瓦の割付の計算53A桟瓦の働き寸法から野地と桟木の位置を出す方法
瓦の割付は、桟瓦の働き幅と働き長さの倍数に、袖瓦や軒瓦の分を足して、野地の寸法と桟木の位置を決める作業です。J形53A桟瓦なら働き幅265mm・働き長さ235mmが標準ですが、焼き物なので実物を測ってから決めます。この記事では、全日本瓦工事業連盟の施工要領書とメーカーの割付表をもとに、桁行・流れの割付の式、最下段の桟木の位置、桟木のピッチ、割付が合わないときの調整、計算例をまとめます。
瓦の割付の基本:働き寸法で割る
瓦は上下左右に重ねて葺くので、1枚の大きさではなく、重なりを除いた「働き寸法」で割り付けます。全日本瓦工事業連盟・全国陶器瓦工業組合連合会の「瓦屋根標準施工要領書 J形53A」(JKY-2014)では、53A桟瓦の標準寸法を次のようにしています。
| 寸法 | 53A桟瓦 |
|---|---|
| 働き幅(利き幅) | 265±4 |
| 働き長さ(利き足) | 235±4 |
| 全長 | 305 |
単位はmmです(JIS A 5208の標準寸法)。要領書では、焼き縮みなどで多少の差が出るので瓦の実寸法を測ること、割付寸法は必ず使う瓦を実測してから決めることを繰り返し書いています。
53形・56形の数字の意味
「53」は1坪あたりの枚数のことです。1坪(約3.306㎡)を265×235mmで割ると約53.1枚、1㎡では約16.1枚になります(展開図ラボの計算)。昭和窯業の割付表でも、JIS53判は坪当たり53枚・㎡当たり16.0枚、56判は坪当たり56枚としています。同じ53判でも、メーカーの表では働き幅266・登り236のように1mm違うことがあります。
桁行方向の割付(横の寸法)
軒と平行な桁行方向は、桟瓦の働き幅の倍数に、左右の袖瓦の働き寸法を足して決めます。
- 桁行の瓦の寸法=働き幅×桟瓦の枚数+左袖の働き+右袖の働き
要領書の例では、左から袖の出35、袖瓦190、桟瓦265×4、袖瓦270、袖の出35で、合計1,590mmです。図の下側の寸法も20・15・230・265×4・230・15・20で、同じ1,590mmになっています。
袖瓦の寸法はメーカーで違うので、必ずその瓦のカタログで確かめます。袖の出の寸法は地域によって違い、補強用のビスか銅線を留め付けられる位置に袖瓦を取り付けるよう要領書に書かれています。
瓦の種類が違えば数字も変わる
働き寸法が違う瓦は、割付の数字も別です。乾産業の施工要領(働き幅306mm・働き足280mmの瓦)の例では、桁行方向の野地寸法を働き幅306mm(または半瓦の153mm)の倍数+20mm、半瓦の使い方によっては倍数+55mmで決めるとしています。使う瓦の資料の式を使います。
流れ方向の割付と桟木のピッチ
軒から棟へ向かう流れ方向は、桟木を打つ間隔(桟木のピッチ)を決める作業です。桟木のピッチは瓦の働き長さで決まります。
- 引掛け桟工法では、働き長さに2mm程度を加えたゆとりのある寸法にする(要領書の図は235+2=237)
- 軒瓦の出は地域によって違い、60〜75mmが一般的
- 最下段の桟木の位置 a=305−b−15(b=軒瓦の出、15=尻剣の厚み)
| 軒瓦の出 b | 最下段の桟木 a |
|---|---|
| 60 | 230 |
| 70 | 220 |
| 75 | 215 |
単位はmmです(要領書の式で計算)。尻剣のない軒瓦もあるので、使う瓦の資料で確かめます。昭和窯業の53判の割付表では、流れの長さを「236の倍数+221mm」で決め、軒先の瓦の出を75mmから増減するときは、その分を調整するとしています。
計算例:4寸勾配・水平3,640mmの屋根
軒先から棟までの水平距離が3,640mm、4寸勾配の屋根を、昭和窯業の53判の式で割り付けてみます。
- 流れの長さ=3,640×√(1+0.4²)=3,640×1.0770=約3,920mm
- (3,920−221)÷236=15.67なので、ちょうどの段数にならない
- 15段なら236×15+221=3,761mm、16段なら236×16+221=3,997mm
計算は展開図ラボによります。このままでは棟の近くで半端が出るので、野地の流れを3,997mmに伸ばす(軒の出を増やす)か、3,761mmに縮めるか、棟際の桟瓦を切って納めるかを、瓦を葺く前に決めます。水平距離と勾配から流れの長さを出すときは、勾配の換算ツールで伸び率と長さが出せます。
野地を決めるのは大工、葺くのは瓦屋
野地板や鼻隠し、破風の位置は大工の工事で決まり、そのあとで瓦屋が割り付けます。先に瓦の品番と割付の寸法を瓦屋と打ち合わせておくと、桁行の破風の位置や流れの軒の出で寸法を合わせられます。たる木や鼻隠しの長さの出し方は垂木の長さの計算方法で説明しています。
割付が合わないときの納め方
- 壁際・棟際で桟瓦を切るときは、桟木を重ねて取り付けるなどして瓦の勾配が取れるようにする
- 切断した桟瓦は必ず留め付ける
- 谷部は、谷樋の両側に桟木を取り付ける
- 袖瓦・軒瓦の出で調整するときは、地域の慣習と補強の留め付けができる範囲で決める
どれも要領書(JKY-2014)の記載です。桟木は垂木ごとに抜けないよう桟木留付け釘で留め、縦桟を入れるなどして雨水が滞留しないようにします。
桟木と釘の標準の仕様
| 部材 | 要領書の標準 |
|---|---|
| 桟木 | 幅21以上・高さ15以上 |
| 桟木の留め釘 | 長さ38以上 |
| 瓦用釘 | 径2.4以上・長さ55以上 |
単位はmmです。桟木は杉・檜・松などの良質な材かそれと同等の合成樹脂など、瓦用釘はステンレスのスクリュー回転止め加工釘です。多雪地域や急勾配では桟木の断面を割り増しします。
2022年から全部の瓦を留める
国土交通省の資料によると、昭和46年建設省告示第109号が改正され、令和4年1月1日から新築などの瓦屋根は、軒・けらば・むね・平部の全ての瓦を緊結することになりました。軒・けらばは3本のくぎ等、むねはねじで緊結するなど、部位と瓦の種類・基準風速に応じた方法が決められています。棟際で切った瓦も含めて留め付けが必要です。
瓦の割付についてよくある質問
53A桟瓦の働き寸法は
働き幅265mm、働き長さ235mm(いずれも±4mm)が標準です。焼き縮みで差があるので、割り付ける前に実物を測ります。
桟木の間隔は何mmですか
瓦の働き長さで決まります。53Aの引掛け桟工法では、働き長さ235mmに2mm程度を足した237mm程度が要領書の例です。
最下段の桟木の位置はどう出しますか
要領書では、a=305−b−15(bは軒瓦の出、15は尻剣の厚み)としています。軒瓦の出を70mmにすると220mmです。
瓦の割付が合わないときはどうしますか
野地の寸法(軒の出・破風の位置)で合わせるか、壁際・棟際の瓦を切って納めます。切った瓦は桟木を重ねて勾配を取り、必ず留め付けます。









