角ダクトのラッキング外装の寸法・板厚・はぜの決まり
角ダクトのラッキング(保温の上に金属板を張る外装)は、ダクトの寸法に保温の厚さを足した大きさで板を取り、角ははぜ掛けで納めます。この記事では、国土交通省の公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)令和7年版と、JIS A 9501(保温保冷工事施工標準)をもとに、施工の順番、保温の厚さと外装の板厚、外装の寸法と周長の出し方、はぜと継ぎ目の決まり、エルボの外装の寸法をまとめます。
角ダクトのラッキングの順番
公共建築工事標準仕様書の表2.3.4では、長方形ダクトの保温の材料と施工の順番を、場所ごとに次のように決めています。
- 屋内露出(一般居室・廊下)の種別J:鋲 → 保温板 → 金属板
- 屋外露出・多湿箇所の種別K:鋲 → 保温板 → ポリエチレンフィルム → 鉄線 → 金属板
- 機械室・倉庫・隠ぺい部などの種別I:鋲 → アルミガラスクロス化粧保温板 → 粘着テープ
標準の種別では、金属板で仕上げるのは、屋内の人目につく場所(J)と、屋外や多湿の場所(K)です。機械室や天井の中(I)は、アルミガラスクロスの保温板とテープで仕上げます。
鋲と保温板の取り付け
- 鋲は300mm角に1個以上、ダクトのすべての面に付ける(仕様書3.1.3(14)、JIS A 9501 8.3.2.5)
- 保温板は鋲のピンに差して座金をはめ、ピンの先を折り曲げて留める
- 保温板どうしはすき間なく突き合わせる。保温の厚さがフランジの面より低いところは、2層に重ねる
- 金属板で仕上げるときは、必要に応じて鋼枠(下地)を組む(仕様書3.1.4.3)
屋外露出や浴室・ちゅう房のように水にぬれるおそれのある場所では、保温材の上に防湿材を重ね幅30mm以上で張ってから金属板を取り付けます(JIS A 9501 8.3.2.5)。
保温の厚さと外装の板厚
| 場所 | 保温の厚さ |
|---|---|
| 一般居室・廊下、屋外、多湿箇所 | 50mm |
| 機械室・倉庫、隠ぺい部 | 25mm |
| 外装の金属板 | 板厚(mm) |
|---|---|
| 塗装亜鉛系めっき鋼板 | 0.35 |
| 溶融アルミニウム-亜鉛鉄板 | 0.35 |
| ステンレス鋼板 | 0.3以上 |
保温の厚さは、一般ダクトと排煙ダクトの値です(配管の保温の厚さ)。外装の板厚は仕様書の表2.3.1で、保温外径250mm以下の管・弁は0.27mm(ステンレスは0.2mm以上)、ダクトを含む「その他」は上の表の厚さです。
仕様書の標準の種別(表2.3.2)では、長方形ダクトの屋内露出はJ1(塗装亜鉛系めっき鋼板)、屋外露出・多湿箇所はK2(ステンレス鋼板)です。K1(塗装亜鉛系めっき鋼板)やK3(溶融アルミニウム-亜鉛鉄板、いわゆるガルバリウム)の種別もあり、どれを使うかは特記(設計図書)で決まります。
外装の寸法と周長の出し方
外装の内側の寸法は、ダクトの外寸に保温の厚さの2倍を足して出します。
- 外装の幅=ダクトの幅+保温の厚さ×2
- 外装の高さ=ダクトの高さ+保温の厚さ×2
- 周長=(外装の幅+外装の高さ)×2
たとえば600×400のダクトを屋外で保温50mmにすると、外装は700×500、周長は(700+500)×2=2,400mmです。板を取るときは、この周長に、はぜの折り代と重ねを足します。折り代は、使うはぜの形と機械で変わるので、工場の決まりに合わせてください。
早見表:角ダクトの外装の寸法
| ダクト | 保温 | 外装の内寸 | 周長 |
|---|---|---|---|
| 400×300 | 25 | 450×350 | 1,600 |
| 400×300 | 50 | 500×400 | 1,800 |
| 600×400 | 25 | 650×450 | 2,200 |
| 600×400 | 50 | 700×500 | 2,400 |
