配管図面の書き方と見方系統図・平面図・施工図の違い、芯で入れる寸法と高さ・勾配の表し方、縮尺
配管図面は、設計図・施工図・完成図と、工事の段階ごとに種類が分かれています。この記事では、国土交通省の公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)・建築設備工事設計図書作成基準と、JIS B 0011(製図-配管の簡略図示方法)をもとに、配管図面の種類と読む順番、寸法・高さ・勾配の書き方、縮尺と線の太さをまとめます。
配管図面の種類
配管図面は、大きく分けて次の3つの段階で作られます。
- 設計図:機器表・器具表、系統図、平面図、詳細図など。設計者が工事の内容を決める図面
- 施工図等:施工図、製作図など。施工する側が、着工前に納まりを決める図面
- 完成図:平面図、系統図、機器一覧表など。完成した状態を残す図面
設計図:系統図・平面図・詳細図・機器表
国土交通省の建築設備工事設計図書作成基準では、機械設備の設計図を「機器表・器具表」「系統図」「平面図」「詳細図」で構成するとしています。給排水衛生設備なら「機器表・器具表」「配管系統図」「配管平面図」で、必要に応じて詳細図と断面図を作ります。
- 配管系統図:管がどの階のどこへつながるかを示す図。縮尺はありません(同基準の表で「-」)
- 配管平面図:各階の平面に配管の位置を描いた図。縮尺は1/100(1/200も可)
- 詳細図:機械室・便所などを大きく描いた図。縮尺は1/50(1/20・1/30も可)
- 機器表・器具表:ポンプ・衛生器具などの仕様を表にしたもの
施工図・製作図
公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)では、施工図・製作図などを「施工図等」と呼び、「工事の施工のための詳細図等」と定義しています(1.1.2)。施工図等は、工事の施工に先立って作成し、監督職員の承諾を受けます。作るときは、関連工事との納まりを工事関係者と調整して十分検討し、内容を変えるときも報告して承諾を受けます(1.2.3)。
現場では、建築・電気・設備の位置を1枚に重ねた図や、スリーブ・インサートの位置を出す図、配管の製作用のアイソメ図など、目的ごとに施工図を描きます。ただし、こうした施工図の名前・種類・縮尺は仕様書で決まっているものではなく、会社や現場、元請の決まりで違います。描く前に、何を何分の1で描くかを確認してください。
完成図
同じ仕様書の1.7.2では、完成図の種類を特記がなければ「屋外配管図」「各階平面図及び図示記号」「主要機械室平面図及び断面図」「便所詳細図」「各種系統図」「主要機器一覧表」などとしています。寸法・縮尺・図示記号は設計図書に準じます。
配管図面の見方
最初に凡例と図示記号を見る
公共工事の設計図では、図示記号は「公共建築設備工事標準図」の記号を使い、標準図にない記号は凡例に書くことになっています(建築設備工事設計図書作成基準2.1)。民間工事の図面でも、凡例があれば線の種類や記号が何を表すかをまず凡例で確かめます。よく使う記号は配管図の記号一覧でまとめています。
平面図と系統図をセットで読む
平面図は、各階の中で配管がどこを通るかを示します。系統図は縮尺のない図で、管が何階のどの器具・機器へつながるか、立て管で上下の階がどうつながるかを示します。平面図で位置と長さを、系統図でつながりと管径を読み、上下の階をまたぐ部分は両方を見比べます。系統図は縮尺がないので、長さを系統図から拾わないようにします。
管径と管種の表記
標準図では、管の太さや種類を示すときは「図の下又は右から読めるように」書くか、引出線を使って書きます。太さと種類を両方書くときは、管の太さを表す文字の次に管の種類の記号を書きます。管種の記号は会社・図面ごとに違うことがあるので、凡例や特記仕様書で確かめます。
配管図面の書き方の基本(JIS B 0011)
JIS B 0011(製図-配管の簡略図示方法、1998年版)は、第1部「通則及び正投影図」、第2部「等角投影図」、第3部「換気系及び排水系の末端装置」の3部に分かれています。配管図面の書き方の基本は第1部にあります。
管は中心線の位置に1本の太い実線で描く
管は、太さに関係なく、管の中心線の位置に1本の太い実線で描きます(4.1)。曲がり部は、線を頂点までまっすぐ伸ばして簡単に描いてもかまいません。線の太さは一般に1種類ですが、2種類以上使うときは、主な流れの線・二次的な流れの線と文字・寸法線などの比を2:2:1にします(4.3.1)。
寸法は芯から芯で入れる
曲がりのある管は、一般に中心線から中心線(芯から芯)までの寸法を入れます(4.5.2)。長さは、管の末端の外面、フランジ面、継手の中心から取ります(4.5.1)。保温の外側など、管の表面からの寸法を示す必要があるときは、短い細い実線を添えてそこに矢印を当てます。芯々の寸法から切断長さを出す方法は配管の寸法の取り方(芯引き)で説明しています。
高さは管の中心で示す
配管の高さは、一般に管の中心で示します(4.5.4)。管の下面や上面までの高さを示す必要がある特別な場合は、短い細い実線に当てた基準矢印で示します。JISの図の例では、引出線の上に「+3500」のように基準からの高さを書いています。何を基準(±0)にするかはJISでは決めていないので、図面の中に書いておきます。排水管を管の下端(管底)で表すかどうかも、図面の凡例や現場の取り決めに従います。
勾配は三角形の記号で示す
