給水管の口径の決め方同時使用水量の出し方(器具数・戸数・負荷単位)と流速2.0m/s以下の確認
給水管の口径は、同時に使う水の量(同時使用水量)を出して、管の中の流速が速くなりすぎない太さを選び、最後に水圧が足りるかを確かめて決めます。この記事では、東京都水道局の給水装置設計・施工基準、国土交通省の「給水装置標準計画・施工方法」、京都市・新潟市の給水装置工事の基準をもとに、一戸建て・集合住宅・事務所ビルそれぞれの同時使用水量の出し方と、流速2.0m/s以下で口径を選ぶ手順を計算例つきでまとめます。
口径の決め方の流れ
- 同時使用水量を出す:給水栓や給湯器などが同時に使われたときの水量で、瞬時の最大使用水量にあたる(国土交通省・東京都)。
- 口径を仮定して流速を確かめる:流速=流量÷管の断面積。流速は2.0m/s以下が目安。
- 水圧が足りるか確かめる:末端から、損失水頭・立ち上がりの高さ・器具に必要な圧力を足した所要水頭が、配水管の水頭以下になるかを確かめる。足りなければ口径を上げて計算し直す(東京都・国土交通省)。
受水槽を使う方式では、使い方の変動が水槽で平均化されるので、受水槽までの管は1日あたりの使用水量から決めます(東京都)。受水槽の容量の決め方は受水槽の容量の決め方で説明しています。この記事は、水道の配水管から直接つなぐ給水装置の口径の話です。
流速2.0m/s以下の根拠
- 国土交通省の資料:給水管内の流速は過大にならないよう配慮が必要で、空気調和・衛生工学会では2.0m/s以下としている
- 新潟市:直結方式の口径は、流速を原則として2.0m/s以内とする
- 京都市:集合住宅やホテルなどは、受水槽式・直結式とも管内流速を2.0m/s以下に制限(個人住宅の直結直圧2階建て以下などは制限なし)
流速が速すぎると、水撃(ウォーターハンマー)や騒音の原因になります。
一戸建て:器具の数から出す
器具の総数から、同時に使う器具の数を決めます(東京都 表-1、国土交通省も同じ値)。
| 器具の総数 | 同時に使う数 |
|---|---|
| 1個 | 1個 |
| 2〜4個 | 2個 |
| 5〜10個 | 3個 |
| 11〜15個 | 4個 |
| 16〜20個 | 5個 |
| 21〜30個 | 6個 |
台所や洗面所など、使う水量が多いものや使う回数が多いものを含めて同時に使う器具を選び、その吐水量を足します。吐水量の目安は、台所流し12〜40L/分、洗面器8〜15L/分、シャワー8〜15L/分、大便器(洗浄タンク)12〜20L/分などです(東京都 表-2)。
もう1つの方法は、全部の器具の水量の合計を器具の数で割り、同時使用水量比(器具6個で2.4、10個で3.0など、東京都 表-4)を掛ける方法です。
計算例:水栓6個の住宅
東京都の基準の設計例です。
- 同時に使う器具を決める方法:6個なので3個。0.25・0.20・0.28L/sの水栓を同時に使うとして 0.73L/s(43.8L/分)
- 同時使用水量比の方法:水栓6個の合計1.33L/s ÷ 6 × 2.4 = 0.53L/s(31.9L/分)
43.8L/分で流速を計算すると、内径20mmで2.32m/s、内径25mmで1.49m/sです(展開図ラボの計算)。東京都の例では、どちらの方法でも25mmとし、所要水頭(15.17m)が配水管の水頭(20.0m)以下であることも確かめて決めています。
集合住宅:戸数や人数から出す
戸数や居住人数から、式で同時使用水量Q(L/分)を出します。
- 戸数から:1〜9戸はQ=42×戸数0.33、10〜599戸はQ=19×戸数0.67(東京都は参考扱い。国土交通省も同じ式)
- 人数から(東京都):1〜30人はQ=26×人数0.36、31人以上はQ=15.2×人数0.51
- 人数から(国土交通省):31〜200人はQ=13×人数0.56(30人までは東京都と同じ式)
31人以上の式は、東京都と国土交通省で違います。どれを使うかは、所轄の水道事業者の基準に従います。
計算例:共同住宅20戸
- 戸数の式:19 × 200.67 = 141.4L/分(展開図ラボの計算)
