電線管の90度曲げの計算方法曲げ始めの印と切断長さ・縮みの出し方
電線管を壁から立ち上げたり、床から立ち上げたりするときの90度曲げは、曲げ始めの印をどこに付けるかで仕上がりの高さが決まります。この記事では、印の位置と切断長さ、曲げで生まれる「縮み」の計算方法を、E25(外径25.4mm)の例で説明します。
寸法の取り方
90度曲げの寸法は、管の端から、曲がった先の管の外側(背)までで指示するのが一般的です。管の外径の半分をr、ベンダーの曲げ半径(管の中心線)をRとすると、次のように計算できます。
| 求めるもの | 計算式 |
|---|---|
| 曲げ始めの印(立ち上げ側の端から) | 立ち上げの高さ − r − R |
| 曲がる部分の長さ | π × R ÷ 2 |
| 切断長さ | 立ち上げの高さ + 横の長さ − 縮み |
| 縮み | 2 ×(r + R)− π × R ÷ 2 |
計算例:E25・曲げ半径150・立ち上げ500・横800
例の曲げ半径150mmは、計算の流れを説明するための値です。公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)では、金属管の曲げの内側の半径を管の内径の6倍以上とし、1か所の曲げは90度までとしています。E25(内径約23mm)なら、中心線の半径で約151mm以上です。ただし、管の太さが25mm以下で施工上やむを得ない場合は、管がつぶれたり割れたりしない範囲で小さくできます。分岐回路の配管では、1区間の曲げは4か所以下、合計270度以下にします。実際は使うベンダーの曲げ半径で計算してください。
| 求めるもの | 計算 | 値 |
|---|---|---|
| 曲げ始めの印 | 500 − 12.7 − 150 | 337.3mm |
| 曲がる部分の長さ | 3.1416 × 150 ÷ 2 | 235.6mm |
| 曲げの中心の印 | 337.3 + 235.6 ÷ 2 | 455.1mm |
| 縮み | 2 × 162.7 − 235.6 | 89.8mm |
| 切断長さ | 500 + 800 − 89.8 | 1,210.2mm |
曲げの角が丸くなるので、立ち上げの高さと横の長さを足した1,300mmより、実際の管は89.8mm短くて済みます。この縮みを知らずに1,300mmで切ると、横の長さが89.8mm長くなってしまいます。
早見表:曲げ半径で縮みはどう変わるか
E25(外径25.4mm)で、立ち上げ500mm・横800mmの90度曲げを、曲げ半径(管の中心線)を変えて計算した値です。
| 曲げ半径R | 曲げ始めの印 | 曲がる部分の長さ | 縮み | 切断長さ |
|---|---|---|---|---|
| 100 | 387.3 | 157.1 | 68.3 | 1,231.7 |
| 120 | 367.3 | 188.5 | 76.9 | 1,223.1 |
| 150 | 337.3 | 235.6 | 89.8 | 1,210.2 |
| 180 | 307.3 | 282.7 | 102.7 | 1,197.3 |
単位はmmです。曲げ半径が大きいほど縮みが大きくなり、同じ仕上がり寸法でも切断長さが短くなります。使うベンダーの曲げ半径で計算してください。
計算例2:E19・曲げ半径120・立ち上げ300・横600
E19(外径19.1mm)で、外径の半分は9.55mmです。
| 求めるもの | 計算 | 値 |
|---|---|---|
| 曲げ始めの印 | 300 − 9.55 − 120 | 170.5mm |
| 曲がる部分の長さ | 3.1416 × 120 ÷ 2 | 188.5mm |
| 曲げの中心の印 | 170.5 + 188.5 ÷ 2 | 264.7mm |
| 縮み | 2 × 129.55 − 188.5 | 70.6mm |
| 切断長さ | 300 + 600 − 70.6 | 829.4mm |
ベンダーの目印の合わせ方
ハンドベンダーには、管の印を合わせるための目印が付いています。目印が曲げ始めを指すのか、曲げの中心を指すのかは機種によって違うので、説明書で確かめてください。曲げ始めに合わせる機種なら337.3mm、曲げの中心に合わせる機種なら455.1mmの位置の印を使います。ほかに、立ち上げの高さから決まった差し引き寸法(テイクアップ)を引いた位置に、矢印を合わせる機種もあります。
曲げの手順
- 管を切断長さで切り、立ち上げ側の端から印を付けます。
- 印をベンダーの目印に合わせ、管が立ち上がる向きを確かめてから曲げ始めます。
- 90度まで曲げたら、床に置いて立ち上げの高さと横の長さを測ります。
- 管は曲げたあと少し戻るので、角度を確かめながら少しずつ曲げます。
段差をよける曲げは電線管のS曲げの計算方法で説明しています。
よくある失敗
縮みを引かずに切る
立ち上げの高さと横の長さを足した長さで切ると、曲げたあとで縮みの分だけ長くなります。先に縮みを計算して、切断長さを決めます。
寸法を測る位置が図面と違う
この記事では、管の端から曲がった先の管の外側(背)までで測っています。図面が管の中心(芯)で指示されている場合は、外径の半分を足し引きしないように計算を変えます。
曲げたあとの戻りを見込まない
管は曲げたあと少し戻ります。90度ちょうどで止めると、戻って角度が足りなくなることがあります。少しずつ曲げて、角度を確かめながら仕上げます。
電線管の90度曲げについてよくある質問
縮みとは何ですか
曲げの角が丸くなる分、立ち上げの高さと横の長さを足した長さより、実際の管が短くて済む量です。2 ×(外径の半分 + 曲げ半径)− 曲がる部分の長さ で出します。
曲げ始めの印はどこに付けますか
立ち上げ側の端から、立ち上げの高さ − 外径の半分 − 曲げ半径 の位置です。ベンダーの目印が曲げの中心を指す機種なら、そこに曲がる部分の長さの半分を足した位置に付けます。
曲げ半径はいくつ以上にしますか
公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)では、金属管の曲げの内側の半径を管の内径の6倍以上としています。管の太さが25mm以下で施工上やむを得ない場合などは、管がつぶれない範囲で小さくできます。









