電線管ベンダーの使い方曲げ半径の決まりとサイズ別早見表、90度曲げ・S曲げの考え方
電線管ベンダーは、ねじなし電線管(E管)や薄鋼電線管(C管)を、現場で手で曲げるための工具です。この記事では、国土交通省の公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)、経済産業省の電気用品安全法の技術基準、パナソニック・ジェフコム・マクセルイズミなど工具メーカーの資料をもとに、曲げ半径と曲げる回数の決まり、管のサイズと曲げ半径の早見表、ベンダーとヒッキーの違い、90度曲げ・S曲げの考え方、よくある失敗をまとめます。
曲げ半径と曲げる回数の決まり
公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)では、金属管の曲げについて、次のように定めています。
- 曲げ半径:曲げの内側の半径は、管の内径の6倍以上。管の太さが25mm以下で施工上やむを得ない場合などは、管がつぶれない範囲で小さくできる。
- 曲げる回数:分岐回路の配管の1区間の屈曲は4か所以下、曲げ角度の合計は270°以下。
なお、経済産業省の「電気設備の技術基準の解釈」の金属管工事(第159条)・合成樹脂管工事(第158条)の条文には、曲げ半径や屈曲の回数の規定はありません。曲げについての決まりは、工事の仕様書や、民間の規程で確かめます。
管のサイズと曲げ半径の早見表
| 管 | 外径 | 内径 | 6倍 |
|---|---|---|---|
| E19 | 19.1 | 16.7 | 100.2 |
| E25 | 25.4 | 23.0 | 138.0 |
| C19 | 19.1 | 15.9 | 95.4 |
| C25 | 25.4 | 22.2 | 133.2 |
| G16 | 21.0 | 16.4 | 98.4 |
| G22 | 26.5 | 21.9 | 131.4 |
単位はmmです。外径と厚さ(E管1.2mm、C管1.6mm、G管2.3mm)は電気用品安全法の技術基準の解釈(別表第二)の値で、内径は「外径−厚さ×2」、6倍はその内径から展開図ラボで計算した値です。E19とC19は外径が同じで、厚さだけが違います。
ちなみに、電線管の製品の試験では、外径の6倍の内側半径で90°曲げて、ひびや割れが出ないことが求められています(同じ技術基準の解釈)。これは製品の試験の条件で、施工の決まり(内径の6倍)とは基準が違うので、混同しないようにします。
ベンダーとヒッキーの違い
- ベンダー(ハイベンダー):管を溝に入れてハンドルを引き、一度で曲げる工具。パナソニックのハイベンダーE型は、E19・C19用とE25・C25用があり、厚鋼(G16・G22)用には別のPL型がある。
- ヒッキー(ハイヒッキー):管を少しずつ送りながら曲げる工具。パナソニックのハイヒッキーE型はE19〜E39用で、呼び19〜31なら曲げ戻しもできるとしている。
- 油圧ベンダー:太い管を曲げる工具。マクセルイズミのPB-10Nは薄鋼25〜75・厚鋼28〜104、PB-15Nは薄鋼25〜75・厚鋼16〜104に対応している。
パナソニックの資料では、ステンレス電線管は、ハイベンダー・ハイヒッキーでは曲げられない(管がつぶれたり工具が壊れたりする)としています。ジェフコムの手動ベンダーは、支柱とハンドルに市販の厚鋼電線管を差して使う形で、E管・C管の19と25に対応しています。
90度曲げの考え方
90度曲げで大事なのは、「どこから曲げ始めれば、曲げたあとの立ち上がりが狙いの寸法になるか」です。曲げの部分は円弧になるので、角(管の芯どうしの交点)までの寸法と、実際に管を曲げ始める位置はずれます。このずれは、曲げ半径が決まれば計算で出せます。
- 立ち上がり(床や壁から管の芯までなど)の寸法と、使うベンダーの曲げ半径を確かめる。
- 曲げ半径から、曲げ始めの位置を計算するか、ベンダーの基準位置の合わせ方を取扱説明書で確かめる。
- 管に曲げ始めの位置の印を付け、ベンダーの溝に管を入れて、印を基準位置に合わせる。
- ハンドルを引いて曲げ、水平器などで90°になっているか確かめる。
目盛や基準の印の見方はベンダーごとに違い、メーカーの共通のルールはありません。お使いのベンダーの取扱説明書と刻印を確かめてください。曲げ半径と立ち上がりの寸法から切断長さと曲げ位置を出すには、電線管の90度曲げツールが使えます。
S曲げ(オフセット曲げ)の考え方
S曲げは、同じ角度の曲げを逆向きに2回入れて、管の芯をずらす曲げ方です。ずらす量(オフセット)と曲げる角度から、2つの曲げの間の長さが決まります。角度が小さいほど、2つの曲げの間は長くなります。
公共建築工事標準仕様書の「1区間4か所以下・合計270°以下」の数え方では、S曲げ1つで2か所を使います。曲げの位置と間隔は、電線管のS曲げの計算方法とS曲げツールで計算できます。
よくある失敗
管がつぶれる
パナソニックの資料では、ねじなし電線管は薄いので、曲げや曲げ戻しでつぶれないよう注意するとしています。曲げ半径を小さくしすぎないこと、管のサイズに合ったベンダーを使うことが基本です。
キズやシワが出る
ジェフコムの資料では、電線管や作業のしかたによってキズやシワが出る場合があるとしています。溝やローラーに異物が挟まっていないかも確かめます。
1区間で曲げすぎる
S曲げを2つ入れると、それだけで4か所になります。配管のルートを決める段階で、曲げの数と合計角度を数えておき、足りなければプルボックスなどで区間を分けます。
ベンダーが滑ってけがをする
ジェフコムの取扱説明書では、ベンダーが滑ると転倒やけがにつながるので、支柱を足で支え、かかとを地面につけて使うこと、立てて使うときは支柱やハンドルの管が天井の照明などに触れないようにすること(感電のおそれ)を注意しています。
電線管ベンダーについてよくある質問
電線管の曲げ半径は何倍ですか
公共建築工事標準仕様書では、金属管の曲げの内側の半径を管の内径の6倍以上としています。E19なら内径約16.7mmで、約100mm以上です。
E19とC19は同じベンダーで曲げられますか
外径が同じ19.1mmなので、パナソニックやジェフコムのベンダーでは、E19・C19を1つの型で曲げられます。厚鋼のG管は外径が違うので、専用のベンダーを使います。
ステンレスの電線管も曲げられますか
パナソニックの資料では、ハイベンダー・ハイヒッキーではステンレス電線管は曲げられないとしています。
1区間で何回まで曲げられますか
公共建築工事標準仕様書では、分岐回路の配管の1区間の屈曲は4か所以下、合計270°以下としています。