- 内径30mmなら3.33m/s、内径40mmなら1.88m/sで、40mmを選ぶ
- 人数の式(1戸3人・60人、東京都)なら122.7L/分で、40mmで1.63m/s
東京都の基準には、増圧給水設備の口径ごとの最大戸数(流速2.0m/sとした場合)の表があり、40mmで1戸4人なら22戸程度、3人なら29戸程度です。人数の式と流速2.0m/sで計算すると、25〜75mmの戸数がこの表と一致します(展開図ラボの計算)。
一方、1戸の水量(上の住宅の43.8L/分)に同時使用率(20戸なら70%、東京都 表-5)を掛ける方法では約613L/分になり、戸数の式の4倍以上です。計算の方法で結果が大きく変わるので、必ず水道事業者が決めた方法で出します。
事務所ビル:器具給水負荷単位から出す
器具給水負荷単位は、器具の種類ごとの使う頻度や時間、同時に使う割合を見込んで、水量を単位にしたものです(国土交通省)。器具ごとの単位×数を合計して、同時使用水量の図や表で水量に換えます。
| 器具 | 個人用 | 公共用 |
|---|---|---|
| 大便器(洗浄弁) | 6 | 10 |
| 大便器(洗浄タンク) | 3 | 5 |
| 小便器(洗浄弁) | - | 5 |
| 洗面器 | 1 | 2 |
| 手洗器 | 0.5 | 1 |
| シャワー | 2 | 4 |
| 掃除用流し | 3 | 4 |
国土交通省の資料の表(空気調和衛生工学便覧 平成7年版による)から抜き出したものです。京都市の基準では、大便器の半分以上が洗浄弁かどうかで、負荷単位を水量に換える曲線を使い分けます。100単位なら、洗浄弁が多い場合255.04L/分、洗浄タンクが多い場合166.50L/分です(京都市 表10)。
計算例:事務所のトイレ
- 大便器(洗浄弁)6個:10×6=60
- 小便器(洗浄弁)4個:5×4=20
- 洗面器6個:2×6=12
- 掃除用流し2個:4×2=8
- 合計100単位 → 洗浄弁が多いので 255.04L/分
この水量だと、同じ呼び径50でも、配管用炭素鋼鋼管(SGP)50A(内径52.9mm)は1.93m/s、耐衝撃性硬質ポリ塩化ビニル管(HIVP)50(内径51.0mm)は2.08m/sで、2.0m/sを超えるかどうかが管の種類で変わります(展開図ラボの計算)。
流量計算ツールで流速を確かめる
同時使用水量が出たら、配管の流量計算ツールで流量と管を入れると、流速が出ます。上のリンクは共同住宅20戸の141.4L/分をSGP 40Aで計算したもので、流速は1.73m/sです。管の欄で「その他」を選ぶと内径を直接入れられます。
ツールの摩擦損失はヘーゼン・ウィリアムス式で計算しています。国土交通省の資料では、給水装置の口径50mm以下はウエストン公式で損失を計算するとしているので、ツールで確かめるのは流速までにして、損失水頭は水道事業者の方法で計算します。流量と流速の式は配管の流量計算で説明しています。
よくある間違い
流速だけで口径を決める
流速が2.0m/s以下でも、水圧が足りなければ器具に水が届きません。所要水頭が配水管の水頭以下かを必ず確かめます。
呼び径と内径を同じとして計算する
同じ呼び径でも管の種類で内径が違い、流速が変わります。
同時使用水量の出し方を自分で選ぶ
方法によって結果が何倍も変わります。所轄の水道事業者が決めた方法を使います。
給水管の口径についてよくある質問
一戸建ての給水管の口径は
器具の数と水圧で決まります。東京都の設計例(水栓6個)では25mmです。
給水管の流速の目安は
2.0m/s以下です(国土交通省の資料が空気調和・衛生工学会の値として紹介、新潟市・京都市の基準)。
集合住宅の同時使用水量の式は
戸数の式(10〜599戸はQ=19×戸数0.67)や、人数の式(東京都の31人以上はQ=15.2×人数0.51)があります。
器具給水負荷単位とは
器具の使う頻度や同時に使う割合を見込んで、水量を単位にしたものです。大便器(洗浄弁)は公共用で10です。









