冷媒の追加充填量の計算液管の長さ×1m当たりの量とメーカー別の式
エアコンの冷媒の追加充填量は、液管の長さに「液管の太さごとの1m当たりの量」を掛けて足し、室外機にあらかじめ入っている分(チャージレス分)を引いて出すのが基本の形です。この記事では、ダイキン・三菱電機・パナソニック・三菱重工の据付説明書や技術資料にある式と計算例、液管1m当たりの冷媒の量、端数の丸め方、R410AとR32の入れ方、記録と法律の決まりをまとめます。
冷媒の追加充填量の計算式(基本の形)
室外機には、工場で一定の配管長さの分まで冷媒が入っています。それを超えて配管を延ばした分だけ、現地で冷媒を足します。各社の式は書き方が違いますが、中身はほぼ次の形です。
- 追加充填量=Σ(液管の長さ×その太さの1m当たりの量)−チャージレス分(+室内機の分)
数えるのは液管(細いほうの管)だけで、ガス管の長さは使いません。長さは実長(実際に配管した長さ)です。計算の結果がマイナスになったときは、追加は不要です(パナソニック・三菱重工の説明書)。パナソニックの説明書では、そのときも冷媒は抜かないよう書かれています。
なぜ液管だけで計算するのか
液管の中は液の冷媒で満たされ、ガス管の中はガスなので、配管を延ばしたときに増える冷媒の量はほとんど液管で決まります。日本冷媒・環境保全機構(JRECO)の資料でも、配管の冷媒量を「冷媒の種類ごとの1m当たりの質量×液管の太さごとの長さ」で推計するとしています。
メーカー別の追加充填量の式と1m当たりの量
同じ太さの液管でも、1m当たりの量やチャージレス分は機種で違います。手元の据付説明書の値を使うのが原則で、下の表は各社の資料に載っている例です。
| 資料(冷媒) | φ6.35 | φ9.52 | φ12.7 | 差し引く分 |
|---|---|---|---|---|
| パナソニック 業務用(R410A) | 20 | 40 | 80 | 30m分 |
| パナソニック 業務用(R32) | 20 | 45 | - | 30m分 |
| 三菱重工 業務用(R410A) | - | 60 | 80 | 30m・15m分 |
| 三菱電機 ビル用マルチ(R410A) | 19 | 50 | - | なし |
| ダイキン 冷暖フリー(R410A) | 22 | 54 | 110 | なし |
単位はg/m(液管1m当たりの追加量)です。三菱重工のφ12.7は既設配管を使う場合の値で、チャージレス長さは15mです。三菱電機は室内ユニットの合計容量に応じた分を足し、ダイキンの冷暖フリーは合計に1.15を掛けます。どれも資料に載っている機種の値で、ほかの機種にそのまま使うことはできません。
パナソニック(R410A・R32)
シングルは配管30mまで追加不要で、30mを超えた長さに液管1m当たりの量を掛けます。同時運転マルチは、主配管と分岐配管のすべての液管を計算してから、室外ユニットチャージレス冷媒量を引きます。
- R410A 80〜224形:追加量(g)=40×主配管+40×分岐配管(φ9.52)+20×分岐配管(φ6.35)−1200
- R32 112〜160形:追加量(kg)=0.045×主配管(φ9.52)+0.045×分岐後(φ9.52)+0.020×分岐後(φ6.35)−1.35
R32の1.35kgは、0.045kg/m×30mにあたります。R32の機種は最大冷媒充填量(112形3.00kg、140・160形3.70kg)と、総冷媒量から決まる設置できる部屋の最小床面積も確かめるよう説明書に書かれています。
三菱重工(R410A)
- 追加チャージ量(kg)=(主管長−30)×0.06+分岐管総長×0.06
配管長が3mより短い場合は、工場出荷時のチャージ量から1kg減らすよう書かれています。既設配管の液管がφ12.7の場合は、チャージレス長さ15m・0.08kg/mで計算します(例:20mなら(20−15)×0.08=0.4kg)。
三菱電機(シティマルチS)
- 追加充填量(kg)=φ9.52の総長×0.05+φ6.35の総長×0.019+室内ユニット分
室内ユニット分は、接続する室内ユニットの合計容量がP80まで1.5kg、P81〜P160で2.5kg、P161以上で3.0kgです。計算結果は0.1kg未満を切り上げます。
ダイキン(冷暖フリー)
- 追加充填量(kg)={φ22.2×0.35+φ19.1×0.25+φ15.9×0.17+φ12.7×0.11+φ9.5×0.054+φ6.4×0.022}×1.15
各項は液管の太さごとの合計長さ(m)を掛けます。0.01kg単位で四捨五入し、追加充填量は計算値の±5%以内にするよう書かれています。
追加充填量の計算例
例1:三菱電機の4台マルチ
技術マニュアルの例です。液管φ9.52の総長が45m、φ6.35の総長が40m、室内ユニットの合計容量が166(P161以上)の場合です。
| 項目 | 計算 | kg |
|---|---|---|
| φ9.52 | 45×0.05 | 2.25 |
| φ6.35 | 40×0.019 | 0.76 |
