ダミーサポートの展開図エルボに付ける切り口の計算と型紙の寸法表
ダミーサポートは、エルボの背に管を溶接して、その先を床や架台で受けて配管を支える方法です。ダミー管の先はエルボの丸みに合わせて切るので、切り口の形が分からないと、現場で何度も当てては削ることになります。この記事では、ダミーをエルボにつながる管の芯の延長上に付ける場合の切り口の計算式と、呼び径の組み合わせごとの型紙の寸法、ダミーの長さの出し方をまとめます。
ダミーサポートとは
ダミーサポートは、エルボの背(曲がりの外側)に短い管を溶接し、その管の下端をベースプレートや架台で受けて、配管の重さを支える方法です。ダミーに使う管は、支える配管と同じ径か、それより細い径にすることが多く、径と位置は配管図や支持の詳細図で決まります。
溶接で付けて外せない支持なので、ダミーの材質を配管側にそろえる、雨水がたまらないように水抜きの穴をあける、温度変化や振動の大きい配管では使い方に気をつける、といった注意があります。ここでは、図面でダミーの径と位置が決まったあとの「切り口の形」と「長さ」の出し方を説明します。
この記事の計算は、ダミーの芯を、エルボにつながる立て管(または横管)の芯の延長上に合わせる場合です。90°のエルボで計算しています。
ダミーサポートの切り口の形
エルボの表面は曲がっているので、ダミーの切り口は、直管に枝管を付けるT管のえぐりのような左右対称の山2つの形にはなりません。横管と反対側(背の側)が高く、横管の側(腹の側)が低い、山1つの形になります。100Aのロングエルボに80Aのダミーを付けると、切り口はエルボの端面(立て管との溶接線)から、背の側で71.6mm、腹の側で179.7mm下にあります。
切り口の高い所と低い所の差(型紙の山の高さ)は108.1mmです。同じ100A × 80AのT管のえぐりの深さは21.4mmなので、T管の型紙とはまったく形が違います。
ダミーサポートの切り口の計算式
記号を次のように決めます。エルボの曲げ半径をR、エルボの管の外径の半分をa、ダミーの外径の半分をrとし、ダミーの円周上の位置を、背の側を0°とした角度φで表します。
| 求めるもの | 計算式 |
|---|---|
| 曲げの中心からの横の距離 | x = R + r × cos φ |
| 正面から見た横のずれ | y = r × sin φ |
| エルボの端面から切り口までの深さ | z = √{(R + √(a² − y²))² − x²} |
| 型紙の高さ | h = z(腹の側)− z |
エルボの背の面は、曲げの中心から R + √(a² − y²)の距離にあります。ダミーの各点がこの面に当たる深さが z です。型紙は、いちばん深い腹の側(φ=180°)を基準線にして、そこからの高さ h で描きます。この式の値は、エルボの面の式にダミーの線を下から近づけて交わる位置を探す別の計算でも、同じになることを確かめています。
図面でダミーの芯をずらす指定があるときは、ずらす量をeとして x = R + e + r × cos φ で計算します。ただし、背の側へずらして e + r が a より大きくなると、ダミーの一部がエルボの外に出て当たらなくなります。
計算例:100Aのロングエルボに80Aのダミー
100A(外径114.3mm)のロングエルボは曲げ半径R=152.4mmです。80A(外径89.1mm)のダミーを、立て管の芯の延長上に付けます。ダミーの円周 89.1 × π = 279.9mm を16等分すると、1目盛りは17.5mmです。
| 点 | 角度φ | 端面からの深さz | 型紙の高さh |
|---|---|---|---|
| 0(背) | 0° | 71.6 | 108.1 |
| 1 | 22.5° | 73.2 | 106.4 |
| 2 | 45° | 78.8 | 100.8 |
| 3 | 67.5° | 90.4 | 89.3 |
| 4 | 90° | 110.4 | 69.2 |
| 5 | 112.5° | 136.2 | 43.4 |
| 6 | 135° | 159.4 | 20.2 |
| 7 | 157.5° | 174.5 | 5.2 |
| 8(腹) | 180° | 179.7 | 0.0 |
単位はmmです。点9〜16は、点7〜0と同じ値です(点9=点7、点10=点6 …)。
早見表:ダミーサポートの型紙の高さ(ロングエルボ・16等分)
JIS B 2311のロングエルボ(90°)の曲げ半径と、配管用炭素鋼鋼管(SGP)の外径で計算した値です。点0が背の側、点8が腹の側です。
| 点 | 80A × 50A | 80A × 65A | 100A × 65A | 100A × 80A |
|---|---|---|---|---|
| 0(背) | 68.9 | 94.8 | 88.5 | 108.1 |
| 1 | 67.6 | 93.6 | 86.7 | 106.4 |
| 2 | 63.3 | 89.7 | 81.1 | 100.8 |
| 3 | 55.1 | 80.9 | 70.4 | 89.3 |
| 4 | 42.3 | 63.3 | 54.1 | 69.2 |
| 5 | 26.9 | 38.9 | 34.3 | 43.4 |
| 6 | 12.8 | 17.7 | 16.3 | 20.2 |
| 7 | 3.3 | 4.5 | 4.2 | 5.2 |
| 8(腹) | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
| 端面から背の切り口 | 65.9 | 44.6 | 87.2 | 71.6 |
| 端面から腹の切り口 | 134.8 | 139.4 | 175.7 | 179.7 |
