板金の展開長の計算方法伸び値とK係数、曲げ線の位置の出し方
板金を曲げる前の板の長さ(展開長)は、図面の寸法をそのまま足した長さにはなりません。曲げると板が伸びるからです。この記事では、伸び値とK係数を使った展開長の計算方法と、曲げ線の位置の出し方を、板厚1.6mmのコの字の例で説明します。
展開長は「外寸の合計 − 伸び」
板を曲げると、曲げの外側は伸びて内側は縮みます。外寸で描いた図面の寸法を足しただけだと、曲げの分だけ板が長くなりすぎます。そのため、曲げ1か所ごとに決まった長さ(伸び値)を差し引いて展開長を出します。
| 求めるもの | 計算式 |
|---|---|
| 展開長(外寸で考える) | 外寸の合計 − 伸び値 × 曲げの数 |
| 曲げ部分の長さ | 曲げ角度(ラジアン)×(内側の曲げ半径 + K × 板厚) |
| 90度曲げの伸び値 | 2 ×(内側の曲げ半径 + 板厚)− 曲げ部分の長さ |
K係数とは
曲げた板の中には、伸びも縮みもしない面(中立面)があります。板の内側から中立面までの距離を板厚に対する割合で表したものがK係数です。曲げ半径が板厚と同じくらいの曲げでは0.33〜0.4くらい、曲げ半径が板厚の5倍以上の大きな曲げでは0.5(板厚の真ん中)に近くなります。
計算例:板厚1.6・内R1.6・外寸50×100×50
K係数を0.35とすると、次のようになります。
| 求めるもの | 計算 | 値 |
|---|---|---|
| 曲げ部分の長さ | 1.571 ×(1.6 + 0.35 × 1.6) | 3.39mm |
| 90度曲げの伸び値 | 2 ×(1.6 + 1.6)− 3.39 | 3.01mm |
| 展開長 | 200 − 3.01 × 2 | 194.0mm |
| 1つ目の曲げ線(左端から) | 50 − 3.2 + 3.39 ÷ 2 | 48.5mm |
| 2つ目の曲げ線(左端から) | 48.5 + 3.39 ÷ 2 + 93.6 + 3.39 ÷ 2 | 145.5mm |
曲げ線は、曲げ部分の真ん中の位置です。曲げ始めの位置で合わせるか、曲げ線で合わせるかは、ベンダーの合わせ方に合わせてください。
90度以外の曲げの伸び値
90度以外の曲げでは、伸び値は 2 ×(内側の曲げ半径 + 板厚)× tan(曲げ角度 ÷ 2)− 曲げ部分の長さ で出します。曲げ角度は、平らな板から何度曲げるかの角度です。外寸は、外側の面を延ばして交わる点までの寸法で考えます。板厚1.6・内R1.6・K0.35で45度曲げなら、伸び値は約0.95mmです。
計算例2:L字・板厚2.3・内R2.3・外寸100×60
K係数を0.4とすると、次のようになります。
| 求めるもの | 計算 | 値 |
|---|---|---|
| 曲げ部分の長さ | 1.571 ×(2.3 + 0.4 × 2.3) | 5.06mm |
| 90度曲げの伸び値 | 2 ×(2.3 + 2.3)− 5.06 | 4.14mm |
| 展開長 | 160 − 4.14 | 155.9mm |
| 曲げ線(100の側の端から) | 100 − 4.6 + 5.06 ÷ 2 | 97.9mm |
板が厚くなるほど、曲げ1か所あたりの伸び値が大きくなります。板厚2.3では、外寸の合計から4mm以上引くことになります。
K係数による伸び値の違い
内側の曲げ半径を板厚と同じにした90度曲げの伸び値は、K係数によって次のように変わります。
| 板厚(内R) | K=0.33 | K=0.4 | K=0.5 |
|---|---|---|---|
| 1.0(1.0) | 1.9 | 1.8 | 1.6 |
| 1.6(1.6) | 3.1 | 2.9 | 2.6 |
| 2.3(2.3) | 4.4 | 4.1 | 3.8 |
| 3.2(3.2) | 6.1 | 5.8 | 5.3 |
同じ板厚でも、K係数の違いで、板厚1.6なら約0.4mm、板厚3.2なら約0.9mm変わります。曲げが多い部品ほど差が積み重なるので、K係数は目安と考えてください。
参考に、アマダの伸び補正値の表(SPCC・ボトミングの90度曲げ)では、板厚1.6の伸び値はV幅8で2.64mm、V幅10で2.80mm、V幅12で2.94mmです。同じ板厚でもV幅で変わるので、使う型の値を使ってください。
実測の伸び値を使うのがいちばん確か
実際の伸びは、材料、板厚、曲げ型(V幅)、曲げ方で変わります。精度が必要な部品は、同じ材料と同じ型で試し曲げをして、伸び値を実測するのが確実です。
- 決まった長さの短冊を切り、真ん中で90度に曲げます。
- 曲げたあとの外寸を両側とも測って足します。
- 足した外寸から、曲げる前の短冊の長さを引いた値が、その条件の伸び値です。
材料と板厚ごとに伸び値を表にしておくと、次から計算が早くなります。
よくある失敗
外寸と内寸を混ぜて足す
図面の寸法が外寸と内寸で混ざっていると、伸び値の引き方が変わります。展開長を出す前に、すべての寸法を外寸(または内寸)にそろえます。
曲げ線と曲げ始めの位置を取り違える
この記事の曲げ線は、曲げ部分の真ん中です。ベンダーの型に曲げ始めで合わせる場合は、曲げ部分の長さの半分だけ位置をずらします。
ほかの材料や型の伸び値を使い回す
伸び値は、材料・板厚・V幅・曲げ方で変わります。条件が変わったら、試し曲げをして実測し直します。
板金の展開長についてよくある質問
展開長の計算方法は
外寸の合計から、曲げ1か所ごとの伸び値を引きます。90度曲げの伸び値は 2 ×(内側の曲げ半径 + 板厚)− 曲げ部分の長さ です。
K係数はいくつにすればいいですか
曲げ半径が板厚と同じくらいなら0.33〜0.4くらい、曲げ半径が板厚の5倍以上なら0.5に近くなります。精度が必要なときは、試し曲げで伸び値を実測します。
伸び値を実測するには
決まった長さの短冊を90度に曲げ、曲げたあとの外寸を両側とも測って足し、そこから元の短冊の長さを引きます。









