建築施工管理技士とは大工・内装など職人の種別の選び方と受検資格・試験内容・合格率(令和8年度)
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建築施工管理技士は、建築工事の現場で工程・品質・安全の管理を任される人のための国家資格です。大工・内装工・左官・板金などの職人が施工管理へ進むときに目指す資格で、2級は「建築」「躯体」「仕上げ」の3つの種別に分かれています。この記事では、建設業法と施行令・施行規則、試験を実施する建設業振興基金の受検の手引・公表問題・合格発表資料をもとに、職種ごとの種別の選び方、技能士を持つ人の受検資格、試験の内容と合格率をまとめます。日程や料金は2026年10月時点の情報です。
建築施工管理技士とは
建築施工管理技士は、建設業法第27条にもとづく「技術検定」の資格で、1級と2級があります。第一次検定に合格すると「建築施工管理技士補」、第二次検定に合格すると「建築施工管理技士」を名乗れます(建設業法施行令第40条)。試験は、国土交通大臣の指定試験機関である一般財団法人 建設業振興基金が行っています。
2級は、第二次検定だけが「建築」「躯体」「仕上げ」の3つの種別に分かれていて、受検者が1つを選びます(施行令第37条、施工技術検定規則第1条)。第一次検定は種別のない共通の試験です。
2級の種別と対象になる工事
種別ごとに、実務経験として数えられる工事と、合格したあとに主任技術者になれる工事が決まっています(建設業振興基金 受検の手引)。
- 建築:建築一式工事、解体工事
- 躯体:大工、とび・土工・コンクリート、タイル・れんが・ブロック、鋼構造物、鉄筋、解体
- 仕上げ:大工、左官、石、屋根、タイル・れんが・ブロック、板金、ガラス、塗装、防水、内装仕上、熱絶縁、建具
1級は種別がなく、この17業種すべてで監理技術者・主任技術者になれます。
職種ごとの種別の選び方
| 職種 | 受ける種別 |
|---|---|
| 大工 | 躯体か仕上げ |
| 内装工 | 仕上げ |
| 左官 | 仕上げ |
| 屋根・板金 | 仕上げ |
| タイル・ブロック | 躯体か仕上げ |
| 塗装・防水 | 仕上げ |
| 鉄筋・とび・型枠 | 躯体 |
上の工事の区分から、展開図ラボでまとめた表です。旧受検資格の手引では、大工工事・型枠工事は躯体の例、造作工事は仕上げの例として載っています。手引では、工事の種類と受ける種別が合っていないと実務経験にならないとしています。
「建築」で合格しても専門工事の主任技術者にはなれない
建設業振興基金の手引では、種別「建築」はすべての工事で主任技術者になれる種別ではないと注意しています。たとえば塗装工事の主任技術者になるには「仕上げ」、とび・土工・コンクリート工事では「躯体」での合格が必要です。大工・左官・内装・板金などの職人は、自分の工事が入っている種別を選びます。
資格でできること
| 資格 | なれる技術者 |
|---|---|
| 2級技士 | 主任技術者 |
| 1級技士補 | 監理技術者補佐 |
| 1級技士 | 監理技術者 |
- 主任技術者:工事を請け負った建設業者が現場に置く技術者です(建設業法第26条)。2級の第二次検定に合格すると、その種別の工事で主任技術者や一般建設業の営業所技術者の要件を満たします(同法施行規則第7条の3)。
- 監理技術者:元請として下請に出す金額の合計が5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)になる工事などで必要です(同法第26条、施行令第2条)。建築工事業は「指定建設業」なので、建築一式工事の監理技術者は、1級の施工管理技士などの国家資格者などに限られます(施行令第5条の2)。
- 監理技術者補佐:1級の第一次検定に合格した「1級技士補」で、その工事の主任技術者の要件も持つ人がなれます(国土交通省)。
受検資格(令和6年度からの新制度)
第一次検定
1級は19歳以上、2級は17歳以上です。年齢は受検する年度の末日時点で、学歴も実務経験もいりません(施工技術検定規則第4条)。
2級の第二次検定
- 2級の第一次検定に合格したあと、実務経験3年以上
- 1級の第一次検定に合格したあと、実務経験1年以上
- 一級建築士試験に合格したあと、実務経験1年以上
実務経験は、受ける種別の工事で数えます(施工技術検定規則第5条)。電気工事施工管理と違って、新受検資格では2級建築の第一次・第二次を同時に受けることはできません。
1級の第二次検定
1級の第一次検定に合格したあと、実務経験5年以上、特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上、監理技術者補佐としての実務経験1年以上のいずれかなどが条件です。2級の第二次検定の合格者は、種別(建築・躯体・仕上げ)を問わず、合格後の実務経験で1級へ進めます。
