
- 打設前に、型枠と鉄筋の間の距離をスケールで測って確かめます。
- 打設中に鉄筋が踏まれたり、バイブレーターで動いたりしないように注意します。
- 設備の配管やスリーブのまわりは、鉄筋がずれてかぶりが不足しやすいので、特に確かめます。
- 打設後に確かめる場合は、電磁誘導法などの非破壊の測定器で、かぶり厚さを測ることもあります。
かぶり厚さについてよくある質問
かぶり厚さは主筋から測るのですか
いちばん外側の鉄筋から測ります。柱なら帯筋、梁ならあばら筋の外側の表面から、コンクリートの表面までです。
基礎のかぶり厚さは何cmですか
建築基準法施行令第79条では、基礎(布基礎の立上り部分を除く)は捨コンクリートの部分を除いて6cm以上、布基礎の立上り部分は4cm以上です。
スラブのかぶり厚さは
施行令第79条では、耐力壁以外の壁・床は2cm以上です。公共建築工事標準仕様書では、仕上げありで20mm、仕上げなしで30mmが最小かぶり厚さです。土に接するスラブは40mmです。ただし、基礎の耐圧スラブは60mmです。
かぶりが厚すぎても問題はありますか
かぶりが厚すぎると、鉄筋の位置が部材の内側に寄り、構造計算で見込んだ強さが出なくなることがあります。図面の寸法どおりに配置することが大切です。









