塩ビ管の継手の種類TS・DV・HTの違いと接着のやり方
塩ビ管の継手は、給水用の「TS継手」、排水用の「DV継手」、給湯用の「HT継手」などに分かれていて、同じ呼び径でも受口の形が違います。形の違う継手を混ぜると、漏れや詰まりの原因になります。この記事では、JISと塩化ビニル管・継手協会、メーカーの技術資料をもとに、継手の種類と記号、形ごとの名前と使い道、接着接合の標線・接着剤・押さえる時間、TSとDVを混ぜてはいけない理由をまとめます。
塩ビ管の継手の種類
| 種類 | 主な用途 | 規格 | JISの色 |
|---|---|---|---|
| TS継手 | 給水(水道用の管を接着でつなぐ) | JIS K 6743 | 灰色 |
| HITS継手(HI継手) | 給水(耐衝撃性の管用) | JIS K 6743 | 暗い灰青色 |
| DV継手 | 建物の排水・通気(VP管用) | JIS K 6739 | 灰色 |
| VU継手(VUDV継手) | 屋外の排水(VU管用) | 塩化ビニル管・継手協会 AS 38 | ― |
| HT継手 | 給湯(90℃以下の水) | JIS K 6777 | 茶色 |
色はJISで決められた色です。実際の製品の色はメーカーによって違うことがあります(たとえば積水化学のHI-TS継手は「ゴールド」)。種類は、継手に表示された記号で確かめるのが確実です。
記号の意味
- TS:Taper Sized(受口がテーパーになっていて、接着でつなぐ)
- DV:Drain・Vent(排水・通気)
- HI:耐衝撃性
- HT:耐熱
協会の資料では、TS・HITS継手の呼び径は13〜150、DV継手は30〜150、VU継手は50〜150です。
形ごとの名前と使い道
給水用(TS継手)
| 名前 | 使い道 |
|---|---|
| ソケット | 同じ太さの管をまっすぐつなぐ |
| 径違いソケット | 太さの違う管をまっすぐつなぐ |
| エルボ・45°エルボ | 90°・45°に曲げる |
| チーズ | T字に分岐する |
| 給水栓用エルボ・ソケット・チーズ | 蛇口(給水栓)をねじ込む(平行めねじ付き) |
| バルブ用ソケット | バルブや金属の継手とねじでつなぐ |
| ユニオンソケット | あとで取り外せるようにつなぐ |
| キャップ | 管の端をふさぐ |
| ベンド | ゆるやかに曲げる(管を加工して作るB形) |
給水栓用の継手に蛇口をねじ込むときの標準の締め付けトルクは、協会の資料で、呼び径13が30N·m、20が40N·m、25が50N·mです。
排水用(DV継手)
| 名前(記号) | 使い道 |
|---|---|
| 90°エルボ(DL) | 90°に曲げる |
| 90°大曲がりエルボ(LL) | 大きなカーブで90°に曲げる |
| 45°エルボ(45L) | 45°に曲げる |
| 90°Y(DT) | 直角に合流させる |
| 90°大曲がりY(LT) | 大きなカーブで合流させる |
| 90°大曲がり両Y(WLT) | 両側から合流させる |
| 45°Y(Y) | 斜めに合流させる |
| ソケット(DS) | まっすぐつなぐ |
| インクリーザ(IN) | 太さを変える |
DV継手の曲がりは、流れる向きに少し勾配がつくように、91°10′(91.17°)で作られています。90°Yには、流れの向きを示す矢印が付いています。
排水の曲がりに大曲がりを使う理由
協会の技術資料では、排水管の曲がりは、流せる量や固形物の流れ、掃除具の通しやすさに配慮して、カーブを大きくする必要があるとしています。そのため、方向を変えるところには大曲がりエルボ(LL)や大曲がりY(LT)が多く使われます。建物の構造などの条件によっては、DLやDTも使われます。給水のチーズに当たる排水の継手が「90°Y」です。
接着接合(TS接合)のやり方
