フレア加工のやり方銅管のフレア寸法・出し代・フレアナット締付けトルク
フレア加工は、銅管の先をラッパ状に広げて、フレアナットで機器や継手につなぐための加工です。エアコンの冷媒配管でよく使い、加工が悪いとガス漏れの原因になります。この記事では、日本冷凍空調工業会の資料、三菱電機・ダイキン・パナソニック・シャープの据付説明書や施工マニュアル、工具メーカーBBKテクノロジーズのフレアツール資料をもとに、フレアの寸法、R410A・R32用フレアツールと出し代、フレアナットの締付けトルク、加工の手順とよくある失敗をまとめます。数値は機器によって違うことがあるので、実際の工事では機器の据付説明書を必ず確かめてください。
フレア加工に使う銅管
エアコンの冷媒配管には、JIS H 3300に定められたりん脱酸銅の継目無管(C1220T)を使います。シャープとパナソニックの工事説明書では、市販の銅管を使う場合はC1220Tで肉厚0.8mmのものを使うよう指示しています。ダイキンの据付説明書では、C1220T-O(JIS H 3300)と書かれています。
日本冷凍空調工業会(JRAIA)の資料では、R410AとR32の機種は圧力が高くなるので肉厚を確かめて使い、0.7mmなどの薄肉管は使わないよう求めています。同じ資料に載っているエアコン配管の外径と肉厚は次のとおりです。
| 呼び | 外径 | 肉厚 |
|---|---|---|
| 1/4(2分) | 6.35mm | 0.8mm |
| 3/8(3分) | 9.52mm | 0.8mm |
| 1/2(4分) | 12.70mm | 0.8mm |
| 5/8(5分) | 15.88mm | 1.00mm |
三菱電機のパッケージエアコン施工マニュアルでは、フレア加工する銅管はO材(なまし材)またはOL材を使うよう書かれています。
フレアを使わずロウ付けで銅管をつなぐ方法は、銅管のロウ付けのやり方で、ろう材や窒素の流し方をまとめています。
フレアの寸法(R410A・R32用と従来用)
冷媒用のフレア継手とフレアナットの規格は、JIS B 8607(冷媒用フレア及びろう付け管継手)です。三菱電機の施工マニュアルとBBKテクノロジーズの資料では、フレアの外径(A寸法)を次のように示しています。R22などの従来冷媒用を第1種、R410Aなどの高い圧力用を第2種と呼び、第2種はフレアが少し大きくなります。
| 管の外径 | 第1種 | 第2種 |
|---|---|---|
| 6.35mm | 9.0mm | 9.1mm |
| 9.52mm | 13.0mm | 13.2mm |
| 12.70mm | 16.2mm | 16.6mm |
| 15.88mm | 19.4mm | 19.7mm |
| 19.05mm | 23.3mm | 24.0mm |
三菱電機のマニュアルでは、この寸法の許容差を+0、−0.4mmとしています。つまり、表の値より大きくなってはいけません。フレアの広がりの角度は90°±2°で、フレアの端の振れは0.4mm以下にするよう書かれています。
フレアナットの対辺寸法
1/2と5/8のフレアナットは、R410A・R32用と従来用で大きさが違います。JRAIAの資料(出典はJIS B 8607)では、ナットの対辺寸法を次のように示しています。
| 管の外径 | R410A・R32用 | R22用 |
|---|---|---|
| 6.35mm | 17mm | 17mm |
| 9.52mm | 22mm | 22mm |
| 12.70mm | 26mm | 24mm |
| 15.88mm | 29mm | 27mm |
対辺寸法が変わるので、トルクレンチも合うものを用意する必要があります。ダイキンとシャープの説明書では、フレアナットはエアコン本体に付いているものを使うよう指示しています。ダイキンは、年数がたったときの腐食割れを防ぐためとしています。
フレアツールと出し代
フレアツールは、銅管をはさむダイス(クランプバー)と、管の口を押し広げるコーンでできています。加工の前に、ダイスの面から銅管の先がどれだけ出ているか(出し代、頭出し寸法)を合わせます。出し代が少ないとフレアが小さく、多いと大きくなりすぎます(三菱電機)。
| ツール | フレア | 出し代 |
|---|---|---|
| R410A対応 | R410A用 | 0〜0.5mm |
| R410A対応 | R22用 | 0〜0.5mm |
| 従来型 | R410A用 | 1.0〜1.5mm |
| 従来型 | R22用 | 0〜0.5mm |
表は三菱電機の施工マニュアルの例で、ツールはどちらもクラッチ式、「R410A用」のフレアはR32と同じ寸法です(管の外径6.35〜19.05mmで同じ値)。ダイキン、シャープ、JRAIAの資料でも、R32・R410A用のクラッチ式フレアツールでは出し代を0〜0.5mmとしています。JRAIAは、従来のフレアツールを使うときは出し代調整用ゲージを必ず使うよう求めています。
三菱電機のマニュアルでは、ツールや締め方で仕上がりに差が出るとしています。加工したら、上のA寸法の表と見比べて確かめてください。
フレア加工のやり方
- パイプカッターで銅管を直角に切る。巻いてある銅管は、まっすぐに伸ばしてから切る。
