トランシットの使い方求心・整準の据え付けと直角・延長線の出し方
トランシットは、水平の角度と鉛直の角度を正確に測る測量機械で、建築や土木の現場では通り芯の位置出しや直角出し、建物の建て入れの確認に使われます。いまの現場で「トランシット」と呼ばれているのは、角度を数字で表示する電子式のセオドライトであることがほとんどです。この記事では、トランシットの据え付け(求心・整準)の手順、角度の測り方、直角や延長線の出し方、誤差を減らす正反観測のコツをまとめます。操作は機種によって違うので、使う機械の取扱説明書もあわせて確かめてください。
トランシットとは
トランシット・セオドライト・トータルステーションの違い
| 機械 | できること |
|---|---|
| トランシット | 水平角・鉛直角を測る。もともとは目盛りを読む光学式の機械の呼び名 |
| セオドライト(電子セオドライト) | 水平角・鉛直角を測り、角度を数字で表示する。現場でトランシットと呼ばれることが多い |
| トータルステーション | 角度に加えて距離も測れる。座標で位置を出せる |
現場での主な使い道
- 通り芯や基準線の位置出し(墨出し)
- 直角や決まった角度の線を出す
- 基準線の延長線を出す
- 柱や鉄骨の建て入れ(垂直)の確認
トランシットの据え付け(求心と整準)
正確に測るには、機械の中心を地面の基準点の真上に合わせる「求心」と、機械を水平にする「整準」が欠かせません。2つは互いに影響するので、交互に何度か繰り返して合わせます。ここでは整準ねじで求心してから、脚の伸び縮みで水平に近づける手順を紹介します。先に脚頭を水平にして、機械を滑らせて求心するやり方もあります。機種の説明書や会社のやり方に合わせてください。
1.三脚を立てる
三脚の脚を開き、基準点(杭の中心の釘など)のほぼ真上に三脚の頭が来るように立てます。三脚の頭がおおよそ水平になるように脚の長さを調整し、脚をしっかり地面に踏み込みます。
2.求心(基準点の真上に合わせる)
三脚に機械を取り付け、求心望遠鏡やレーザー求心の点をのぞきながら、整準ねじを回して、求心の十字(点)を基準点に合わせます。
3.整準(水平にする)
円形気泡管の気泡が中心に来るように、三脚の脚の長さを伸び縮みさせて、おおまかに水平にします。次に、棒状の気泡管(管形気泡管)を2本の整準ねじと平行にして気泡を真ん中に合わせ、機械を90度回して残りの整準ねじで合わせます。電子気泡管の機種では、画面の表示を見ながら合わせます。
4.求心と整準を繰り返す
整準をすると求心が少しずれます。三脚の頭の上で機械を少しだけ平行に動かして求心を直し、また整準を確かめます。求心と整準の両方が合うまで繰り返します。
トランシットで角度を測る・直角を出す
角度の測り方
- 望遠鏡で1つ目の目標(後視点)をのぞき、十字線を目標に合わせます。
- 水平角の表示を0°にします(0セット)。
- 機械を回して2つ目の目標をのぞき、十字線を合わせます。
- 表示された水平角が、2つの目標の間の角度です。
直角の線を出す
基準線上の点に機械を据え、基準線の先の目標に合わせて0セットします。機械を回して水平角を90°に合わせ、その方向の地面や床に印を付ければ、基準線に直角な線が出せます。3:4:5の三角形や対角線の長さでも確かめておくと安心です。
延長線を出す
基準線の点に機械を据えて先の目標に合わせたあと、望遠鏡を上下に回して(反転させて)反対側をのぞくと、基準線の延長の方向になります。機械にくるいがあると、反転した分だけ線が曲がります。大事な線は、正と反で1点ずつ印を付け、2点の真ん中を延長の点にします。
誤差を減らす正反観測
機械には、わずかな調整のくるいが残っていることがあります。望遠鏡を反転させない状態(正)と、反転させた状態(反)の両方で同じ角度を測り、その平均をとると、機械のくるいによる誤差の多くを打ち消せます。ただし、機械の軸が鉛直からずれている誤差(鉛直軸誤差)は、正反でも消えません。柱の建て入れのように望遠鏡を大きく上下に振る作業では影響が大きいので、整準はていねいに行います。大事な位置出しでは、正反の両方で測って確かめます。
そのほかの誤差を減らすコツ
- 日なたでは三脚や機械が熱で動くことがあるので、長い時間の作業ではときどき整準を確かめます。
- 三脚の脚に体や物が当たったら、求心と整準をやり直します。
- 目標はできるだけ遠くの、はっきりした点を選びます。近い目標は、少しのずれが大きな角度の誤差になります。
- 作業の前に、既知の角度や基準線で機械のくるいを確かめます。
トランシットで建て入れを確かめる
柱や鉄骨の建て入れは、柱から離れた位置に機械を据え、望遠鏡を上下に振って、柱の上と下が十字線の同じ位置に来るかで確かめます。直角に交わる2方向から確かめると、傾きの向きが分かります。
トランシットについてよくある質問
トランシットとセオドライトは違うものですか
どちらも角度を測る機械です。もともとトランシットは目盛りを読む光学式の機械の呼び名でしたが、いまは電子式のセオドライトもトランシットと呼ばれることが多くあります。
トランシットとレベルの違いは
トランシットは角度を測る機械、レベル(オートレベルなど)は高さの差を測る機械です。位置出しにはトランシット、高さ出しにはレベルを使います。
レーザー墨出し器があればトランシットはいりませんか
建物の中の墨出しはレーザー墨出し器で十分なことも多いですが、屋外の長い距離の位置出しや、正確な角度が必要な作業にはトランシットやトータルステーションが使われます。
求心と整準はどちらを先にしますか
おおまかな求心をしてから整準し、ずれた求心を直してまた整準を確かめる、というように交互に繰り返して合わせます。









