タップの下穴表M3〜M24の下穴径と呼び径−ピッチの出し方
タップでめねじを切る前にあける穴が「下穴」です。下穴が小さすぎるとタップが重くなって折れやすく、大きすぎるとねじ山が低くなります。この記事では、JIS B 1004(ねじ下穴径)と、タップメーカー(OSG・ヤマワ・イシハシ精工)の資料をもとに、メートルねじの下穴径の表、「呼び径 − ピッチ」の簡易式、ボルトを通す穴の径、管用テーパねじの下穴、タップ作業の注意点をまとめます。
メートル並目ねじの下穴径(切削タップ)
| ねじ | ピッチ | 呼び径 − ピッチ | ドリル径の例 | めねじ内径の範囲(6H) |
|---|---|---|---|---|
| M3 | 0.5 | 2.5 | 2.5 | 2.459〜2.599 |
| M4 | 0.7 | 3.3 | 3.3 | 3.242〜3.422 |
| M5 | 0.8 | 4.2 | 4.2 | 4.134〜4.334 |
| M6 | 1.0 | 5.0 | 5.0 | 4.917〜5.153 |
| M8 | 1.25 | 6.75 | 6.8 | 6.647〜6.912 |
| M10 | 1.5 | 8.5 | 8.5 | 8.376〜8.676 |
| M12 | 1.75 | 10.25 | 10.3 | 10.106〜10.441 |
| M14 | 2.0 | 12.0 | 12.0 | 11.835〜12.210 |
| M16 | 2.0 | 14.0 | 14.0 | 13.835〜14.210 |
| M18 | 2.5 | 15.5 | 15.5 | 15.294〜15.744 |
| M20 | 2.5 | 17.5 | 17.5 | 17.294〜17.744 |
| M22 | 2.5 | 19.5 | 19.5 | 19.294〜19.744 |
| M24 | 3.0 | 21.0 | 21.0 | 20.752〜21.252 |
単位はmmです。「呼び径 − ピッチ」はOSGの推奨下穴径(旧JIS2級めねじ用)と同じ値、「ドリル径の例」はイシハシ精工の下穴ドリル径表の値です。「めねじ内径の範囲」はJIS B 1004の表の、めねじ内径の最小と6H(一般的な精度)の最大です。切削タップでは下穴径がそのままめねじの内径になるので、下穴がこの範囲に入っていれば、めねじの内径は規格に合います。ピッチはJIS B 0205-3の並目の値です。
「呼び径 − ピッチ」で下穴が出せる
ヤマワの技術資料では、切削タップの下穴径は「呼び径 − ピッチ」で求められるとしています(下穴径表がないときの暫定の値として)。M12×1.5なら 12 − 1.5 = 10.5mmです。この式で出した下穴は、ねじ山の高さに対するかかり(ひっかかり率)が約92%になり、表のサイズではどれも6Hの範囲に入ります。
ただし、盛上げタップ(溝なしタップ)は、ねじ山を押し上げて作るので下穴の考え方が違い、この式は使えません。盛上げタップはメーカーの下穴径表に従います。
下穴は「範囲の中で大きめ」がよい
OSGの技術資料では、下穴径がめねじ内径の範囲に入っていれば、ねじの強さに大きな差は出ないので、許される範囲で大きい方がよいとしています。下穴が小さいと、削る量とトルクが増えて、タップの摩耗や折損につながります。ヤマワの資料では、M8の下穴をφ6.8からφ6.9にすると、切りくずの量が15%、加工トルクが13%減るとしています。推奨値はメーカーによって違い、ヤマワはM8で6.85、M12で10.4のように、範囲の上の方に近い値を載せています。
ステンレスや鋳鉄の場合
OSGは、ステンレスでタップの寿命が短くなる主な原因は、下穴をあけるときの加工硬化だとして、下穴は規格の範囲で最大を狙うよう勧めています。鋳鉄などめねじが小さく仕上がりやすい材料では、少し大きめに作られたオーバーサイズのタップを使う対策が示されています。
細目ねじの下穴径
| ねじ | 呼び径 − ピッチ | めねじ内径の範囲(6H) |
|---|---|---|
| M8×1 | 7.0 | 6.917〜7.153 |
| M10×1.25 | 8.75 | 8.647〜8.912 |
