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丁張り(遣り方)とは?水杭・水貫の設置手順と直角の出し方

丁張り(ちょうはり)は、工事を始める前に、建物や構造物の位置と高さの基準を現場に示すための仮設物です。建築では「遣り方(やりかた)」と呼ぶことが多く、物は同じです。この記事では、丁張り・遣り方の意味と各部の名前、設置の手順、直角と高さの出し方、土木の法丁張りまでをまとめます。杭を打つ位置や水貫の高さなどの数字は、会社や現場によって決め方が違うので、ここでは目安として紹介します。

丁張り(遣り方)とは

建物の位置と高さの基準を示す仮設物

丁張り(遣り方)は、建物の周りに杭を打ち、その杭に水平に板を打ち付けて、建物の基準となる高さと、壁や柱の芯(通り芯)の位置を示すものです。基礎を掘ったり型枠を組んだりすると、地面に描いた線は消えてしまうので、工事の範囲の外に基準を移しておきます。

丁張りと遣り方の違い

国土交通省の資料でも、建築の仕様書では「遣方」、土木の資料では「丁張」という言葉が使われています。一般に、建築では遣り方(水盛り遣り方)、土木では丁張りと呼ぶことが多く、地域や会社によっては混ぜて使われています。

丁張り(遣り方)の各部の名前

建物の周りの角に水杭と水貫を設け、水糸で通り芯を示す遣り方の平面
建物の角などに水杭と水貫を設け、水糸で通り芯を示します。
名前役割
水杭(みずぐい)地面に打ち込む杭。遣方杭、地杭とも呼ぶ
水貫(みずぬき)水杭に水平に打ち付ける板。上端(天端)が高さの基準になる
筋交い貫(すじかいぬき)杭が動かないように斜めに打ち付ける板
水糸(みずいと)水貫に打った釘の間に張る糸。通り芯の位置を示す
水杭の頭のいすか切りと、水杭に水平に打ち付けた水貫
水貫の上端が、工事の高さの基準になります。

水杭の頭のいすか切り

水杭の頭を前後から斜めに切り、鳥のくちばしのような形にする「いすか切り」(矢はず切りとも呼ぶ)は、杭の頭を叩いたり、物が当たったりして杭が動いたときに、すぐ気付けるようにするためのものです。最近は行わない現場もあります。

丁張り(遣り方)の設置手順

  1. 設計図と敷地の境界を確認し、高さの基準になるベンチマーク(BM)を決めます。
  2. 縄張り(地縄)で、建物の位置を地面に示します。
  3. 建物の隅や要所の外側に、水杭を打ちます。
  4. レベルや水盛りで、各杭に同じ基準の高さの印を付けます。
  5. 印に合わせて水貫を水平に打ち付け、筋交い貫で固定します。
  6. 水貫に通り芯の位置の釘を打ち、水糸を張ります。
  7. 直角や寸法を確かめ、工事の邪魔にならない所に逃げ墨(逃げ心)を設けます。
  8. 検査を受けて、基準として使います。

国土交通省の公共建築工事標準仕様書(建築工事編)では、遣方を建物の隅その他の要所に設けること、水貫は上端をかんな削りして水平に保って地杭に固定すること、建物の位置と水平の基準を明確に表示して監督職員の検査を受けることなどが決められています。

同じ仕様書では、検査に使う基準の巻尺を、JIS B 7512(鋼製巻尺)の1級としています。

杭の位置と水貫の高さの決め方

杭を打つ位置の目安

水杭は、基礎を掘る範囲にかからないよう、建物の外側に離して打ちます。縄張りから60cm〜1mほど外側、杭の間隔は1.5〜1.8mほどという例が多いですが、掘削の幅や敷地の広さで変わります。

水貫の高さの目安

水貫の上端の高さは、基礎の天端より少し高い位置や、ベンチマークから決めた高さなど、会社や現場によって決め方が違います。大切なのは、全部の水貫の上端がそろっていることと、その高さが設計の何の高さから何mmなのかを、はっきりさせておくことです。

丁張り(遣り方)で直角と寸法を確かめる

3:4:5の大矩

辺の長さが3:4:5の三角形は、必ず直角になります。3.6m・4.8m・6.0mのように同じ比率で大きく取ると、直角の精度が上がります。

対角線の長さで確かめる

長方形なら、2本の対角線の長さは等しくなります。通り芯の交点どうしの対角線を測り、長さがそろっているかを確かめます。たとえば7,280 × 3,640mmの長方形の対角線は、√(7,280² + 3,640²)= 約8,139mmです。

作業の注意点

  • 水糸はたるまないように張り、測るたびに張り具合を確かめます。
  • 重機や資材が杭に当たらないようにし、当たった杭は高さと位置を確かめ直します。
  • いまはレーザー墨出し器やオートレベル、トランシットで直角や高さを出すのが一般的ですが、確かめる考え方は同じです。

土木の法丁張り

法丁張り(のりちょうはり)は、盛土や切土の法面(斜面)の位置と勾配を示す丁張りです。杭と水平の貫に、勾配に合わせた斜めの貫を付けて示します。法面の勾配は「1:1.8」のように、高さ1に対する水平の長さで表します。1:1.8なら、高低差1,000mmに対して水平に1,800mmです。

いまは、機械の位置を測って施工するICT施工(マシンガイダンスなど)で、丁張りを設けずに施工する現場も増えています。

丁張り(遣り方)についてよくある質問

丁張りと遣り方は同じものですか

同じものです。建築では遣り方、土木では丁張りと呼ぶことが多いです。

水盛りとは何ですか

水面が水平になる性質を使って、各杭に同じ高さの印を付ける作業のことです。遣り方とあわせて「水盛り遣り方」と呼ぶこともあります。

遣り方はいつ外しますか

基礎の位置と高さが決まり、逃げ墨などに基準を移したあとに外すのが一般的です。外す時期は工程や現場の決まりに従います。

水貫はなぜかんなで削るのですか

水貫の上端を高さの基準にするので、上端をまっすぐ平らにしておくためです。

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