電線管のS曲げの計算方法曲げの間隔・縮みと角度ごとの係数表
電線管のS曲げ(オフセット曲げ)は、梁や他の配管をよけるために、同じ角度の曲げを逆向きに2回入れて管を段差の分だけずらす曲げ方です。この記事では、曲げの間隔と縮みの計算方法を、係数の早見表と計算例で説明します。
S曲げの形と、決める寸法
S曲げでは、1つ目の曲げで管を斜めに向け、2つ目の曲げで元の向きに戻します。2つの曲げの角度は同じで、向きだけが逆です。決める寸法は、よけたい高さ(段差H)と、曲げ角度θの2つです。
基本の計算:段差 ÷ sin θ
曲げをとがった角とみなすと、2つの曲げのあいだの斜めの部分は、段差Hを高さとする直角三角形の斜辺になります。そのため曲げの間隔は次の式で出せます。
| 求めるもの | 計算式 |
|---|---|
| 曲げの間隔 | 段差H ÷ sin θ |
| 縮み(管が短くなる分) | 段差H × tan(θ ÷ 2) |
縮みは、S曲げを入れたことで、管の端から端までの水平の長さが短くなる分です。先に切断長さを決めてから曲げる場合は、この分だけ管を長く切っておきます。
角度ごとの係数の早見表
段差にこの表の係数を掛けると、曲げの間隔と縮みが出ます。
| 曲げ角度 | 曲げの間隔の係数(1 ÷ sin θ) | 縮みの係数(tan(θ ÷ 2)) |
|---|---|---|
| 10° | 5.76 | 0.087 |
| 15° | 3.86 | 0.132 |
| 22.5° | 2.61 | 0.199 |
| 30° | 2.00 | 0.268 |
| 45° | 1.41 | 0.414 |
| 60° | 1.15 | 0.577 |
たとえば段差150mmを30°で曲げるなら、曲げの間隔は150 × 2.00 = 300mm、縮みは150 × 0.268 = 40.2mmです。30°は係数が2でちょうど暗算しやすいので、よく使われます。
早見表:段差と角度ごとの曲げの間隔と縮み(簡易計算)
| 段差 | 15° | 22.5° | 30° | 45° |
|---|---|---|---|---|
| 50 | 193.2 / 6.6 | 130.7 / 9.9 | 100.0 / 13.4 | 70.7 / 20.7 |
| 100 | 386.4 / 13.2 | 261.3 / 19.9 | 200.0 / 26.8 | 141.4 / 41.4 |
| 150 | 579.6 / 19.7 | 392.0 / 29.8 | 300.0 / 40.2 | 212.1 / 62.1 |
| 200 | 772.7 / 26.3 | 522.6 / 39.8 | 400.0 / 53.6 | 282.8 / 82.8 |
| 300 | 1,159.1 / 39.5 | 783.9 / 59.7 | 600.0 / 80.4 | 424.3 / 124.3 |
単位はmmで、「曲げの間隔 / 縮み」の順です。曲げをとがった角とみなした簡易計算の値なので、曲げ半径が大きい管や、角度が大きいときは、下の曲げ半径を考えた計算で確かめます。
曲げ半径を考えると、どう変わるか
実際の管は、ベンダーの曲げ半径に沿って丸く曲がります。そのため、上の簡易計算と実際の寸法には少し差が出ます。ベンダーの曲げ半径(管の中心線)をRとすると、2つの曲げのあいだのまっすぐな部分の長さSは次の式で出せます。
| 求めるもの | 計算式 |
|---|---|
| まっすぐな部分の長さ S | (H − 2R(1 − cos θ))÷ sin θ |
| 曲げの中心どうしの間隔 | S + R × θ(ラジアン) |
段差150mm、曲げ半径150mmで計算すると、次のようになります。
例の曲げ半径150mmは、計算の流れを説明するための値です。公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)では、金属管の曲げの内側の半径を管の内径の6倍以上とし、1か所の曲げは90度までとしています(管の太さが25mm以下で施工上やむを得ない場合は、半径を小さくできます)。内線規程にも同じ趣旨の決まりがあります。そのため、E25(内径約23mm)なら中心線の半径で約151mm以上が必要です。実際は使うベンダーの曲げ半径で計算してください。
| 曲げ角度 | 簡易計算の間隔(mm) | 曲げ半径を考えた中心の間隔(mm) | 縮み(mm) |
|---|---|---|---|
| 22.5° | 392.0 | 391.2 | 28.3 |
| 30° | 300.0 | 298.2 | 36.5 |
| 45° | 212.1 | 205.7 | 49.2 |
角度が小さいうちは差はわずかですが、45°では6mmほど変わります。
縮みは、曲げ半径を入れると簡易計算より小さくなります。この例では30°で40.2mmが36.5mmに、45°で62.1mmが49.2mmになります。切断長さを決めるときは、この差にも気をつけます。太い管で曲げ半径が大きいときや、段差をきっちり合わせたいときは、曲げ半径まで入れて計算すると安心です。
角度の選び方
角度が小さいほど曲げの間隔は長くなり、S曲げ全体が長くなります。そのかわり曲がりがゆるやかなので、あとで電線を通しやすくなります。よける場所が狭いときは角度を大きく、余裕があるときは小さい角度を選ぶのが基本です。曲げが多いほど電線は通しにくくなるので、1つの区間の曲げの合計にも気をつけます。
公共建築工事標準仕様書では、分岐回路の配管1区間の曲げは4か所以下、曲げ角度の合計は270度以下としています。S曲げ1つで2か所、30°なら合計60°を使います。
曲げの手順
- 管の端から1つ目の曲げの位置までを測って、印を付けます。
- 1つ目の印から、曲げの間隔だけ離して2つ目の印を付けます。
- 1つ目の印をベンダーの目印に合わせて、θだけ曲げます。
- 管を軸まわりに180度回し、2つ目の印をベンダーの目印に合わせて、同じ角度だけ曲げます。
- 平らな床に置いて、2つの曲げが同じ平面に入っているか(ねじれていないか)を確かめます。
管は曲げたあと少し戻るので、角度は確かめながら少しずつ曲げます。ベンダーの目印が曲げ始めを指すのか曲げの中心を指すのかは、機種によって違います。使うベンダーの説明書で確かめてください。
よくある失敗
2つ目の曲げで管を180度回し忘れる
2つ目の曲げは、1つ目と逆向きに曲げます。管を回さずに曲げると、同じ向きに2回曲がってS字になりません。
2つの曲げがねじれる
回す角度が180度からずれると、2つの曲げが同じ平面に入らず、管がねじれます。曲げたら平らな床に置いて確かめます。
縮みを考えずに切断する
S曲げを入れると、端から端までの長さが縮みの分だけ短くなります。先に切る場合は、縮みの分を足して切ります。
電線管のS曲げについてよくある質問
S曲げの間隔はどう出しますか
簡易計算では 段差 ÷ sin(曲げ角度)です。段差150mmを30°で曲げるなら300mmです。
何度で曲げるのがいいですか
よける場所が狭ければ角度を大きく、余裕があれば小さい角度にします。30°は係数が2で計算しやすいので、よく使われます。
曲げの数に決まりはありますか
公共建築工事標準仕様書では、分岐回路の配管1区間の曲げは4か所以下、合計270度以下としています。S曲げ1つで2か所を使います。