| ダミーの外周 | 190.1 | 239.7 | 239.7 | 279.9 |
| 点 | 125A × 100A | 150A × 100A | 150A × 125A | 200A × 150A |
|---|---|---|---|---|
| 0(背) | 143.2 | 136.5 | 179.7 | 205.1 |
| 1 | 141.2 | 133.9 | 177.5 | 201.8 |
| 2 | 134.5 | 125.5 | 169.7 | 190.7 |
| 3 | 120.0 | 109.4 | 152.6 | 168.3 |
| 4 | 93.5 | 84.1 | 119.2 | 130.3 |
| 5 | 58.1 | 53.3 | 73.5 | 81.9 |
| 6 | 26.8 | 25.3 | 33.6 | 38.3 |
| 7 | 6.8 | 6.5 | 8.5 | 9.8 |
| 8(腹) | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
| 端面から背の切り口 | 80.5 | 123.3 | 88.0 | 143.0 |
| 端面から腹の切り口 | 223.7 | 259.7 | 267.7 | 348.1 |
| ダミーの外周 | 359.1 | 359.1 | 439.2 | 519.0 |
単位はmmです。「エルボ × ダミー」の順に書いています。点9〜16は点7〜0と同じ値です。曲げ半径はロングエルボの中心から端面までの寸法(80A 114.3、100A 152.4、125A 190.5、150A 228.6、200A 304.8)で、規格の寸法は溶接エルボの寸法表にまとめています。
ショートエルボは曲げ半径が小さいので、値が変わります。たとえば100Aのショートエルボ(曲げ半径101.6mm)に80Aのダミーを付けると、型紙の山の高さは86.2mmで、ロングエルボの108.1mmより低くなります。
ダミーの長さの出し方
横管の芯からダミーを受ける面(ベースプレートの上面など)までの高さをHとすると、ダミーの各点の長さは次の式で出ます。
| 求めるもの | 計算式 |
|---|---|
| ダミーの長さ | H + R − z |
100A × 80Aで、横管の芯からベースプレートの上面までが300mmなら、背の側は 300 + 152.4 − 71.6 = 380.8mm、腹の側は 300 + 152.4 − 179.7 = 272.7mmです。管を切るときは、いちばん長い背の側の380.8mmに切りしろを足した長さで切り、型紙で切り口をけがきます。溶接のすき間や開先をとる場合は、その分を調整してください。
型紙の作り方とけがき
- ダミーの外周(外径 × π)を横にとり、16等分します。100A × 80Aなら279.9mmで、1目盛り17.5mmです。
- 各点に、表の型紙の高さhをとります。点0と点16がいちばん高く、点8が0です。
- 点をなめらかな線で結び、型紙を切り抜きます。
- 型紙の下の直線を残す側に置き、曲線の山が管端の側を向くように巻きます。点0を背の側(横管と反対側)、点8を腹の側(横管の側)に合わせて、けがきます。
- 切ったら、エルボに当てて背と腹のすき間を見ながら、仮付けの前に合わせ直します。
直管に枝管を付けるときの型紙は、T管(えぐり)の展開図ツールで原寸で印刷できます。
よくある失敗と注意点
T管のえぐりの型紙を流用してしまう
直管用のえぐりの型紙は左右対称で、100A × 80Aなら深さ21.4mmです。エルボの背では背の側と腹の側の差が108.1mmあるので、T管の型紙で切ると腹の側が大きくすいてしまいます。
背と腹を逆に巻く
型紙の山のいちばん高い所(点0)は、横管と反対側の背の側です。逆に巻くと、高い所と低い所が入れ替わって合いません。巻く前に、エルボのどちら側に横管が出ているかを確かめてください。
ロングとショートを取り違える
同じ呼び径でも、ロングエルボとショートエルボでは曲げ半径が違い、切り口の形も変わります。エルボの中心から端面までの寸法を実物で測ってから計算してください。
水抜きを忘れる
ダミーの中は雨水がたまりやすく、内側から腐食が進むことがあります。屋外では、水抜きの穴の位置も図面で確かめてから溶接します。
ダミーサポートの展開図についてよくある質問
ダミーサポートの切り口はT管と同じ型紙で切れますか
切れません。T管は直管の丸みに合わせた左右対称の形ですが、ダミーはエルボの曲がった面に当たるので、背の側が高い山1つの形になります。この記事の式か早見表の値で型紙を作ってください。
ダミーの径はどう決めますか
配管図や支持の詳細図で決まります。支える配管と同じ径か、それより細い径にすることが多いです。なお、同じ径の管を立て管の芯の延長上に付けると、計算上は背の側の半分が立て管の延長と重なり、切り口がエルボの端面の位置で平らになります。
45°のエルボにも早見表は使えますか
使えません。早見表は90°のエルボで計算しています。45°のエルボでは、ダミーの切り口がエルボの範囲から外れて、つながる直管にかかることがあるので、図面の納まりを確かめてから計算してください。
型紙の分割は16等分で足りますか
80A程度までなら16等分で十分です。100A以上のダミーは1目盛りが22mmを超えるので、32等分にして点を増やすと、線がなめらかになります。
関連する形
直管に枝管を付けるえぐりの計算はT管(えぐり)の展開図の書き方、管の組み合わせごとのえぐりの深さはパイプのえぐりの型紙の作り方で説明しています。エルボの寸法は溶接エルボの寸法表、配管を支える間隔は配管の支持間隔にまとめています。









