インサートの種類と使い方M10・M12・M16の許容引抜荷重、デッキプレートの注意、あと施工アンカーとの違い
インサートは、コンクリートを打つ前に型枠に取り付けて埋め込み、天井や配管・ダクトを吊る吊りボルトをねじ込むための金物です。この記事では、国土交通省の公共建築工事標準仕様書(建築・電気設備・機械設備工事編)令和7年版、公共建築設備工事標準図、国土技術政策総合研究所の資料、インサートメーカー(丸井産業)のカタログをもとに、インサートの種類、ねじの径ごとの許容引抜荷重、間隔、あと施工アンカーとの使い分けをまとめます。
インサートの決まり
- インサートは、型枠を組むときに取り付けて埋め込む
- 鋼製で、防錆処理をしたものを使う
- 天井下地の吊りボルト用は、間隔900mm程度、周辺部は端から150mm以内
公共建築工事標準仕様書(建築工事編)の14章4節の決まりです。機械設備工事編では、インサート金物を、管の吊りや支持に十分な強度をもち、防錆処理をした鋼製とし、標準図の選定表によるとしています。
ねじの径ごとの許容引抜荷重
| ねじの径 | 埋込深さ | 許容引抜荷重 |
|---|---|---|
| M10 | 28mm | 2,000N |
| M12 | 45mm | 4,400N |
| M16 | 56mm | 6,500N |
公共建築設備工事標準図(機械設備工事編)の「形鋼振れ止め支持部材選定表(二)」にある、鋼製インサート金物の値です。許容引抜荷重は長期の値で、コンクリートの圧縮強度18N/mm²の場合です。電気設備工事編の表2.10.1にも、インサートの許容引抜荷重としてM10が2,000N以上、M12が4,400N以上、M16が6,500N以上と載っています。
同じ標準図では、吊りボルトとインサートは同じねじの規格にするとしています。M10のインサートにはM10の吊りボルト、W3/8のインサートにはW3/8の吊りボルトを使います。
インサートの種類
丸井産業のカタログでは、取り付ける型枠や場所によって、次のような種類を分けています。
- 合板型枠用:台座ごと型枠に釘で打ち付ける。脱型のときに釘が型枠の側に残る形もある
- 断熱天井用:型枠の上の断熱材ごと打ち込む。断熱材の厚さに合わせて台座が動く形もある
- 接着形:接着シールで型枠に貼る。デッキプレートなど脱型しない型枠には使えない
- デッキプレート用:デッキプレートに取り付ける形
機械設備工事編では、断熱材のある所には、インサート金物の台座に断熱材と同じ長さのさや管を付けた「断熱インサート金物」を使うとしています。
デッキプレートの注意
丸井産業のカタログでは、デッキ用のインサートはデッキプレートの山部に使い、谷部では適正な強度が得られないとしています。国土技術政策総合研究所の資料(第751号)でも、デッキプレートの谷部にインサートやあと施工アンカーを設けるときは、製品の許容耐力を相応に下げて考える必要があるとしています。
あと施工アンカーとの使い分け
公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)では、吊りボルトなどの取付けは、あらかじめインサートやボルトをスラブに埋め込み、やむを得ない場合だけ、必要な強度をもつあと施工アンカーを使うとしています。
| 種類 | M10 | M12 |
|---|---|---|
| インサート | 2,000 | 4,400 |
| おねじ形アンカー | 2,500 | 4,500 |
| めねじ形アンカー | 500 | 500 |
| 接着系アンカー | 5,000 | 6,100 |
電気設備工事編の表2.10.1の許容引抜荷重(N以上)で、コンクリートの圧縮強度18N/mm²の場合です。めねじ形のあと施工アンカーは、インサートより許容値がかなり小さくなります(展開図ラボの読み方)。
国土技術政策総合研究所の資料では、特定天井の吊り元には接着系アンカーを使わず、あと施工アンカーは吊り材全体の3割以下を原則としています。アンカーの種類はアンカーボルトの種類で説明しています。
インサートどうしの間隔
丸井産業のカタログでは、カタログの許容引抜荷重を使う条件として、インサートどうしの間隔を埋込深さの6倍以上、コンクリートの端からの距離(へりあき)を埋込深さの3倍以上としています。1本あたりの上限は、長期8.0kN・短期12.0kNです。
天井下地の割付
天井の吊りボルト用のインサートは、天井下地の割付に合わせて入れます。部屋の長さを900mm以下の間隔で等分する計算と例はLGS天井下地の吊りボルト・野縁の間隔、等分した位置を並べるには下地のピッチ割付ツールが使えます。
よくある失敗
インサートと吊りボルトのねじが違う
標準図では、吊りボルトとインサートは同じねじの規格にするとしています。M10とW3/8を混ぜないようにします。
デッキプレートの谷部に付ける
谷部では強度が出ないので、山部に付けます。
入れ忘れをめねじ形アンカーで済ませる
めねじ形アンカーの許容値はM10で500Nと小さく、インサートの代わりにはなりません。必要な強度を確かめて選びます。
インサートを近づけすぎる
カタログの許容値は、間隔が埋込深さの6倍以上の場合の値です。
インサートについてよくある質問
インサートの許容荷重は
標準図の鋼製インサート金物で、M10が2,000N、M12が4,400N、M16が6,500N(長期、コンクリート18N/mm²)です。
インサートの間隔は
天井下地の吊りボルト用は、公共建築工事標準仕様書で900mm程度、端から150mm以内です。
インサートを入れ忘れたら
やむを得ない場合は、必要な強度をもつあと施工アンカーを使います(電気設備工事編)。
断熱材のある天井には
台座に断熱材の厚さと同じ長さのさや管を付けた、断熱インサート金物を使います(機械設備工事編)。