TS継手の受口は奥に行くほど細くなるテーパーになっていて、接着剤で表面を少し溶かした管を差し込んで一体にします。塩化ビニル管・継手協会の給水用の技術資料をもとにした手順です。
- 管を直角に切り、切り口のばりを取って面取りをする。
- 管に差し込む長さの標線を入れる。
- 受口と差し口の汚れを拭き取る。
- 接着剤を受口と差し口に、薄く均一に塗る。
- すぐに、まっすぐ標線まで差し込み、そのまま押さえておく。
- はみ出した接着剤を拭き取る。
標線の位置
呼び径13〜40は、受口の長さ(13=26mm、16=30mm、20=35mm、25=40mm、30=44mm、40=55mm)の位置に入れます。呼び径50以上は、接着剤を塗らずに差し込んで止まる位置(ゼロポイント)に、決められた長さを足した位置に入れます。
押さえておく時間
| 出典 | 押さえておく時間 |
|---|---|
| 協会(給水 TS) | 呼び径50以下は30秒以上、65以上は60秒以上 |
| 積水化学 | 呼び径50以下は夏・冬とも30秒以上、65〜300は夏1分以上・冬2分以上 |
| 協会(排水 DV) | 夏30秒以上、冬60秒以上 |
出典によって少し違うので、使う継手と接着剤のメーカーの説明書に従ってください。押さえが足りずに抜けてきた管は、差し直しても接着不良になるので、切って新しい継手でやり直します。
接着剤のよくある間違い
- たっぷり塗るほどよい、というのは誤りです。厚塗りは、溶剤による亀裂(ソルベントクラック)や、水道水の異臭の原因になります。
- 管をたたき込んだり、斜めに差し込んだりしません。面取りを忘れると、接着剤がかき出されて接着不良になります。
- 継手に合った接着剤を使い、種類の違う接着剤を混ぜません。ゼリー状になった接着剤は、溶剤を足しても元に戻りません。
- 水圧をかける試験は、接合してから24時間以降に行います(クボタケミックスの資料)。
TS継手とDV継手を混ぜてはいけない理由
| 呼び径 | TS継手の受口の長さ(mm) | DV継手の受口の長さ(mm) |
|---|---|---|
| 40 | 55 | 22 |
| 50 | 63 | 25 |
| 75 | 64 | 40 |
| 100 | 84 | 50 |
| 150 | 132 | 80 |
クボタケミックスの公表値です。DV継手は圧力がかからない排水用なので、TS継手より受口が浅く、テーパーもゆるくなっています。TS継手は圧力に耐えるように作られていて、テーパーの分だけ継手の内側に段差ができます。DV継手は、流れをさまたげないように段差のない形です。
また、DV継手はVP管、VU継手はVU管の厚さに合わせてあります。積水化学の資料では、VU用の継手にVP管、DV継手にVU管をつなぐと、段差やすき間ができて、詰まりや外れの事故につながるとしています。
給湯用(HT継手)の注意
HT継手と管は、90℃以下のお湯の配管に使います。温度が高いほど使える圧力が下がり、クボタケミックスの資料では、5〜40℃で1.0MPa、71〜90℃では0.2MPaです。高温の排水には、排水用のHTDV継手を使います。業務用の厨房の排水には、HT管は使えないとされています。
塩ビ管の継手についてよくある質問
TSとDVはどう見分けますか
継手に表示された記号で見分けます。受口の深さも違い、同じ呼び径ならTS継手のほうが深くなっています。
排水にチーズを使ってもいいですか
排水には、排水用のDV継手を使います。給水のチーズに当たる排水の継手は「90°Y」です。方向を変えるところには、大曲がりのLLやLTが多く使われます。
VU管にDV継手は使えますか
使いません。DV継手はVP管の厚さに合わせてあるので、VU管にはVU継手(VUDV継手)を使います。
接着剤はどれくらい塗ればいいですか
薄く均一に塗ります。協会の資料では、たとえば呼び径50で約3.5g(給水TS、低粘度速乾性の場合)が標準の使用量です。