| 800×400 | 25 | 850×450 | 2,600 |
| 800×400 | 50 | 900×500 | 2,800 |
| 1000×500 | 25 | 1050×550 | 3,200 |
| 1000×500 | 50 | 1100×600 | 3,400 |
| 1200×600 | 25 | 1250×650 | 3,800 |
| 1200×600 | 50 | 1300×700 | 4,000 |
単位はmmです。ダクトの外寸に保温の厚さを足した値で、はぜの折り代は入っていません。フランジの部分は、保温が2層になってふくらむことがあるので、外装を作る前に現物を測ります。
はぜと継ぎ目の決まり
| 場所 | 決まり |
|---|---|
| 角(コーナー) | はぜ掛け又はボタンパンチはぜ |
| 継ぎ目(屋内) | 差し込みはぜ又は立はぜ |
| 継ぎ目(屋外) | はぜ掛け |
| 留め方 | 要所をタッピンねじ止め |
表はJIS A 9501の8.3.2.5の決まりで、屋外の欄は浴室・ちゅう房など水にぬれるおそれのある場所も同じです。公共建築工事標準仕様書(3.1.3(13))では、長方形ダクトの金属板巻きをはぜ掛けとし、継目を差込みはぜとしています。はぜ掛けは2枚の板の端を折り曲げて引っ掛け合わせる継ぎ方、ボタンパンチはぜは、二重に折り返した板の端に、爪を出したもう一方の板の端を差し込んで引っ掛ける継ぎ方です(JIS A 9501の用語の定義)。
屋外では、継ぎ目のゆるみや重ねの外れから雨水が入り、保温材がぬれる原因になります。配管も含めた外装の重ね代やシールの決まりはラッキングの施工方法にまとめています。
エルボの外装の寸法
角ダクトの曲がり(エルボ)の外装は、保温の外側の形に合わせた、ひと回り大きいエルボになります(展開図ラボの考え)。
- 外装の幅・高さ=ダクトの幅・高さ+保温の厚さ×2
- 外装の内側の半径=ダクトの内側の半径−保温の厚さ
- 外装の外側の半径=ダクトの外側の半径+保温の厚さ
300×200・内側の半径150(幅の1/2)のエルボに保温50mmを巻くと、外装は400×300・内側の半径100、外側の半径500です。ダクトの外側の半径450に保温の50を足した値と同じになります。この寸法を角ダクトのエルボのツールに入れると、外装の側板・腹板・背板の型紙を原寸で印刷できます。ツールの表示は、側板の外形500×500mm、腹板の長さ157.1mm、背板の長さ785.4mmです。はぜの代は「代」の欄に足します。板の寸法の計算は角ダクトのエルボの展開図で説明しています。
ダクトの内側の半径が保温の厚さより小さいと、外装の内側の半径が0以下になります。このときは、外装の腹を角にして(内側の半径0で)作ります。
ラッキングでよくある失敗
保温の厚さを片側しか足さない
外装の幅は、ダクトの幅に保温の厚さを両側分(2倍)足した値です。600×400・保温50で片側だけ足すと650×450になり、正しい700×500より50mmずつ小さく、保温の上に納まりません。
フランジのふくらみを見込まない
保温の厚さがフランジの面より低いところは、保温を2層にします。直管の部分と同じ寸法で外装を作ると、フランジの位置で入らないことがあります。
屋外の継ぎ目を差し込みはぜにする
JIS A 9501では、屋外露出や水ぬれのおそれのある場所の継ぎ目は、はぜ掛けとしています。屋内と同じ納め方にしないように、場所を確かめてから加工します。
ラッキングについてよくある質問
角ダクトのラッキングの板厚は
公共建築工事標準仕様書では、ダクトに使う塗装亜鉛系めっき鋼板と溶融アルミニウム-亜鉛鉄板は0.35mm、ステンレス鋼板は0.3mm以上です。
保温50mmのとき外装の寸法は
ダクトの幅と高さに100mmずつ足します。600×400なら700×500、周長は2,400mmです。
鋲の間隔は
300mm角に1個以上で、ダクトのすべての面に付けます。