| M12×1.5 | 10.5 | 10.376〜10.676 |
| M12×1.25 | 10.75 | 10.647〜10.912 |
| M16×1.5 | 14.5 | 14.376〜14.676 |
| M20×1.5 | 18.5 | 18.376〜18.676 |
| M24×1.5 | 22.5 | 22.376〜22.676 |
ボルトを通す穴の径(JIS B 1001)
ボルトを通すだけの穴(すきま穴)の径は、JIS B 1001で1級〜4級が決められています。4級は主に鋳抜き穴用です。
| ねじの呼び径 | 1級 | 2級 | 3級 | ざぐり径 |
|---|---|---|---|---|
| M6 | 6.4 | 6.6 | 7 | 15 |
| M8 | 8.4 | 9 | 10 | 20 |
| M10 | 10.5 | 11 | 12 | 24 |
| M12 | 13 | 13.5 | 14.5 | 28 |
| M16 | 17 | 17.5 | 18.5 | 35 |
| M20 | 21 | 22 | 24 | 43 |
| M24 | 25 | 26 | 28 | 50 |
建築の鉄骨では、建築基準法施行令第68条で、高力ボルトの穴径はボルトの径+2mm以下(径27mm以上は+3mm以下)、普通ボルトの穴径は+1mm以下(径20mm以上は+1.5mm以下)と決められています。
管用テーパねじ(Rc)の下穴径
| 呼び | OSG | イシハシ精工 |
|---|---|---|
| Rc 1/8 | 8.2 | 8.2 |
| Rc 1/4 | 10.9 | 11.0 |
| Rc 3/8 | 14.4 | 14.5 |
| Rc 1/2 | 18 | 18.0 |
| Rc 3/4 | 23 | 23.5 |
| Rc 1 | 29 | 29.5 |
メーカーによって値が少し違います。下穴はふつうストレート穴です。OSGは、推奨値から大きくしてよいのはRc1/8以下で+0.2mm、1/4以上で+0.3mmまでとし、大きすぎると漏れのおそれがあるとしています。管用ねじの種類は管用ねじの種類で説明しています。
タップ作業の注意点
- ハンドタップは、食付き部の長い先タップ(9山)、中タップ(5山)、上げタップ(1.5山)の順に使う。止り穴の奥まで完全なねじが必要なときは上げタップで仕上げる。
- 止り穴の下穴の深さは、ねじの有効長さに、タップの食付き部の長さと余裕(約1ピッチ)、ドリル先端の長さを足す。タップの先が穴の底に当たると破損の原因になる。
- 切削油を使う。鋼やステンレスには不水溶性の切削油(活性タイプ)、鋳鉄には水溶性、銅・アルミには不水溶性(不活性タイプ)が、イシハシ精工の資料で示されている。
- タップと下穴の心ずれや、下穴の傾きを防ぐ。切りくずが詰まらないように、切りくずの逃げ場を確保する。
よくある失敗
下穴が小さすぎてタップが折れる
下穴が小さいと、削る量とトルクが増えてタップが折れやすくなります。めねじ内径の範囲の中で、大きめの下穴にします。
盛上げタップに切削タップの下穴を使う
盛上げタップ(溝なしタップ)は、ねじ山を押し上げて作るので、下穴の考え方が違います。切削タップの表や「呼び径 − ピッチ」の式は使わず、メーカーの盛上げタップ用の下穴径表に従います。
止り穴でタップが底に当たる
下穴の深さに余裕がないと、タップの先が底に当たって折れます。食付き部の長さと余裕を足した深さにします。
タップの下穴についてよくある質問
M8の下穴は何mmですか
切削タップなら、呼び径 − ピッチで 8 − 1.25 = 6.75mmです。イシハシ精工の下穴ドリル径表では6.8mmで、めねじ内径の範囲(6H)は6.647〜6.912mmです。
M10とM12の下穴は
M10は8.5mm、M12は10.25mm(ドリルは10.3mmなど)です。
下穴径の簡単な出し方は
切削タップなら「呼び径 − ピッチ」です。盛上げタップには使えません。
ボルトを通す穴の径は
JIS B 1001の2級で、M10なら11mm、M12なら13.5mm、M16なら17.5mmです。