勾配の向きは、直角三角形のとがった先が高い方から低い方を指すように、流れ線の上に書きます(4.5.5)。大きさは「1/500」「1:500」「0.2%」「3°」のように書きます。傾いた管は、高い方か低い方の端など都合のよい点の高さを書いておくと便利です。
公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)2.6.1では、屋内の横走り排水管の勾配を、原則として次の値以上としています。
| 呼び径 | 最小勾配 |
|---|---|
| 65以下 | 1/50 |
| 75・100 | 1/100 |
| 125 | 1/150 |
| 150以上 | 1/200 |
勾配の下がりの計算は水勾配・排水管の勾配の計算で説明しています。
交差と接続の描き方
つながっていない管の交差は、通常は線を切らずにそのまま交差させます(5.1)。ある管がもう1本の後ろを通ることを示す必要があるときだけ、後ろ側の線に切れ目を入れます。切れ目の幅は線の太さの5倍以上です。溶接などでつながっている部分は、目立つ大きさの点で示し、点の直径は線の太さの5倍です(5.2)。
流れの向きは矢印で示す
流れの向きは、流れ線の上かバルブの記号の近くに矢印で示します(6.6)。
配管図面の縮尺と線の太さ
縮尺
建築設備工事設計図書作成基準では、設計図の縮尺を図ごとに書くこととし、次の値を原則としています。
| 図面 | 縮尺 |
|---|---|
| 平面図 | 1/100(1/200も可) |
| 詳細図 | 1/50(1/20・1/30も可) |
| 系統図・機器表 | 縮尺なし |
JIS Z 8314(製図-尺度、1998年版)が推す縮尺は1:2・1:5・1:10・1:20・1:50・1:100・1:200などで、1:30や1:300は「中間の尺度」の扱いです。主となる尺度は図面の表題欄に書きます。施工図の縮尺は決まった値がないので、現場の決まりに合わせます。
線の太さ
公共工事の設計図では、線の太さを極細線0.1mm・細線0.2mm・太線0.3mm・極太線0.5mmの4種類とし、配管は太線、排水管は極太線、寸法線・引出線は細線と決めています(建築設備工事設計図書作成基準3.3)。民間工事の図面は、会社や元請の決まりに従います。
アイソメ図(等角投影図)で描く配管図面
JIS B 0011の第2部は、等角投影図(アイソメ図)の決まりです。配管を立体で分かりやすく示したいときに使い、入札用の図面や製作図、据付け図に広く使われています。座標軸に平行な管は軸に平行に描き、斜めに走る管は、ハッチングをした三角形などの補助投影面で傾きを示します。寸法は平面図と同じく芯から芯で入れます。
平面図では上下に動く部分が点になってしまいますが、アイソメ図なら1枚で経路と高さの変化が分かります。描き方の手順と、芯々の寸法から直管の切断長さを出す方法は次の記事で説明しています。
配管図面を描くCAD
配管図面は、設備専用のCADや汎用のCADで描きます。どのソフトを使うかは会社や元請で違います。メーカーの説明では、次のような製品があります。
- Rebro(レブロ):NYKシステムズの建築設備専用CAD(3次元)
- CADEWA:四電工の建築設備CAD(フル3次元)
- CADWe'll Tfas:ダイテックのBIM対応総合設備CAD
- Jw_cad:2次元の汎用CAD
現場で単線のアイソメ図を手早く描くだけなら、展開図ラボの配管アイソメツールでも、方向と長さを入れて図と直管の切断長さを出せます。
配管図面でよくある間違い
芯々の寸法をそのまま切断長さにする
図面の寸法は芯から芯です。管の切断長さは、継手の中心から端までの寸法とすき間を引いて出します。
系統図から長さを拾う
系統図は縮尺がない図なので、長さは平面図や詳細図から拾います。
交差を点で描いてしまう
点は、溶接などでつながっている部分の表し方です。つながっていない交差に点を打つと、接続と読まれてしまいます。
勾配の三角形の向きを逆にする
三角形のとがった先は、高い方から低い方を向きます。流れの矢印と合わせて確かめます。
高さの基準を書かない
「+2700」と書いても、何からの高さかが分からないと使えません。基準を図面に書いておきます。
配管図面についてよくある質問
配管図面の寸法は芯ですか、外面ですか
JIS B 0011では、曲がりのある管は芯から芯の寸法を入れるのが基本です。管の外面などから示すときは、その面に矢印を当てて分かるように書きます。
配管図面の縮尺はいくつですか
公共工事の設計図では、平面図1/100(1/200も可)、詳細図1/50(1/20・1/30も可)が原則です。施工図の縮尺は決まった値がないので、現場の決まりに合わせます。
排水管の高さはどこで書きますか
JIS B 0011では、配管の高さは一般に管の中心で示し、管の下面を示すときは基準矢印で示します。排水管を管底で表すかどうかは、図面の凡例や現場の取り決めによります。
施工図はだれが描いて、だれが承諾しますか
公共建築工事標準仕様書では、施工する側が施工図等を着工前に作り、監督職員の承諾を受けます。民間工事では、元請や設計者の承認の手順が現場ごとに決まっています。
系統図と平面図の違いは何ですか
平面図は各階の配管の位置を縮尺どおりに描いた図、系統図は縮尺なしで管のつながりと管径を示す図です。
施工図の作成や関係者との調整は、施工管理の仕事でもあります。配管の現場経験を生かして資格を取るなら、次の記事も参考にしてください。