- 切り口のバリを取る。切り粉が管に入らないよう、切り口を下に向けて行う。
- 管の中に残った銅くずを、軽くたたくなどして取り除く。
- フレアナットを正しい向きで管に通す。加工した後は管が広がって通せない。
- 管の径に合ったダイスの穴に管をはさみ、出し代を合わせてクランプを締める。
- コーンの中心を管の中心に合わせ、ハンドルを回してクラッチが働くまで広げる。
- コーンをゆるめて管を外し、フレアの形と寸法を確かめる。
BBKテクノロジーズの資料では、クラッチが働いた後にさらに2〜3回空回りさせるとしています。三菱電機は、コーンの中心がずれるとフレアの肉厚がふぞろい(偏肉)になり、冷媒漏れの原因になるとしています。
加工後に確かめること
- フレアの内面に傷がなく、均等な幅で光沢があること。
- 真円で、フレア部の肉厚が均等であること。
- フレアの大きさが適切であること。
- フレアナットを入れ忘れていないこと。
フレアナットの締付けトルク
フレアナットはトルクレンチで締めます。締め付けが足りないとガス漏れ、締めすぎると長い年月の後にナットが割れて冷媒漏れの原因になると、三菱電機とシャープの説明書に書かれています。資料ごとの値は次のとおりです。
| 管の外径 | 三菱電機 | ダイキン |
|---|---|---|
| 6.35mm | 14〜18N·m | 14.2〜17.2N·m |
| 9.52mm | 34〜42N·m | 32.7〜39.9N·m |
| 12.70mm | 49〜61N·m | 49.5〜60.3N·m |
| 15.88mm | 68〜82N·m | 記載なし |
| 19.05mm | 100〜120N·m | 記載なし |
| 管の外径 | パナソニック | シャープ |
|---|---|---|
| 6.35mm | 14〜18N·m | 16±2N·m |
| 9.52mm | 34〜42N·m | 38±4N·m |
| 12.70mm | 50〜55N·m | 55±6N·m |
三菱電機の値は、パッケージエアコン施工マニュアルに「JIS B 8607推奨値」として載っているものです(同社のルームエアコン据付説明書も6.35〜12.70mmは同じ値)。ダイキン・パナソニック・シャープはルームエアコンの説明書の値です。機種ごとに説明書の値に従ってください。
締め方
- フレアの中心を合わせ、最初の3〜4回転は手で締める(ダイキン・シャープ・三菱電機)。手でスムーズに回らないときは、ねじ山が合っていないので締め直す(三菱電機)。
- 相手側の継手をスパナで押さえ、トルクレンチで締める(2丁スパナ)。
- 締め終わったら、石けん水やHFC冷媒に対応したリークテスターで漏れを確かめる。
冷凍機油の塗り方は資料で違う
ダイキンとシャープのルームエアコンの説明書では、ガス漏れを防ぐためフレアの内面に冷凍機油を塗り、フレアの外面とナットのねじ部には塗らないよう指示しています。締めすぎによるナットの割れやねじの破損を防ぐためです。一方、三菱電機のパッケージエアコン施工マニュアルでは、フレアの表と裏の両面に薄く塗るとしています。使う油の種類も含めて、機器の説明書に従ってください。
よくある失敗
フレアが小さい・大きすぎる
出し代の合わせ間違いが主な原因です。とくに従来のフレアツールでR410A・R32用のフレアを作るときは、出し代が0〜0.5mmでは足りません(三菱電機の例では1.0〜1.5mm)。パナソニックの説明書では、挿入寸法(出し代)が大きすぎる例と小さすぎる例を、悪い例として図で示しています。
フレアが割れる・だ円になる
BBKテクノロジーズの資料では、フレア加工の悪い例として、バリ取り不足でできる溝、切り粉による内面の傷、寸法不足、寸法過大、割れ、だ円を挙げ、どれもガス漏れの原因になるので再加工するよう書いています。巻いたままの銅管を切ると切り口が斜めになり、だ円のフレアになります。
締めすぎてフレアをつぶす
三菱電機のルームエアコンの説明書では、締めすぎるとフレア部が破損し、その後に増し締めしてもガス漏れは止まらないとしています。
フレア加工についてよくある質問
R32とR410Aでフレアツールは別ですか
ダイキンやJRAIAの資料では、R32とR410Aは同じ「R32・R410A用」のフレアツールと出し代(0〜0.5mm)で扱っています。R22用のフレア寸法とは違うので、R22用として使っていた古い工具の場合は、出し代を調整する必要があります。
既設の配管はそのまま使えますか
三菱電機とシャープのルームエアコンの説明書では、既設配管を使う場合、肉厚0.8mmの配管であることを確かめ、フレアをR32・R410A用の寸法で作り直すよう指示しています。シャープは、配管の中がひどく汚れている場合などは、配管を洗浄するか新しい配管に替えるよう書いています。
フレアナットは市販品でもいいですか
ダイキンとシャープは、エアコン本体に付いているフレアナットを使うよう指示しています。1/2と5/8はR22用とナットの大きさが違うので、取り違えにも注意が必要です。
トルクレンチがないときはどうすればいいですか
今回確かめたメーカー4社の説明書は、どれもトルクレンチで締めるよう指示しています。トルクレンチを用意してから作業してください。