| 室内ユニット分 | P161以上 | 3.0 |
| 合計 | 6.01を切り上げ | 6.1 |
例2:パナソニック(R410A)の4台マルチ
説明書の例です。主配管φ9.52が35m、分岐配管φ9.52が10+5=15m、室内ユニット間のφ6.35が5+5+5+10=25mで、室外ユニットのチャージレス冷媒量は1200gです。
- 35×40+15×40+25×20−1200=1400+600+500−1200=1300g
例3:シングルで配管を延ばしたとき
パナソニックのR32の112〜160形で、液管φ9.52を40m配管した場合は、0.045×40−1.35=0.45kgです。三菱重工のR410Aの機種で主管45m・分岐なしなら、(45−30)×0.06=0.9kgです(どちらも展開図ラボの計算)。
例4:ダイキン冷暖フリーの系統
カタログの例では、液管φ15.9が35m、φ12.7が11m、φ9.5が33m、φ6.4が5mです。(35×0.17+11×0.11+33×0.054+5×0.022)×1.15=9.052×1.15=10.41で、追加充填量は10.4kgです。
配管の長さは、図面の上で拾うより、立ち上がり・立ち下がりを含めた実長で数えます。配管ルートの長さを拾うときは、配管アイソメ図の書き方のように立体で描くと漏れが減ります。
液管1m当たりの冷媒の量(参考値)
JRECOの資料には、日設連のポケットブックから引いた、液管1m当たりの冷媒の質量(40℃)が載っています。
| 液管 | R22 | R407C | R410A |
|---|---|---|---|
| φ6.35 | 20 | 18.9 | 17.3 |
| φ9.52 | 55.6 | 52.6 | 48.2 |
| φ12.70 | 109.2 | 103.3 | 94.7 |
| φ15.88 | 170.7 | 161.5 | 148.1 |
単位はg/mです(肉厚0.8〜1.0mmの銅管)。メーカーの係数はこれに近い値ですが、同じではありません。JRECOの資料でも、追加充填の基準は機器メーカーによる、としています。冷媒配管の銅管の外径と肉厚は冷媒用銅管のサイズにまとめています。
追加充填のやり方と注意点
R410AとR32は液で入れる
三菱重工の説明書では、R410Aは液相で充填する必要があるので、ボンベを倒立させるかサイフォン管付きのボンベを使い、液側のサービスポートから液で入れる、としています。パナソニックのR32の機種の説明書でも、冷媒充填は必ず液冷媒状態で行い、液管閉鎖弁のサービスポートから入れる、と書かれています。入れ方は機種の説明書で確かめます。
入れる前と後
- 気密試験と真空引きを終えてから入れる
- 計算した量を入れすぎない(パナソニックは過充填にならないよう注意、ダイキンは計算値の±5%以内)
- ダイキンの冷暖フリーは、室内ユニットの電源を入れて充填する
- 工場出荷時の量・追加した量・総冷媒量を、室外機のラベルに書く
ダイキンの資料では、フロン類を追加充填したら、室外ユニットに貼ってある記載シールに、消えにくい油性インクなどでフロンの種類と数量を書かなければならない、としています。真空引きの前のろう付けは銅管のロウ付けのやり方、フレアの寸法はフレア加工のやり方を参照してください。
業務用エアコンの充填と法律(フロン排出抑制法)
業務用のエアコン(第一種特定製品)にフロン類を充填するのは、都道府県知事の登録を受けた第一種フロン類充塡回収業者です。JRECOの資料では、主に次のことが求められるとしています。
- フロン類と充填の方法について十分な知見を有する者が、自ら充填するか立ち会う
- 機器の整備のときに充填・回収したら、量を記録し、管理者に充塡証明書・回収証明書を交付する
- 漏えいの点検や修理をしないまま充填を繰り返さない(繰り返し充塡の禁止)
登録を受けずに充填を業として行うと罰則があります。家庭用のルームエアコンは第一種特定製品ではありませんが、据付説明書に書かれた追加量と入れ方を守る点は同じです。
冷媒の追加充填量についてよくある質問
冷媒の追加充填量はどうやって計算しますか
液管の太さごとに、長さ(実長)×1m当たりの量を出して合計し、チャージレス分を引きます。1m当たりの量とチャージレス分は機種ごとに据付説明書に載っています。
何mまでなら追加充填がいりませんか
機種で違います。例えばパナソニックの業務用(R410A・R32)のシングルや三菱重工のXPシリーズは30mまで不要です。既設配管を使う場合などは15mになる組み合わせもあります。
計算結果がマイナスになったら冷媒を抜きますか
抜きません。パナソニック・三菱重工の説明書では、マイナスのときは追加不要としています。パナソニックは、冷媒を抜かずにそのまま使うよう書いています。
ガス管の長さは計算に入れますか
入れません。各社の式とも液管の太さと長さで計算します。
端数はどう丸めますか
説明書に従います。三菱電機は0.1kg未満を切り上げ、ダイキンの冷暖フリーは0.01kg単位で四捨五入です。









