垂木のサイズと間隔45×60・45×75の決め方とスパン表、たわみの考え方、くら金物の留め付け
垂木の断面(45×60、45×75など)と間隔は、法律や仕様書で一律に決まっているわけではなく、屋根の重さ、母屋の間隔、積雪、軒の出で決めます。この記事では、住宅金融支援機構の木造住宅工事仕様書(2025年版)、国土交通省の公共建築木造工事標準仕様書(令和7年版)、製材の日本農林規格(JAS)、県の試験研究機関が公開している垂木のスパン表をもとに、垂木のサイズと間隔の決め方、留め付け、たわみの考え方をまとめます。
垂木のサイズは「特記」で決める
住宅金融支援機構の木造住宅工事仕様書(2025年版)5.6.6では、垂木の断面寸法を、荷重の状態や軒の出などを考えて適切なものとし、特記によるとしています。国土交通省の公共建築木造工事標準仕様書(令和7年版)5.7.7も、樹種名と断面寸法は特記によるとしています。建築基準法・施行令にも、垂木の寸法の決まりはありません。
つまり、垂木の寸法は設計図(特記)で決めるもので、「垂木は必ず45×60」という決まりはありません。寸法を決める目安として、県の試験研究機関が公開しているスパン表があります。
垂木によく使う寸法(JASの標準寸法)
| 寸法 | 目視等級 | 機械等級 |
|---|---|---|
| 45×60 | あり | あり |
| 45×75 | あり | なし |
| 45×90 | あり | あり |
| 60×90 | あり | なし |
製材の日本農林規格(JAS 1083:2026)の参考の標準寸法の表から、垂木によく使う寸法を抜き出しました(mm)。目視等級区分構造用製材にはどれもありますが、機械等級区分構造用製材(E70などの表示がある材)の表には45×75と60×90がありません。45×60は下地用製材の表にもあります。
垂木のスパン表(群馬県)
群馬県林業試験場などの「群馬県産横架材スパン表(第2版)」には、垂木のスパン(母屋の間隔)ごとの断面があります。条件は、2階建て以下の木造軸組住宅、積雪深50cmの一般地域、屋根の勾配4寸、垂木の間隔910mm、たわみはスパンの1/200以下などです。
スギ無等級材
| スパン | 金属葺 | 瓦葺 |
|---|---|---|
| 910 | 45×60 | 45×60 |
| 1365 | 45×75 | 45×90 |
スギE70
| スパン | 金属葺 | 瓦葺 |
|---|---|---|
| 910 | 45×45 | 45×60 |
| 1365 | 45×75 | 45×75 |
単位はmmです。ヒノキ無等級材も、スパン910は45×60、1365は金属葺45×75・瓦葺45×90で、スギ無等級材と同じです。軒の跳ね出し部は、跳ね出し長さの2倍をスパンとして表を見ます(同スパン表の注意)。積雪深が50cmを超え80cm以下の地域は表の梁せいに30mm足し、それを超える地域や多雪区域は対象外です。
多雪区域には、富山県の「富山県産スギ材のスパン表」があります。積雪深1.5mの条件で、スギ無等級材・垂木の間隔455mmの場合、スパン910は45×60、1365は45×90です。県のスパン表は、その県の材と条件で作られたものなので、ほかの地域ではそのまま使わず設計者に確かめます。
せいを上げるとたわみはどれだけ減るか
垂木のたわみは、断面二次モーメント(幅 × せいの3乗 ÷ 12)に反比例します。幅が同じなら、たわみはせいの3乗に反比例します(展開図ラボの計算)。
- 45×60 → 45×75:たわみは約1/2(75³ ÷ 60³ = 1.95)
- 45×60 → 45×90:たわみは約1/3(90³ ÷ 60³ = 3.375)
- 垂木の間隔を910mmから455mmにすると、1本が受ける荷重が半分になり、たわみも半分
群馬県のスパン表と同じ条件でたわみを計算すると、スギの垂木の表24か所のうち23か所で表と同じ寸法になり、この表はおおむねたわみで決まっていると読めます(展開図ラボの計算)。ただし、スパン表は曲げやせん断も確かめていて、たわみだけで寸法を決めてよいわけではありません。
垂木の間隔
垂木の間隔を決めている仕様書の規定は、かわら棒ぶき屋根だけです。木造住宅工事仕様書では、かわら棒ぶき屋根の垂木の間隔を、かわら棒の留め付け幅と同じにするとしています。旧版(平成22年版)では、かわら棒の間隔を350mmか450mm(銅板以外)を標準とし、強風地域では間隔を狭くするとしています。
そのほかの屋根の垂木の間隔は、設計図の特記で決めます。間隔が決まったら、下地のピッチ割付ツールで、桁行の長さに垂木を割り付けられます。上のリンクは、3,640mmに455mmピッチで割り付けた例です。
垂木の留め付け
木造住宅工事仕様書(2025年版)では、垂木の継手は乱に配置し、棟木・母屋・軒桁への留め付けは次のどちらかとしています。
- くら金物SSを当て、太めくぎZN40で打つ(または同等以上の接合)
- 建設地の基準風速と強風の実況を考えた接合方法とし、特記による
旧版(平成22年版)では、垂木はN75くぎの両面斜め打ちで留め、軒先はひねり金物・折曲げ金物・くら金物で留めるとしていました。今の版では、軒先に限らず棟木・母屋・軒桁の留め付けが、くら金物SSなどに変わっています。
同じ仕様書では、母屋の断面は90mm×90mm以上(多雪区域は105mm×105mmが標準)です。野地板は、ひき板なら厚さ9mm以上で、継手は垂木心で突付け、垂木当たりN38くぎ2本打ち、構造用合板なら厚さ9mm以上でN38くぎを150mm内外の間隔で打ちます。
垂木の長さと墨付け
垂木の断面と勾配が決まったら、垂木の長さと墨付けツールで、垂木の長さと、桁に掛かる部分の型板が出せます。上のリンクは、45×75の垂木を勾配4寸、棟芯から桁芯まで1,820mm、軒の出600mmで計算した例です。長さの計算のしかたは垂木の長さの計算方法と勾配ごとの係数で説明しています。
よくある間違い
どの屋根も45×60でよいと考える
同じスパンでも、瓦葺は金属葺より太い垂木が要ります。群馬県の表では、スパン1365のスギ無等級材は、金属葺で45×75、瓦葺で45×90です。
軒の跳ね出しを母屋の間隔と同じに見る
群馬県のスパン表では、軒の跳ね出し部は、跳ね出し長さの2倍をスパンとして見ます。
旧版の留め付けで施工する
木造住宅工事仕様書の今の版では、くら金物SSと太めくぎZN40などの留め付けになっています。
垂木のサイズについてよくある質問
垂木の標準的なサイズは
決まった標準はなく、特記で決めます。群馬県のスパン表では、スギ無等級材・スパン910・垂木の間隔910で、金属葺・瓦葺とも45×60です。
垂木の間隔は何ミリですか
仕様書で決まっているのは、かわら棒ぶき屋根でかわら棒の留め付け幅と同じにすることだけです。そのほかは特記で決めます。
垂木の留め付けの金物は
木造住宅工事仕様書(2025年版)では、くら金物SSを当て、太めくぎZN40で打つなどとしています。
45×75の垂木は機械等級でありますか
JASの標準寸法では、45×75は目視等級区分構造用製材の表にはありますが、機械等級区分構造用製材の表にはありません。