技能士の特例は旧受検資格だけ
令和10年度までは、学歴や資格ごとに実務経験の年数を決めた旧受検資格でも受けられます。旧受検資格では、技能検定の合格者に2級の特例があります(令和8年度 受検の手引)。
- 仕上げを受けられる技能士:建築大工、左官、内装仕上げ施工、建築板金(内外装板金作業)、タイル張り、塗装(建築塗装作業)、防水施工、ガラス施工、表装(壁装作業)、畳製作、熱絶縁施工 など
- 躯体を受けられる技能士:とび、型枠施工、鉄筋施工、ブロック建築、コンクリート圧送施工 など
1級の技能士(または平成15年度以前の合格者)は実務経験の年数を問われず、平成16年度以降の2級の技能士は通算4年以上の実務経験が必要です。旧受検資格の2級は第一次・第二次を同時に申し込めます。旧受検資格の申込は書面で、願書が必要です。新受検資格と1級には、技能士の特例はありません。
実務経験として認められるもの
建設業振興基金の受検の手引では、実務経験を、施工計画の作成や工程管理・品質管理・安全管理など、工事の施工の管理に直接かかわる技術上の職務経験とし、補助者としての経験も含むとしています。建設業を営む個人事業主が自分で施工管理をした場合は、本人が証明者になります。一方で、次のようなものは実務経験に入りません。
- 工事での雑役務だけの業務や、単純な労働作業
- アルバイトによる作業員としての経験
- 設計・積算・保守・点検・メンテナンスなどだけの業務
- 入社後の研修期間
現場で施工しながら段取りや品質の確認をしていた期間が、どこまで施工管理の補助として認められるかは、手引に具体的な線引きがありません。迷うときは、申込の前に建設業振興基金に確かめてください。
試験の内容と合格基準
| 区分 | 形式 | 合格基準 |
|---|---|---|
| 第一次 | マークシート | 60%以上 |
| 第二次 | 記述+択一 | 60%以上 |
1級の第一次検定は、全体で60%以上に加えて、施工管理法(応用能力)の問題で60%以上(令和8年度は10問中6問以上)が必要です(建設業振興基金)。
経験記述は形を変えて残っている
以前の第二次検定では、自分が経験した工事の概要を書いて、施工管理の課題や対策を答える「施工経験記述」が出題されていました。建設業振興基金は令和6年7月10日の発表で、1級・2級とも、設問に示された建物の概要や現場の状況について、受検者の経験と知識にもとづいて課題や対策を答える形に見直すとしています。2級は種別に応じた設問になり、示された工事の中から1つを選んで答えます。
令和7年度の第二次検定は、次のような構成でした(建設業振興基金が公表した問題)。
- 1級(全6問):問題1が品質管理(示された鉄骨造の事務所ビルの工事について、経験を踏まえて記述)、問題2が仮設物の設置計画、問題3がネットワーク工程、問題4が躯体工事の施工の留意事項、問題5が仕上げ工事、問題6が法規(5・6は五肢択一)
- 2級(全5問):問題1が工事の遅延防止(解体・新築・改修から1つを選び、自分の種別の作業について記述)、問題2が用語の説明と施工の留意点、問題3が工程表、問題4が法規、問題5が種別ごとの施工(4・5は四肢択一)
2級の用語の問題には、軽量鉄骨壁下地のスペーサー、せっこうボードのコーナービード、木構造のアンカーボルトなど、大工・内装の現場でなじみのある言葉も並んでいます。
試験日程と受検手数料(令和8年度)
| 区分 | 試験日 |
|---|---|
| 1級 第一次 | 7月19日 |
| 1級 第二次 | 10月18日 |
| 2級 前期 | 6月14日 |
| 2級 後期・二次 | 11月8日 |
2級の前期は第一次検定だけです。令和8年度はどの回も申込の受付が終わっています。令和9年度の日程は、国土交通省と建設業振興基金の発表を待ってください(令和8年度分は令和7年12月18日に公表)。
| 区分 | 受検手数料 |
|---|---|
| 1級 第一次 | 12,300円 |
| 1級 第二次 | 12,300円 |
| 2級 一次か二次 | 6,150円 |
| 2級 同時申請 | 12,300円 |
非課税です(施行令第42条、建設業振興基金)。2級の同時申請は旧受検資格の場合です。合格証明書の交付には、別に1通2,200円かかります。
合格率
| 年度・区分 | 合格率 |
|---|---|
| R7 1級 第一次 | 48.5% |
| R7 1級 第二次 | 39.0% |
| R7 2級 後期一次 | 36.3% |
| R7 2級 第二次 | 32.7% |
| R8 1級 第一次 | 46.7% |
建設業振興基金の合格発表資料の値です。令和8年度の1級第一次は、資料の受検者数42,826人と合格者数19,993人から展開図ラボで計算しました。同じ年度の電気工事施工管理の2級第二次(51.8%)と比べると、建築の2級第二次は合格率が低く、記述の対策が大事になります。
職人の資格ごとの進み方(展開図ラボの考え)
ここからは、上の受検資格と施行規則をもとにした展開図ラボの考えです。
1級の技能士を持っている人
建築大工・左官・内装仕上げ施工・建築板金などの1級技能士は、施工管理技士がなくても、多くの業種で自分の工事の主任技術者・営業所技術者の要件をすでに満たしています(施行規則第7条の3)。施工管理技士で広がるのは、仕上げの複数の業種をまとめて担当することや、1級に進んで監理技術者になることです。令和10年度までは、旧受検資格で2級「仕上げ」を実務経験の年数を問われずに一次・二次同時に受けられるので、この期間を使うのが近道です。
技能士を持っていない若手
新受検資格では、2級の第一次検定に合格してから、受ける種別の工事で3年の実務経験が必要です。17歳から受けられるので、早く第一次検定に合格しておくと、第二次検定までの年数を早く積み始められます。
元請の現場監督を目指す人
建築一式工事で元請として現場をまとめる立場を目指すなら、種別は「建築」、その先は1級です。建築工事業は指定建設業なので、大きな現場の監理技術者には1級の施工管理技士などの国家資格が必要です。
受検にかかる費用の目安
- 2級(一次と二次を別の回に受ける):手数料12,300円+技士の合格証明書2,200円=14,500円
- 1級の一次・二次:手数料24,600円+技士の合格証明書2,200円=26,800円
どちらも一度で合格した場合の、国に払う費用だけの計算です。技士補の合格証明書も交付を受けるなら、さらに2,200円かかります。
勉強の進め方
- 建設業振興基金の公式サイトで、最新年度の受検の手引と過去の問題を確かめる。
- 第一次検定は、過去問をくり返して、建築学等・施工管理法・法規の出題の形に慣れる。1級は施工管理法(応用能力)の基準も意識する。
- 第二次検定は、示された工事の条件に合わせて、自分の現場の経験をもとに、工程・品質・安全の課題と対策を書けるようにしておく。2級は自分の種別の作業で書く。
- 書いた答えは、ほかの人に読んでもらって直す。
記述問題の添削を受けたい人には、施工管理技士の受験対策を行う独学サポート事務局
のような通信講座もあります。公式サイトでは、建築の1級・2級とも、第一次・第二次のコースの基本受講料が税込12,800円で、記述問題の模範答案を作る「作文作成代行DX」(1級は税込10,800円、2級は9,800円)もオプションになっています。2級の作文作成代行は、建築・躯体・仕上げの種別ごとに作るとしています(2026年10月6日確認)。料金や募集の状況は変わることがあるので、申込み前に公式サイトで確かめてください。
よくある勘違い
「2級は建築で受ければ何の工事でも主任技術者になれる」
種別「建築」で合格して主任技術者になれるのは、建築一式工事と解体工事です。大工・左官・内装・板金などは「躯体」か「仕上げ」で合格する必要があります。
「第二次検定の経験記述はなくなった」
自分の工事の概要を書く形がなくなっただけで、示された工事について、自分の経験を踏まえて書く問題は残っています。
「技能士なら新しい受検資格でもすぐ受けられる」
技能士の特例があるのは、令和10年度までの旧受検資格の2級だけです。新受検資格と1級には、技能士の特例はありません。
資格を取ったあとの働き方
2級を取ると、自分の種別の工事で主任技術者として現場を任されるようになり、1級を取ると大きな現場の監理技術者になれます。職人から施工管理の仕事に移る人のための年収や求人の数字、職種ごとの進み方は、次の記事でまとめています。
建築施工管理技士についてよくある質問
大工は躯体と仕上げのどちらで受けますか
大工工事は、躯体と仕上げの両方に入っています。型枠や建て方が中心なら躯体、造作が中心なら仕上げが近く、自分の実務経験の工事に合う方を選びます。申込のあとで種別は変えられません。
2級は第一次と第二次を同時に受けられますか
新受検資格ではできません。令和10年度までの旧受検資格なら、第一次・第二次の同時申請ができます。
1級技能士だと何が有利ですか
旧受検資格で、2級の第二次検定の実務経験の年数を問われません(建築大工・左官・内装仕上げ施工などは仕上げ、とび・型枠・鉄筋などは躯体)。
次の試験はいつですか
令和8年度は1級の第二次検定が10月18日、2級の後期・第二次が11月8日で、どちらも申込は終わっています。令和9年度の日程は、国土交通省と建設業振興基金の発表を確かめてください。









